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J1昇格請負人としての真価…今夏補強の東京V中原輝、自動昇格に望みつなぐFK決勝弾「こういう状況で決めるという意識で」

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東京V中原輝が自動昇格に望みつなぐゴール

[11.5 J2第41節 東京V 1-0 栃木 味スタ]

 J1自動昇格に望みをつなぐ劇的ゴールとなった。J2リーグで4位の東京ヴェルディは、今節引き分け以下で自動昇格圏内の2位浮上が厳しくなる中、MF中原輝が後半37分に直接FKを沈め、決勝ゴールを挙げた。「いいイメージを持ちながらキックできた感覚はあった。入るか、もしかしたらGKが触るかなという感覚もあったけど、入ってくれたよかった」と得点シーンを振り返った。

 今夏、J1昇格への補強としてセレッソ大阪から期限付き移籍で加入した。そのリリースでも「J1昇格のために全力で頑張ります」。16年ぶりJ1昇格のため、躍動は続く。前々節・ジェフユナイテッド千葉戦では後半34分までの0-2から同点に追いつくと、後半アディショナルタイムに中原が左足シュートを沈め、3-2と大逆転。前節・ジュビロ磐田戦でもカウンターの起点を作り、先制ゴールを演出していた。

 しかし、今節は前半終了間際に左SB深澤大輝が退場し、数的不利という苦境に陥った。その後は栃木SCにボールを拾われることも増える中、チームは守勢を受け入れる。「僕たちのサッカーができないのはわかっていた。仕掛けのところだったり、セットプレーというのは意識しながらプレーをしていました」。チャンスメイクの回数は減っても、決定機をモノにするための集中力は切らさない。そして、その瞬間は試合終盤にやってきた。

 後半35分、中原がPA手前までボールを運び、相手のファウルを誘発する。左利きの中原にとって絶好の位置でFKを得た。「いい距離感と角度。比較的どちらも狙える位置。キッカーを任されていて、こういう状況で決めるという意識で蹴りました」。冷静に左足を振り抜くと、飛び込んだGK藤田和輝の手に触れることなく、ボールはゴールネットを揺らした。

 幼少からプレースキッカーを務めてきた中原にとって、FKを決めるコツはシンプルに「本数を重ねること」。試合後のフラッシュインタビューでは、退場した深澤が大声で感謝を伝え、中原の話を遮る場面も。「(深澤は)いじられていましたね(笑)。もちろん勝ったからいじれる。そうやって、チーム全体がいい雰囲気で次の試合に臨めることは大きい」と勝利の喜びを噛み締めた。

 それでもまだ昇格が決まったわけではなく、自動昇格には2位・清水エスパルス、3位・ジュビロ磐田の結果次第でもある。しかし、中原は他クラブの結果は気にしていない。「僕たちは勝つことだけ」と雑念はないようだ。すでにJ1昇格プレーオフ圏内は確定。たとえ自動昇格を逃しても、まだ可能性は消えたわけではない。だからこそ余計なことは考えていない。「1試合でも、(J1昇格PO含む)3試合でも、全部勝てば昇格なので」。東京Vにやってきた意味を示すためにも、臨む試合すべてで勝利を目指すのみだ。

(取材・文 石川祐介)
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石川祐介
Text by 石川祐介

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