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壮絶打ち合いで魅せたJ1キャリアハイ4発…磐田FWジャーメイン良、J2降格からの成長とJ1で感じた伸びしろ

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4ゴールを挙げたFWジャーメイン良

[3.1 J1第2節 川崎F 4-5 磐田 U等々力]

 J1の舞台で怒涛の4ゴールを決め、真価を示した。ジュビロ磐田は川崎フロンターレとの打ち合いを制し、5-4で昇格後初白星。4得点を挙げたFWジャーメイン良は試合後のフラッシュインタビューで「なかなか無いこと。ゴール前で自分のところに転がってきてラッキーだった。みんなが90分間守ってくれたおかげ。とにかく勝ててよかった」と笑顔を見せた。

 ルーキーDF植村洋斗の先制ゴールで口火を切ったゴールラッシュ。磐田は前半18分にジャーメインがチーム2点目を決める。DF松原后のクロスをジャーメインが頭で合わせた。同29分には流れるようなパスワークからMF松本昌也のヒールキックでアシストを受け、最後はジャーメインが左足シュートで自身2点目。早々に0-3と点差を広げた。

 その後は川崎Fの猛攻を浴び、一時は3-3と同点に追いつかれる。後半31分、ジャーメインが植村のスルーパスに反応し、敵陣PA内でファウルを受けてPK獲得。ジャーメインが自ら蹴ってハットトリックを達成し、4-3と勝ち越し。だが同40分に川崎FにPKを献上して4-4で同点となった。最後は後半アディショナルタイムに相手のハンドで磐田もPK獲得。ジャーメインが自身4点目で5-4。打ち合いに終止符を打った。

 決勝点となった終了間際のPKゴールは、冷静に決め切った。「自分で取ったPK。(自身3点目となるPKが)入っていたので、外しても叩かれないと思って、気持ちを楽に蹴りました」。データサイト『opta』によると、磐田の選手がJ1で1試合4ゴールを決めたのは2002年9月のFC東京戦で高原直泰が記録して以来3人目。過去3度も4ゴールを記録した中山雅史、そして高原に次ぐストライカーとしてクラブの歴史に名を刻んだ。

 ジャーメインは流通経済大でインカレ制覇を成し遂げた後、2018シーズンからベガルタ仙台でキャリアをスタートさせた。J1リーグの舞台は仙台、横浜FC、磐田と5シーズンを過ごしたが、J1リーグで1シーズンの最高得点は3得点。今シーズンは開幕2試合目でJ1キャリアハイの4得点を記録した。

 昨シーズンにJ1昇格を成し遂げた横内昭展監督は、ジャーメインの才能に目を細める。「昨年から非常に成長している選手の一人。J1の舞台でも十分に戦えるということを証明してくれた」と称賛する。昨シーズンはJ2リーグで9得点を挙げた。それでも指揮官は「身体的にすごく高い選手。そこに技術の繊細さ、クオリティがついてきてほしいというところがあった」と課題があったことを明かす。

「プレッシャーのある中でクオリティが上がってくれば、J1で危険な選手になれると思っていた。そこのクオリティの部分がJ1の相手でもしっかり出せた。すごく成長した」。そう語る横内監督だが「満足はしていない」とあえて厳しい目も向ける。「まだまだ成長できるところがある。まだまだ今後も成長してくれるし、できる選手。期待してもらいたい」とさらなる成長を求めた。

 ジャーメインも自身の伸びしろに自覚があるようだ。昨シーズンのJ2リーグと比較し、自らの課題を見出す。「まずCBがでかいし強い。いままでフィジカルでなんとかしていた。ちょっと抑え切れなかったところはある。前の駆け引きや予測、そういう部分をもっと研ぎ澄ませたい」。J2リーグでの成長はこの試合で証明した。J1リーグでも圧倒するために、ストライカーとしての本当の勝負はここからだ。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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