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J2降格濃厚の横浜FC、悲嘆に暮れる選手たちは最終節での奮闘誓う「来年につながると信じて」

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横浜FCのJ2降格は決定的に

[11.25 J1第33節 横浜FC 0-1 湘南 ニッパツ]

 横浜FCはJ1残留が絶望的となった。最終節の結果次第では回避できる可能性もあるが、その条件はあまりにも厳しい。DF岩武克弥は「横浜FCとして意地を見せないといけない。沈んでいる選手はたくさんいる。だけど、最後にしっかり切り替えて絶対に勝ちたい」と力を込めた。

 湘南ベルマーレとの前半45分は拮抗状態を続けた。だが、岩武はその状態に危機感を覚えていた。「ある意味前半がよかった分、逆に後半は怖いという思いがあった」。その予感は的中する。後半序盤、横浜FCはカウンターからチャンスを作るも、MFカプリーニのシュートは相手GKにセーブされる。そこから逆にカウンターを食らい、相手にCKを与えた。

「ああいうチャンスの後の守備は、もう少しみんながアラートにしないといけない。もっとみんなが声をかけるべきだった」(岩武)。湘南の一度目のCKは防いだが、二度目のCKはショートコーナーでボールを奪えない。すると、MF池田昌生のミドルをGK永井堅梧が阻むも、こぼれ球をDF大岩一貴に押し込まれる。痛恨の失点を喫した。

 残留を争う両者の大一番で、先制点はターニングポイントとなった。MF井上潮音は「1点を失ってから相手の勢いも増した。あそこからの試合運びはすごく難しくなった。あそこがひとつのポイントだった」と振り返る。攻勢を強めた横浜FCだが、裏のスペースを湘南に狙われて押し切られる場面も作られた。

 試合はそのまま終了したが、他会場の柏レイソルがサガン鳥栖と引き分けたため、横浜FCは今節でのJ2降格を回避した。しかし、17位・柏との勝ち点差は「3」で、さらに得失点差は12ポイント差。最終節で横浜FCが鹿島アントラーズに勝利、かつ柏が名古屋グランパスに敗れ、両者の得失点差がひっくり返る点差という条件が成立しないと、横浜FCの残留が決まらない。絶望的な状況となった。

 それでも、わずかな望みを信じて最終節に臨む。選手たちは未来につなげるためでもあると口を揃える。井上は「よもさん(四方田修平監督)も言っていたが、横浜FCの一員としての意地とプライドを持って最後戦う必要がある。それが来年につながるかはわからない。だけど、つながると信じて、最後にプロとしての責任を全うしたい」と残り一試合に目を向ける。

 ピッチで気を吐いたMF山根永遠は悔しさをにじませながら、「どういう結果になったとしてもしっかり受け入れて、自分たちがこれから先の未来につなげるためにやっていかないといけない」と最終節の奮闘を誓う。「まだまだ成長する過程の中で、こういう結果に終わったことは申し訳ない。だけど、変えるのも自分たちだと思っている。しっかり受け入れてやりたい」。未来につながる収穫を得るためにも、最終節も全力を尽くすつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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