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スーパーセーブ連発のF東京・GK権田「川崎には負けたくなかった」

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[4.8J1第5節 川崎F0-1F東京 等々力]

 前半、優勢に試合を進めながら、得点を挙げることができなかったFC東京。後半にはMF長谷川アーリアジャスールが2枚目の警告を受けて退場となると、川崎フロンターレに押し込まれる時間が続いた。その中で存在感を示したのが、GK権田修一だった。

 最初のビッグセーブは後半8分、MF中村憲剛のスルーパスからFWレナトが抜け出すが、最後まで倒れ込まずにシュートコースを消し、ブラジル人ストライカーのシュートを体に当てる。その4分後にも、MF田坂祐介のヒールパスから左SB小宮山尊信がクロスを上げると、逆サイドからPA内に入り込んだ右SB實藤友紀が頭で合わせる。このシュートをしっかりとキャッチ。さらに同23分にも中村からのスルーパスを田坂が折り返したところ、フリーになっていたMF小林悠が狙いすましたシュートを放つが、しっかりと枠外に弾き出した。

 川崎Fに1点でも与えていれば、勝利することは難しかっただろう。攻め続けながらも、数的優位の中で点を挙げられない川崎Fには焦りが生まれ、結果的にF東京が付け入る隙ができた。

 鬼気迫るセービングの裏には『絶対に勝つ』という強い決意があった。「多摩川クラシコであることもそうですが、それ以上に僕は川崎出身なので、フロンターレには負けたくなかったんです。試合前にも小学校時代の選抜チームのコーチが来てくれていたのですが『どっち応援するの?』と聞いたら『地元だから川崎』と言われたんです。それもあって負けたくなかったですね」と、してやったりの表情を見せた。

 だが、権田が自身のセービング以上に誇らしく語ったのは、数的不利に陥ってからのチームの戦いぶりだ。「一人少なくなってからも『守ろう』というのではなく、点を取る姿勢を最後まで持っていた。チャンスがくればゴールを狙っていた。得点はリスタート(CK)からでしたが、あれもヒデ(高橋秀人)がミドルシュートを打ったからCKにつながった。攻めの姿勢を崩さなかったから、勝ち点1ではなく、勝ち点3が取れたのだと思う」と胸を張る。

 決勝ゴールが決まった瞬間を「サポーターがドカンとなるのが見えて気持ちが良かった」と振り返り、この日の勝利の意味を「勝ち点は3しか増えないけれど、今日はチームが一つになって勝てた象徴的なゲームだと思う。ACLも経験して、良い経験を積めているからアクシデントにも動じなくなったし、跳ね返すことのできる力がついてきていると思う」と語った。

 守護神は2年ぶりの多摩川クラシコを、心から楽しめたようだった。「今日のような雰囲気はサポーター、一人ひとりの気持ちが出ていたからできたと思う。東京のサポーターも、フロンターレのサポーターも、絶対に負けたくないという気持ちがあった。次にあるホームでの多摩川クラシコもこうなると思うので楽しみですね」と、早くも第26節(9月22日)に予定されている、次の『クラシコ』への思いを口にした。

(取材・文 河合 拓)

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