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マテウス移籍が痛すぎた名古屋、急失速から最後は相手の優勝を目の前で…森下龍矢「マテちゃんのように任せられる選手に」

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[11.25 J1第33節 神戸2-1名古屋 ノエスタ]

 負ければ相手の初優勝が決まるという異様な雰囲気の中でキックオフされたゲーム。開始15分までの連続失点で後手を踏んだ名古屋グランパスは、反撃も実らず1-2で敗戦。相手の歓喜の瞬間を目の当たりにする屈辱を味わった。

 今季の名古屋は前半戦を2位で折り返すなど、13年ぶりのリーグタイトルを射程圏に捉えた戦いを繰り広げていた。しかし何と言っても大きな転機となったのが、FWマテウス・カストロのサウジアラビア1部のアルタアーウンFCへの移籍だ。8月にチームを去ると、6戦勝ちなしを一気に優勝争いから脱落した。

 それでも個人の成長が見られなかったシーズンではなかった。特にDF森下龍矢は今年6月に行われたキリンチャレンジ杯のエルサルバドル戦で日本代表デビュー。出場はなかったが、9月の日本代表欧州遠征にも帯同して貴重な経験を積んだ。

 磐田の下部組織から明治大に進学。一時は大学卒業と同時にサッカーを辞めてサラリーマンになることも考えたが、MF三笘薫やFW上田綺世らと戦ったユニバーシアード大会で金メダルを獲得したことで、プロサッカー選手になる夢を再燃させた。

 そして鳥栖に入団すると、2年目に名古屋に移籍。今では当時、大学タイトルを総なめにした明治大のメンバーで一番の出世頭になっている。「鳥栖の時とかはルーキーの時はちょっといいプレーをすれば、チヤホヤしてもらえた。名古屋に来て1年目もなかなか試合に出れなくて、2年目出始めてチヤホヤされ始めたけど、もうそのフェーズにいないとも思っています」。

 だからこそ、マテウスが抜けたから勝てなかったと言われることが悔しい。

「これじゃ日本代表じゃないなと思っちゃいます。試合を決め切れる、0-0とか、勝ち点1を3に持って行ける選手になりたい。マテちゃんのように任せられる選手になるというのが、僕にとって一個大きな選手になるために必要なこと。マテちゃん、マテちゃんと言ってもしょうがないですけど、彼が凄かったところは、名古屋にDNAとして残さないといけない。勝負に勝つとはそういうことだと思うので、こだわりたいなと思います」

 中心選手としての自覚を十分にする日本代表アタッカー、26歳が真価を見せるのはこれからだ。

(取材・文 児玉幸洋)
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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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