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リーグ戦連敗中のG大阪・遠藤「自信を持ってやっていく」

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 ガンバ大阪が苦しんでいる。5年連続でACLに出場するなど、ここ数年、安定した結果を残してきたチームが、今季は9試合を終えて2勝1分け6敗と大きく出遅れた。10年も開幕からの11試合で1勝6分け3敗と勝てていなかったが、今季の黒星の多さは際立っている。まだリーグ戦は3分の1も消化していないのに、すでに昨シーズン喫した6敗を喫しているのだ。

 勝ち点を伸ばせていないことで、チームは負のスパイラルに陥っている。12節の大宮アルディージャ戦では、前半からボールを支配して攻撃を仕掛け続けた。前半15分にMF遠藤保仁の折り返しからMF倉田秋が決定機を得るなど、好機もつくった。しかし、チャンスを生かせないことでチームには焦りが広がっていく。

 大宮戦は、敵地での試合だった。アウェーなら0-0の引き分けでもOKと考えるクラブもあるだろう。だが、攻撃力を売りにしてきたG大阪の選手たちにとって、無得点はOKと割り切れるものではない。「攻めがゼロ(得点)というのは…。負けても1点、2点取るのがストロングポイントのはずなのに、鹿島戦(0-5)も点が取れていないのは、ガンバらしくない」と話したMF武井択也は、「中盤とFWが前に行き過ぎて、スペースが空いてしまった。焦りがあったと思う」と試合後に悔やんだ。

「もう少し球際で厳しくいかなければいけない」とMF遠藤保仁が言うように、前線でボールを奪えなければG大阪はピンチを招く。人数を掛けて攻めるため、高い位置でボールを奪い返すか、相手の攻撃を遅らせることができなければ、後方には相手が速攻で突けるスペースが広がっているからだ。しかし、点を取らなければいけないという焦りは、全体を前掛かりにさせた。加えて、攻撃から守備への切り替えも遅れさせる。前線の選手が悔しがる瞬間、相手にはチャンスが生まれるからだ。大宮のMFカルリーニョスはその状況を逃さずに、自陣深くからのロングカウンターを仕掛け、チャンスをつくり出した。

 このような状況は初めてではない。一昨年、昨年もバランスが崩れるために守備を固める戦い方を選択した時期もあった。だが、その戦い方でも勝ち点を獲得できたのは、前線に高い突破力と決定力を誇るFWの存在があったからだ。レアンドロ、アドリアーノ、宇佐美貴史、イ・グノといった存在は、いずれも独力で局面を打開して、ゴールをこじ開けてくれた。しかし、今季のチームには彼らのように独力で突破できる選手は現時点で見あたらない。遠藤が「誰か一人というより、連動してやらないといけない」と語ったように、チームとして高い連動性が問われるはずだ。

 その点でいえば、大宮戦同様に、今後も日本人のスタメンで臨むのは一つの手だろう。2トップにはFW阿部浩之とFW佐藤晃大を起用したが、連係を高めるうえで日本人同士というのは、メリットになる。また、阿部と佐藤は異なる特徴を持っており、攻撃に変化をつけるにも、打ってつけだろう。「昨年までは確かにイ・グノとかもいましたが、点が取れていないのはFWだけのせいではない。点を取ったことで佐藤(晃大)くんが警戒されているのに、高さを生かすことに固執してしまうと負担も大きい。そこで変化を付けないといけない」と武井が言うように、相手の目先を変えながら攻める必要がある。

 週末にはホームに仙台を迎える。カギとなるのは、やはり先制点だ。「1点先に取れれば。次は首位の仙台ですし、守備もしっかりしている。1点取れれば、相手も前に出て、より点も入る状況がつくれるはず。自分たち次第。自信を持ってやっていく」と遠藤は力を込める。首位の相手に勝つことができれば、手にできる自信も大きいはず。11節まで1勝6分け3敗と、大きく出遅れた10年もG大阪は最終的には2位に入っている。首位との大一番を機に、G大阪は浮上のきっかけをつかめるか。
(取材・文 河合 拓)

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