町田わずか1節で首位奪還!!“首都対決”制した黒田監督「新参者として早く東京ダービーと…」大胆スタメン変更的中、叩き込んだ連敗回避の合言葉
[4.21 J1第9節 FC東京 1-2 町田 味スタ]
前節・神戸戦に敗れて首位陥落を喫していたFC町田ゼルビアは敵地でFC東京を2-1で下し、たった1節で首位返り咲きを果たした。試合後、黒田剛監督は首都東京を代表するクラブ相手の勝利に「東京ダービーと言っていいのかは分かりませんが、新参者として早く東京ダービーと呼べるような、またはこの町田の名を東京の地で轟かせることができるかという色んな意味ですごく深い試合になったと思う」と胸を張った。
黒田監督はこの日、1-2で敗れた神戸戦から先発5人を一気に入れ替え、FC東京との“新東京ダービー”に臨んだ。出場停止が明けたGK谷晃生の起用は既定路線だったが、今季1試合の先発にとどまっていたDF昌子源の他、初先発となるDF望月ヘンリー海輝、MF高橋大悟、MF宇野禅斗を大胆に起用。いずれも17日のルヴァン杯・北九州戦(◯2-1)に先発し、初戦突破に貢献していた選手たちだった。
もっともメンバーが変わったとしても、J1初昇格で躍進を遂げてきた戦い方にブレはなかった。まずは前半14分、代名詞のセットプレーから先制に成功。MF仙頭啓矢が左CKをファーサイドに蹴り込むと、中央の味方は相手を引きつけ、フリーで待っていたMFナ・サンホが叩き込むという流れだったが、これは「デザインしたところからしっかりと点を取れた」(黒田監督)という理想どおりの形だった。
その後は出場停止のMF柴戸海不在の中盤がやや押し込まれると、21分にはDFドレシェヴィッチのハンドでPKを与え、町田らしくない失点も喫したが、その直後の同25分に勝ち越しに成功。ドレシェヴィッチのロングフィードから先発抜擢の望月が右サイドを抜け出し、ダイレクトの完璧なクロスからFWオ・セフンがヘディングで押し込んだ形だったが、これも狙いどおりだったという。
「すごく良いフィードが入ったの一つだが、彼(望月)は攻守でスピードを出すことができる。前に道が空いた時には恐ろしいくらいのスピードを出すし、かけっこ勝負でしっかりと相手を翻弄するだけのスピードがある。また彼が走り出すタイミングも良かったし、イボ(ドレシェヴィッチ)のフィードの精度も良かった。またセフンにはもうマイボールになった時点で100%ゴール前に入って行け、躊躇するなと伝えている。それにボールが合ってくれば必ず得点になるからと。そこで100%のスピードを出してくれた」
望月への評価を交えながらこの日の狙いを振り返った黒田監督は「意図しているものがすごく有効に噛み合った2人、3人の連係だった」と得点シーンを手放しで賞賛。「ちょっとPKで残念な同点ゴールはあったが、その後すぐにもう一回突き放しにかかれたところが試合の一番の肝だったと思う」とこの1点の価値の大きさを口にした。
2-1で迎えた後半はロングボールを有効に使って相手の勢いを削ぎつつ、自陣に強固なブロックを敷いて守るという町田らしい展開に。この日の起用法も含め、プランどおりのしのぎ方だったようだ。
「相手の180cmを超えている選手は2人しかいなかったので、高さのある選手たちをうまく起用してそういうところで優位性を持ちながら、セカンドボールを拾うことで相手にとって嫌な攻撃ができたと思う。相手は地力に優るFC東京さんなので、耐える時間ももちろん多くなるだろうし、放り込まれる本数も多くなるとあらかじめ覚悟した上で、耐えに耐え、苦しみに苦しみ、必ず最後に勝利が来るというところを覚悟して臨む試合になると選手たちに伝えていた」
そうして掴んだ勝ち点3。黒田監督は「1点リードしている中での後半になったが、耐えるだけでなく、攻撃のところでもハードワークし、奮闘してくれたと思っている。交代選手も含め、総力戦で勝ち得た勝ち点3だったと思う」と満足そうに振り返った。
また前節の敗戦を一掃したという点でも価値の大きな白星となった。町田は今月3日の第6節・広島戦(●1-2)で今季初黒星を喫したが、その4日後の第7節・川崎F戦(◯1-0)に勝利しており、敗戦後のJ1リーグ戦は2戦2勝。圧倒的な強さで昇格した昨季も敗戦後は3勝4分と無敗で、なおかつ3戦連続勝ちなしはわずか一度だけと、敗戦を引きずらないことが飛躍の要因となっていた。
「連敗だけは絶対にできないというのが我々の合言葉」。そう掲げる指揮官は選手たちにも具体的な働きかけをしていたという。
「去年も連敗せずに優勝を手繰り寄せた経験から、連敗すると一気に崖から崩れ落ちるという悲劇を選手たちに向き合わせながら、転がったら速いぞと伝えてきた。今は上に食らいついてもいけるし、トップに上がれるポジションもいる。または1試合、2試合やったところで7位、8位、気づいたら10位以下というのも出てくる。いろんなところで毎節、毎節立場、状況が変わるというのも選手たちに十分イメージさせた。上に食らいついていくという目標を掲げてスタートした以上、今回に関しては連敗できないこと、そこに対するこだわりは執念を持ってしっかり全うしてほしいと話していた」
そう振り返った黒田監督は「今日のゲームに勝てたことによってまた連勝を積み上げていける一つのチャンスになる」と断言。「今後、五輪予選に行っている平河、藤尾、怪我が明けてくるエリキと、選手層はまだまだ厚くなるので、彼らがいないところで勝つことですごく大きな意味になった。残された選手で勝ち点3を手繰り寄せられたのは価値のあることだと感じている」と大きな手応えを口にした。
(取材・文 竹内達也)
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●2024シーズンJリーグ特集
前節・神戸戦に敗れて首位陥落を喫していたFC町田ゼルビアは敵地でFC東京を2-1で下し、たった1節で首位返り咲きを果たした。試合後、黒田剛監督は首都東京を代表するクラブ相手の勝利に「東京ダービーと言っていいのかは分かりませんが、新参者として早く東京ダービーと呼べるような、またはこの町田の名を東京の地で轟かせることができるかという色んな意味ですごく深い試合になったと思う」と胸を張った。
黒田監督はこの日、1-2で敗れた神戸戦から先発5人を一気に入れ替え、FC東京との“新東京ダービー”に臨んだ。出場停止が明けたGK谷晃生の起用は既定路線だったが、今季1試合の先発にとどまっていたDF昌子源の他、初先発となるDF望月ヘンリー海輝、MF高橋大悟、MF宇野禅斗を大胆に起用。いずれも17日のルヴァン杯・北九州戦(◯2-1)に先発し、初戦突破に貢献していた選手たちだった。
もっともメンバーが変わったとしても、J1初昇格で躍進を遂げてきた戦い方にブレはなかった。まずは前半14分、代名詞のセットプレーから先制に成功。MF仙頭啓矢が左CKをファーサイドに蹴り込むと、中央の味方は相手を引きつけ、フリーで待っていたMFナ・サンホが叩き込むという流れだったが、これは「デザインしたところからしっかりと点を取れた」(黒田監督)という理想どおりの形だった。
その後は出場停止のMF柴戸海不在の中盤がやや押し込まれると、21分にはDFドレシェヴィッチのハンドでPKを与え、町田らしくない失点も喫したが、その直後の同25分に勝ち越しに成功。ドレシェヴィッチのロングフィードから先発抜擢の望月が右サイドを抜け出し、ダイレクトの完璧なクロスからFWオ・セフンがヘディングで押し込んだ形だったが、これも狙いどおりだったという。
「すごく良いフィードが入ったの一つだが、彼(望月)は攻守でスピードを出すことができる。前に道が空いた時には恐ろしいくらいのスピードを出すし、かけっこ勝負でしっかりと相手を翻弄するだけのスピードがある。また彼が走り出すタイミングも良かったし、イボ(ドレシェヴィッチ)のフィードの精度も良かった。またセフンにはもうマイボールになった時点で100%ゴール前に入って行け、躊躇するなと伝えている。それにボールが合ってくれば必ず得点になるからと。そこで100%のスピードを出してくれた」
望月への評価を交えながらこの日の狙いを振り返った黒田監督は「意図しているものがすごく有効に噛み合った2人、3人の連係だった」と得点シーンを手放しで賞賛。「ちょっとPKで残念な同点ゴールはあったが、その後すぐにもう一回突き放しにかかれたところが試合の一番の肝だったと思う」とこの1点の価値の大きさを口にした。
2-1で迎えた後半はロングボールを有効に使って相手の勢いを削ぎつつ、自陣に強固なブロックを敷いて守るという町田らしい展開に。この日の起用法も含め、プランどおりのしのぎ方だったようだ。
「相手の180cmを超えている選手は2人しかいなかったので、高さのある選手たちをうまく起用してそういうところで優位性を持ちながら、セカンドボールを拾うことで相手にとって嫌な攻撃ができたと思う。相手は地力に優るFC東京さんなので、耐える時間ももちろん多くなるだろうし、放り込まれる本数も多くなるとあらかじめ覚悟した上で、耐えに耐え、苦しみに苦しみ、必ず最後に勝利が来るというところを覚悟して臨む試合になると選手たちに伝えていた」
そうして掴んだ勝ち点3。黒田監督は「1点リードしている中での後半になったが、耐えるだけでなく、攻撃のところでもハードワークし、奮闘してくれたと思っている。交代選手も含め、総力戦で勝ち得た勝ち点3だったと思う」と満足そうに振り返った。
また前節の敗戦を一掃したという点でも価値の大きな白星となった。町田は今月3日の第6節・広島戦(●1-2)で今季初黒星を喫したが、その4日後の第7節・川崎F戦(◯1-0)に勝利しており、敗戦後のJ1リーグ戦は2戦2勝。圧倒的な強さで昇格した昨季も敗戦後は3勝4分と無敗で、なおかつ3戦連続勝ちなしはわずか一度だけと、敗戦を引きずらないことが飛躍の要因となっていた。
「連敗だけは絶対にできないというのが我々の合言葉」。そう掲げる指揮官は選手たちにも具体的な働きかけをしていたという。
「去年も連敗せずに優勝を手繰り寄せた経験から、連敗すると一気に崖から崩れ落ちるという悲劇を選手たちに向き合わせながら、転がったら速いぞと伝えてきた。今は上に食らいついてもいけるし、トップに上がれるポジションもいる。または1試合、2試合やったところで7位、8位、気づいたら10位以下というのも出てくる。いろんなところで毎節、毎節立場、状況が変わるというのも選手たちに十分イメージさせた。上に食らいついていくという目標を掲げてスタートした以上、今回に関しては連敗できないこと、そこに対するこだわりは執念を持ってしっかり全うしてほしいと話していた」
そう振り返った黒田監督は「今日のゲームに勝てたことによってまた連勝を積み上げていける一つのチャンスになる」と断言。「今後、五輪予選に行っている平河、藤尾、怪我が明けてくるエリキと、選手層はまだまだ厚くなるので、彼らがいないところで勝つことですごく大きな意味になった。残された選手で勝ち点3を手繰り寄せられたのは価値のあることだと感じている」と大きな手応えを口にした。
(取材・文 竹内達也)
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