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町田MF平河悠が鹿島破るJ1初ゴール「良い意味でしごかれた」敵将に“恩返し”弾

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MF平河悠

[3.9 J1第3節 町田 1-0 鹿島 Gスタ]

 FC町田ゼルビアが誇るパリ五輪世代アタッカーのJ1初ゴールは、チームの代名詞である速攻から生まれた。前半13分、右サイドのMFバスケス・バイロンが高い位置でボールを奪うと、縦に速いパス回しから左に展開し、走り込んだのはMF平河悠。昨季のJ2優勝の立役者となった23歳は左足でゴール右隅を打ち抜き、試合を決める決勝点となった。

 鮮やかなカウンター攻撃の中でも、ファーストタッチが勝負を分けた。足元に入ったボールを大きく持ち出したことで、カバーリングに入った鹿島MF樋口雄太を一蹴。「ちょっとボールが思ったより後ろに来たのでアウトサイドで前進するようなトラップをした」。その結果、最後も駆け引きの余裕が生まれ、「基本的にファーにひねって打つシュートが得意なので、自信を持って蹴り込めた」と自画自賛のゴールにつながった。

 ゴールパフォーマンスではチームメートと歓喜を分かち合った。「ボールを奪ってからのショートカウンターだったけど、海くんが奪ってそのまま翔太に出せたことで自分によりスペースと時間ができた。そこが一つのポイントだった」。バスケスが奪った後、素早くパスをつないでくれたMF柴戸海、FW藤尾翔太への感謝も欠かさなかった。

 プロ2年目でJ1初挑戦の平河にとって、これが記念すべきJ1初得点。相手はJリーグ創設から一貫してJ1カテゴリに居続けている鹿島アントラーズだったが、そこに勝ったという意味では価値の大きさは計り知れない。

 平河は「鹿島さん相手でもあるし、長年10位以内にずっと入り続けているチーム相手にどこまで通用するかが自分たちの自信にもつながる。ターニングポイントと捉えて強気に挑んだ試合だった」と振り返りつつ、「ゴールを取りたい気持ちが強かったけど、チームとしても今日勝つかどうかがターニングポイントになると話していた。その試合で勝ちに貢献できたことが嬉しく思う」と喜びを口にした。

 また高いモチベーションの裏には敵将の存在もあった。鹿島を今季から率いるランコ・ポポヴィッチ監督は2020〜22年、町田を率いており、平河が山梨学院大3年生だった2021年に特別指定選手としてJ2リーグ戦に起用。翌22年には大学4年生ながらトップチームの主力として起用するなど、プロの舞台に引き上げてくれた指導者にあたる。

 試合後会見ではポポヴィッチ監督が平河について「彼に決められたのはもちろん私にとって悔しいことだが、彼はこれから近い将来、日本代表に入っていく能力を持つ選手だと思っている」と話したが、平河自身も「良い意味でしごかれたというか、自分のサッカー人生において一番印象が強いと言っても過言ではないくらいもまれた監督。大学生で起用してくださったのは感謝してもしきれないくらいの恩師でもある」と感謝。「ポポさんの前でゴールを取れて嬉しく思うし、そう言っていただいて本当に嬉しく思う」と笑顔を見せた。

(取材・文 竹内達也)

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ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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