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大岩一貴が湘南にJ1残留もたらす12シーズン連続得点「ゴールよりも勝ててよかった。それがすべて」

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決勝ゴールを挙げたDF大岩一貴

[11.25 J1第33節 横浜FC 0-1 湘南 ニッパツ]

 プロキャリアスタートから継続しているシーズン連続ゴールで、J1残留をもたらした。湘南ベルマーレDF大岩一貴は今シーズン初得点。残留争いの大一番で決め切った。「ゴールよりも本当に勝ててよかった。それがすべて」と喜びを語った。

 最下位・横浜FCと17位・湘南の残留争い直接対決となった。湘南は勝てば残留確定だが、負ければ最下位に落ちるという難しい展開。前半は両チームともに慎重な試合運びで、0-0のまま後半に折り返した。

 スコアが動いたのは後半4分。湘南は左CKをショートコーナーでスタートさせる。PA手前でパスを受けたMF池田昌生が右足ミドルを放つと、GK永井堅梧にセーブされる。だが、すかさずボールに詰めたのは大岩だ。「あんまり覚えていない。みんなはダフったと言っていたけど、覚えていないくらい興奮していた」と本人は言うが、プレー自体は冷静そのもの。ダイレクトでゴール右隅に流し込み、ゴールネットを揺らした。

 オフサイドラインぎりぎりのプレーで、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックは数分間に及んだ。「オフサイドの感覚もあったので祈っていました。あれだけ興奮して喜んでいたので、もしオフサイドだったら恥ずかしいと思いながら、頼む……と(笑)」。無事湘南のゴールが認められ、貴重な先制ゴールとなった。

 中央大を卒業後、2012シーズンにジェフユナイテッド千葉でプロデビューを果たし、12シーズン目。千葉、ベガルタ仙台、湘南と3クラブを経て、継続させているのは毎シーズンのゴールだ。周囲はそのことを話題にしていたというが、大岩自身は気にせず。それでも残り2試合となり、「まあ、もういいや」とあきらめ半分だったという。だが、大一番で見事に今年の一発を披露。「大事な試合で取ったことがなかったので、こういうところで取れたのは少し自分の成長を感じる」と謙虚に手応えを語っていた。

 15試合未勝利で最下位に沈んだ時期もあった。また自身はメンバー外で苦しんだ時期もあった。大岩はキャプテンという立場からも「勝てない時期は苦しかった」と振り返る。だが、苦境を乗り越えてみせた。「チームとしても個人としてもしんどかった。だけど最低限のミッション、本当に最低限ですけど、達成できてよかった」。ひとつの重責から解き放たれ、安堵の表情を浮かべていた。

(取材・文 石川祐介)
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石川祐介
Text by 石川祐介

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