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大ピンチを決死のカバーで回避!DF山川哲史「感無量」神戸不動のレギュラーCBとして初優勝に貢献

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[11.25 J1第33節 神戸2-1名古屋 ノエスタ]

 あのカバーがなければ、この日のホーム最終戦でヴィッセル神戸が優勝を決めることは出来なかったかもしれない。1点差に詰め寄られて迎えた前半42分、左サイドを崩されて森下龍矢のラストパスをFWキャスパー・ユンカーに詰められたが、カバーに入ったDF山川哲史がかき出して、同点弾を与えなかった。

「僕はDFとしてやるべきことをやるだけだった」と話した山川。「僕たちが守るというより、もう一回整理する。終盤になるにつれて、悪くなった流れを修正するのが課題だった。流れを掴まれて厳しかったけど、最後失点しなかったことは成長したところかなと思います」と充実の汗を拭った。

 悲願の初優勝。吉田孝行監督は「先輩たちが築き上げてきたことがあって、(今の選手が)なし遂げてくれた」と“歴史”を再確認した。「個人的にはヴィッセルで一番、ヴィッセルへの思いが強い選手だと思っている。優勝が決まった瞬間も、中学校からヴィッセルに入って、去年も苦しくて、そういうのが重なった中での優勝だった。感無量です」。子供のころから神戸の選手として戦うことの難しさを肌で感じてきた山川は、感慨に浸った。

 大学経由で神戸に帰還して4年目の今季は、6月に右第5中足骨を骨折して離脱する2か月半離脱。そのため出場試合数は昨年を下回ったが、トータルの出場時間(2153分、25日現在)はすでに昨年(2062分)を上回るなど、不動のレギュラーCBとして優勝に貢献した。

 筑波大時代は同期のMF三笘薫(ブライトン)と4年間、毎日のように1対1の自主練を繰り返してレベルアップに努めた。「友達というのもおこがましいくらい凄い人になっちゃった」。“世界の三笘”に尊敬のまなざしを向けるが、携帯電話を指さして、「今も『おめでとう』みたいな連絡はしてくれていると思います」と変わらぬ関係性があることに感謝する。

 ただ、三笘ばかりを意識しているわけではない。「これ以上離されるわけにはいかないけど、まずは自分の与えられた環境で。結果はそのあとについてくる。今季もそうでしたが、やっぱり目の前の1試合、1試合を全力でやって積み重ねた結果がきょうの結果だと思うので、毎日、毎日、成長していきたいなと思います」。あくまでも神戸の選手として、チームを更なる高みへと導くことを見据える。

 また来季は直系の後輩になるMF山内翔が加入する。今季、山内は筑波大のキャプテンとして関東リーグの優勝と、同リーグMVPを受賞した。山川も「獲れるタイトルを総なめにしていたので楽しみ」と山内の入団を歓迎すると、「入ってすぐに戦えるように、僕が言えることは言っていかないといけない立場だと思うので、そこは意識していきたい」と共闘を約束した。

(取材・文 児玉幸洋)
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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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