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負傷交代には懸念も…名古屋MF和泉竜司が聖地国立で決勝アシスト「みんなで取った良いゴール」

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名古屋グランパスMF和泉竜司

[8.5 J1第22節 名古屋 1-0 新潟 国立]

 名古屋グランパスは前半14分、右サイドを突破したMF和泉竜司のクロスからDF森下龍矢が先制点を奪い、これが国立競技場での勝利につながる決勝点となった。試合後、和泉は「(藤井)陽也からパスが来て、ファーストタッチもその後もイメージどおりにプレーできた。モリ(森下)も逆からよく入ってきてくれていたし、その1点で勝てたのでみんなで取った良いゴールだった」と振り返った。

 FWマテウス・カストロがサウジアラビアに移籍したこともあり、これまで定位置を担っていたウイングバックではなくシャドーでの起用となった和泉。「攻撃では個人的にも相手の間で顔を出して、押し込めているときはバイタルエリアに入っていけるように」という意識でプレーしていた中、前半14分に持ち味を活かしてゴールを生み出した。

 DF藤井陽也からのパスを右ハーフスペースをで受け取ると、「一つ止めてそのままのスピードで行けるという感覚だった」と急加速からのドリブル突破で深い位置まで攻略。最後は「パスはキャスパーも止まってマイナス気味にいたし、相手も結構いたので、なんとか通れと思って」という鋭いグラウンダークロスをゴール前に通し、これに反対サイドから飛び込んだ森下が詰めた。

 ポジションが変わっても持ち味は変わらず、個人技が輝いた先制点。和泉は前半30分ごろ、左脚を痛めて無念の途中交代に終わったが、その後はチーム全体の攻撃にも停滞感が表れ始め、不在となったことでも存在の大きさを感じさせた。患部の状態は「検査してみないとわからないけど、できるだけ早く戻りたい」と話すにとどめた和泉。それでも取材エリアには自ら歩いて姿を見せており、重傷ではないようだ。

 この日の結果については「内容に関しては正直良くはなかったと思う」と述べつつも、「でもその中で1点を守り切って、勝ち切れたのは今後、優勝争いをしていく上で大事な部分。前節京都にラストやられて負けていたし、今日国立でこうしてたくさんの人に来てもらって、内容も大事だけど勝つことが大事だった。チーム全員が勝利のためにプレーして、みんなで勝ち取った勝利」と収穫を口にした和泉。「試合は続くし、新しい選手も入ってきて、またチームでいい競争が出てくると思うので、みんなでいいチームになりながら一戦一戦勝っていきたい」と前向きな展望も語った。

 また中央でのプレーにも手応えがあった様子だ。「自分の良さを出せると思うし、もともとそういうポジションでもやっていたので、楽しさも感じる。ウイングでもだいぶ自分の中では掴めていた部分はあったし、浦和戦と新潟戦は中でやって、どっちで出ても自分の良さは出せるのかなと思う。チームの勝利のためにやることは変わらない。中でも外でも自分の良さを出して、得点に絡むことを常に意識しているのでそこを続けていければ」。背番号10の海外流出で攻撃力低下に懸念がある中、穴を埋める働きを見せた和泉の存在は大きな安心材料となった。

 ちなみにこの日プレーした国立競技場は、市立船橋高時代の2010年度全国高校選手権でプレーし、決勝で2ゴールを挙げて日本一に導いた思い出の地。それでも改装で大きく様変わりしていたこともあり、和泉自身は「新たな気持ちでやっていた」という。

 むしろ印象に残ったのは5万7千人が詰めかけた両チームのサポーター、とくに大声援で後押しした名古屋サポーターの存在だった。「ホームの扱いだったので最初にゴール裏に挨拶に行った時からサポーターの熱を感じていたし、僕だけじゃなくみんなも感じていた。みんな最後の一歩だったり、頑張れた部分はサポーターの声援や一緒に戦ってくれた部分が大きい。会場としてはホームではないけど、みんながホームの雰囲気を作ってくれて、そのおかげで勝てたと思うので感謝している」。そう感謝を口にした和泉は「次は豊スタに帰ってやれるので、無敗も続いているし、ホームで強いグランパスを残り少ない試合でも見せていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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