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ガン乗り越え東京マラソン完走の大宮アンバサダー・塚本さんコメント「一人では完走無理だった」

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 大宮アルディージャのアンバサダー(親善大使)を務める塚本泰史さんが26日、3万5954人が参加した東京マラソンを6時間35分57秒で完走した。右大腿骨骨肉腫(ガンの一種)を乗り越えて挑んだ初のフルマラソンで完走する快挙だった。以下、ゴール後の塚本さんのコメント。

―完走、おめでとうございます
「ありがとうございます。応援の力ってすごいですね。一人だったら絶対に完走は無理でした。沿道から声援が聞こえると、本当に力が出ました。手術をした病院(がん研有明病院)がゴール近くにあるんですけど、先生たちがみんな出てきてくれて応援してくれたし、大宮のサポーターもスタジアムで見せてくれた(背番号)2番の旗を沿道にずらっと出してくれたんですよ。4か所ぐらいで応援してくれていたと思います。塚本コールもしてくれて、懐かしかったし嬉しかったですね。全然知らない人も応援してくれて、すごく優しかった。兄貴も時折笑わせたりしてくれて、楽しかったです。応援してくれる人がいると、自然と笑顔になります。完走できたのは、そういう人たちのおかげ。もう本当に、すべての人に『ありがとう』と言いたいです」

―10キロ以降は未知の領域と言っていましたが、きつかったのは?
「10キロか15キロを過ぎた辺りから、左足の親指の裏が痛くなりましたね。途中は結構歩きました。(絶対に歩かないと言っていたけど)無理でした。苦しかったのは、品川から帰る辺り(15キロ過ぎ)と、銀座から浅草に向かう辺り(20~30キロ)と・・・・・・全部です(笑)。『もうダメかな』と思う瞬間は何度もありましたよ。正直、油断がありました。(フルマラソンは)こんなにきついものなのかと思いました。(35キロの通過が制限時間の約2分前と際どかったのは気にしていた?)分かっていたので、あのときは少し頑張りました。完走は主治医の先生からも『奇跡』だと言われました。『絶対に痛みが出る。痛みが出たらその時点で止めなさい』と言われたんですけど、患部は全然痛くならなかったので良かったです」

―心配する声もありましたが、今回の挑戦の目的であった『同じ病気と戦う人たちなど人々を元気にすること』は達成できたのでは?
「自分にしか伝えられないこともあると思っているし、誰に何を言われようとやるのは自分ですからね。(周囲に)止められても走っていたのじゃないかと思います。ゴールしたことには満足しています。伝えられるかは分からないですけど、そういう気持ちを込めて走ったので、少しでも伝わっていたら良いなと思います」

―今後も最大の目標であるサッカー選手としての復帰を目指していくのですか?
「はい。今はとりあえず、1か月ぐらい休みたいですけど(笑)。でも次につながると思います。目標に向かって努力することの大切さをあらためて感じました」

[写真]ゴール直後、伴走した兄・浩史さんと完走を喜ぶ塚本さん

(取材・文 平野貴也)

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