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パリ世代FW中島大嘉、“桜木花道ヘア”で名古屋デビュー「やるならここしかないかなと」空中戦で決定機も演出

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真っ赤な髪でピッチに立ったFW中島大嘉

[8.5 J1第22節 名古屋 1-0 新潟 国立]

 パリ五輪世代のエース候補FW中島大嘉がトレードマークの坊主ヘアを真っ赤に染め上げ、聖地・国立競技場で名古屋グランパスデビューを飾った。

 カラーリングを入れたのは数日前のこと。「一応、桜木花道をイメージした。この試合に向けてやりました。“鯱の大祭典”でのデビューで国立、やるならここしかないかなと。だからメンバー外れたらどうしようかなと思ってて(笑)。そんな恥ずかしいことないでしょ。でも試合に出られたんで良かったです」。自ら姿を重ねるスラムダンクの主人公・桜木花道のように、苦労の末に華々しい飛躍を遂げる覚悟を髪型に込めていた。

 移籍ウインドー開始前の6月25日に北海道コンサドーレ札幌からの期限付き移籍が発表され、この日が公式戦初のベンチ入り。すでに独特のキャラクターでチームに受け入れられているものの、「もっとプレーで話題を作れるように。ここまで名古屋に来てから1か月くらいはピッチ外でふざけ回ってて、ピッチ内でも沸かせないと本当にネタキャラで終わってまうと思うので、そう思って頑張ってます」と中島。ピッチで圧倒的なポテンシャルを表現すべく、後半16分からデビュー戦の舞台に立った。

 札幌時代は味方のパスワークの中で細かく動き出しを試みる役割が求められていた印象だったが、名古屋では味方からのロングフィードやクロスを誘うべく、ダイナミックな動き出しを次々に繰り出した。そして後半29分には、シンプルなハイボールに対して高い打点の空中戦で競り勝ち、ヘディングでのパスでビッグチャンスをお膳立て。同時投入されたFW前田直輝のシュートが外れ、初アシストとはならなかったが、さっそく大器の片鱗は見せた。

「名古屋には長いボールからヘディングで競れるFWはあまりいないと思っていて、その中で高さや強さを出したい。ああいうのでチャンスも一本作ったし、ああいう理不尽なゴールをチームにもたらせるポテンシャルは持っていると思うので、もっともっと磨いていって、チャンスじゃないところからゴールをもたらせる選手になりたい」。中島自身も新たなチームスタイルへの順応に手応えを感じているようだ。

 それでも中島は「初めての公式戦だし、このメンバーで試合をしたのも初めてだったけど、自分の良さである高さは見せられたと思う。もっとチームに浸透させていければもっともっとチャンスが来るんじゃないかと思う」と前向きな言葉を口にしつつ、「デビュー戦にしては最低限。良くも悪くもない試合だった」と控えめな自己評価は崩さなかった。

 パリ五輪を目指すために重要なのは目に見える結果。同世代の多い新潟との対戦には「今日は三戸(舜介 )とかもパリ世代で一緒に何回かやっている仲間だし、小見(洋太)くんも同い年。そうした仲間がJ1でスタメンで毎試合出ているのも刺激になるし、今日は負けられないなと思っていた」と少なからず意識していたようで、代表復帰に向けて「ここから半年、名古屋で活躍すれば全然あると思う。やれる自信はあるので焦ってはいない」と言い切った。

 またこの夏には母校の国見高がインターハイで4強入り。「アイツらセンター分けとかマッシュでやってるんで『なんで?』って(笑)。俺はずっと坊主だったのにってのはあるんですけど……」と冗談めかしつつも、「後輩たちが誇らしいなと思うし、すごいなとシンプルに尊敬する部分もある」と活躍を喜んでいるようだ。中島自身も「恥ずかしいプレーはできないので国見魂背負って頑張ります」。同世代、後輩たちからの刺激も力に変え、規格外のストライカーは名古屋で飛躍を目指す。

(取材・文 竹内達也)
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