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千葉は“脱甘”と“アーセナル+バルセロナ”でJ1復帰へ、木山新監督「1年で結果を出す」

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 甘さを捨てて、今年こそ! ジェフユナイテッド千葉は14日、千葉市内で新体制発表会見を行った。今季は新たに前清水コーチで元水戸監督の木山隆之新監督を迎え、選手も12年ぶりの古巣復帰となるDF山口智(前G大阪)やゲームメーカーのMF兵働昭弘(前柏)ら経験豊富な選手に加え、専修大MF町田也真人や中央大DF大岩一貴といった若手有望株など11選手を補強した。4シーズンぶりのJ1復帰に向けて積極的な改革を行った。

 2010年は4位、昨年は6位とあと一歩のところで泣き続けている千葉。今年の目標はJ2優勝でのJ1復帰だ。そんなチームのスローガンは「DAKKAN 奪還×脱甘」に決まった。『奪還』にはJ1復帰はもちろん、過去2年間、J1昇格を逃したことで失ったサポーターの信頼回復への思いが込められている。『脱甘』には、J2としては豊富な資金力を備えながら、なぜ終盤に失速して昇格を逃し続けたのかをクラブが総動員で検証した結果、ピッチ内外、フロントスタッフも含めて“甘さ”があったと分析した。島田亮社長は「いろんな意味で甘さがあった。それを脱するということです。言葉にして終わるのではなく、必ず目標を果たしていきたい」と強い決意を語った。

 ただ、J1に復帰するだけが目標ではない。島田社長は「J1昇格だけではなく、魅力あるクラブにしたい。サポーターから認めてもらえるクラブにしたい」といい、神戸清雄テクニカルダイレクターも「魅力的な攻撃サッカーをしたい」とファンを喜ばせるサッカーへの転換を宣言した。昨年は204cmの長身FWオーロイの空中戦に頼る戦い方で“戦術はオーロイ”と揶揄されることもあったが、今季は再び“ボールも人も動く攻撃的なサッカー”を目指し、勝ち点もファンも獲得するつもりでいる。

 その使命を任されたのが、木山隆之新監督だ。昨年は清水でヘッドコーチを務め、2008年から3年間、水戸を率いた青年監督。アーセナルのベンゲル監督を師事しているそうで、千葉で目指すサッカーについて「しっかりとDFラインからボールをつなぐ、前線の選手も含めて。相手に引かれて守られても、しっかりと自分たちで崩せるサッカーがしたい。攻撃では、ボールのつなぎの面でいうとバルセロナみたいなイメージ。でも、それだけではジェフは最後のところ崩せないと思う。最後を守られたときには、人が動いて走ることが必要になる。そういう意味では、例えばアーセナルとバルセロナの両方を足して2で割ったサッカー。動きもあるし、自分たちで足元でもつなげるもの」と説明した。

 オーロイについては「彼ありきではやらない。そういうスタイルは好きではない」と強調した。バルセロナのような華麗なパスワークに加え、アーセナルのような組織的かつ運動量豊富なアタック。決して簡単ではないが、覚悟を持って挑戦する。水戸を率いていたときは資金面で恵まれず、思うような戦力補強が出来なかったが、千葉は違う。理想のスタイルを模索しながら、勝てるチームを作るつもりだ。

 指揮官は「ジェフを外から見ていて、恵まれているし、いい選手がいると思っていた。そういうチームがJ2に居続けるのは、何か原因がある。それを変えて1年で結果を出すというのが自分の今年の仕事だと思っている。まずは自分たちが恵まれているということに対して、しっかりとそれを受け止めて、だからこそ、必ず勝たないといけないんだという意識を、今までよりも強く持って、ピッチに立てるチームにしたい」と力説した。

 今年の目標は、J2優勝してのJ1復帰だが、その先の“夢”への土台作りも目指す。会見ではJ1昇格後の目標についても問われたが、木山監督は「2013年以降の目標についてですが、まずはJ2で優勝することの意味について考えないといけない。ここ数年、J2から昇格し、なおかつ優勝して昇格しているチームの成績を見ると、J2を優勝をして昇格したチームは、J1で即上位を争っている。とはいえ当然、1年で落ちるわけにはいかない。ですから2013年は10位以内、一桁ということです。そして2014年はACLの出場権を取る。その間の2年間で、カップ戦、ナビスコを含めて、ひとつはタイトルを取りたいと思っています」と臆することなく宣言した。

 サポーターにとっては夢が広がる新体制会見となった。とにかく木山監督は本気だ。「監督を引き受けることに大きな責任を感じている。それと同時に、このチームで一つ大きな仕事を成し遂げてみようという強い気持ちでこの場に座っています。ジェフは、J1で戦うべきクラブだと思っている。とにかく、チームを愛して、ピッチの中で自分自身のすべてを出しきれる選手の集団にしたい」。ジェフは知性的かつ熱い青年監督の下で“奪還”を成し遂げる。

(取材・文 近藤安弘)

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