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“特例”J3ライセンス交付のクリアソン新宿、国立や西が丘中心のホームゲーム開催に目途、背景に都心クラブへの期待

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クリアソン新宿に23区内のクラブとして初めてJリーグライセンスが交付された

 東京23区内に籍を置くクラブとして初めて、クリアソン新宿にJリーグライセンスが交付された。Jリーグ加盟への大きな一歩。現在戦うJFLで2位以上となる順位条件などを満たせば、来季のJ3参入が可能となる。

 Jリーグライセンスの取得にあたって、最も難しいとみられたスタジアム条件のクリアが、特例によって認められた形だ。23区内でJリーグの開催基準を満たしたスタジアムは4つ。新宿区の国立競技場、北区にある味の素フィールド西が丘、世田谷区にある駒沢陸上競技場、江東区にある夢の島競技場とあるが、この4つを8割以上で、特に国立と味フィ西を中心に使用することで、承認が下りたという。

 これについて丸山和大代表は、「(昨年の不交付は)昇格したときに、この4つのスタジアムをどれだけ使えるのかという比率が一定以上なかった。今年はその目途が立った」と補足。国立競技場については「複数回」使用することを約束。ただ「基本的は(ホームゲームの)8割以上をこの4つで(開催したい)」とするも、残り2割については近県のスタジアムを使用する可能性があることも示唆した。

 将来的な本格的なホームスタジアムの保持についても、「機運が高まれば、将来的にチャレンジしたい」とするも、「新宿には国立競技場という立派なスタジアムがある。1試合でも多く使わせたいなと思っていただける努力をすることが、我々が一番していくこと。新しいスタジアムを作るというより、既存の23区にあるスタジアムをしっかりと活用していくことがファーストチョイスなのかなと思います」と話す。

 また南葛SCら23区内にはほかにもJリーグ参入を目指しているクラブがあり、スタジアムを占有する形になってしまっているが、「彼らとは切磋琢磨しながら来れたことで、今こういったポジションにいられる。僕らとしては仲間として23区内からサッカーを盛り上げていくことを一緒に取り組んでいきたい」と話して、理解を求めた。

 特例が認められた背景に感じるのは、都心クラブへの期待だ。ヨーロッパの主要リーグをみると、ビッグクラブの多くが都心を本拠地としている。発足がJリーグとほぼ同時期だったにも関わらず、現在Jリーグの約8倍となる1兆円の規模があると言われるイングランド・プレミアリーグには、首都ロンドンに本拠地を置くクラブが多数存在する。

 丸山代表もこのプレミアリーグの成功例を挙げて、「人口、マーケットの話だと思う」と説明。「Jリーグの素晴らしいビジョンによって、都道府県に60ものクラブが出来た。それによって豊かなスポーツ環境が整っている。そこに23区のポテンシャルを加えて、スポーツ界にいろんな風を吹かせることが我々の存在意義なのかなと思っている」と熱弁した。

 当然、特例を認められたままでいいとは思っていない。また来年には同様の審査を受けることになるが、クラブ立ち上げ当初からスタジアム戦略は常に頭の片隅にあったと話した丸山代表は「1回認めてもらえたことは大きな前例になるのかなと思う」と強調する。

 そして「まずは卵が先か鶏が先かという話だと思っていて、愛されるクラブになって、スタジアムを作ってくれというクラブになった時に、スタジアムができることが理想だなと思っていた。現状はいろんな方に負担をかけている。決して美談ではなくて、まだまだ足りない中で皆さんに認めていただく、道中ばの戦略。今は早く大きな箱を満杯にできるクラブになることが僕らのチャレンジだと思います」と、これまた熱く語っていた。

(取材・文 児玉幸洋)

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Text by 児玉幸洋

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