beacon

プロ初先発で躍動した川崎F永長鷹虎、クラブでの実戦経験欠くも…U-20日本代表で培った自信と結果へのこだわり

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW永長鷹虎

[4.5 ルヴァン杯GL第3節 川崎F 0-0 浦和 等々力]

 プロ初先発を飾った高卒2年目FW永長鷹虎は、貫禄すら覚える個人技を見せつけた。後半28分の途中交代直前には、浦和のMFアレックス・シャルクを手玉に取るような浮き球トリックでかわし切る。「間合いを詰められて、普通に抜きに行ったら足で当てられていた。あれは意図したものだった」。結果を出せずに悔しさをにじませながら、それでも手応えを語った。

 2列目の右ウイングでプレーをした。大先輩のMF家長昭博を彷彿とさせるような左足のタッチで、MF脇坂泰斗、DF山根視来と右サイドを攻略。自らも緩急をつけた得意のドリブルで鋭いカットインを見せ、果敢に左足シュートを放つ。「泰斗くん、視来さんが合わせてくれて、個人としてはすごくやりやすかった」。好連係から浦和のゴールを何度も脅かした。

 初先発の試合は後半28分に途中交代という形で終えた。試合を沸かせるプレーも結果は出せず。「悪くはなかったけど、ファーストプレーで相手の選手にもっと怖さを印象付けたかった。そこの印象は浅かったと思う。もっと切り込んでシュートまでとか、アシストとか結果をつけたかった」と数字を残せなかったことへの悔しさを語った。

 興國高を卒業後、昨シーズンから川崎フロンターレに加入した。昨年6月の天皇杯で途中出場からデビューを飾り、さらにプロ初ゴールも記録した。しかし昨シーズンの公式戦出場はその1試合のみ。だからこそ、今節への思いは強かった。「あまりチャンスが個人としてはなかったので、この試合に懸ける思いはとても強かった。結果を出すことができなくて、とても悔しい」。

 この一年間でクラブでの実戦経験を積めない中、自信を掴むきっかけとなったのはU-20日本代表での活動だった。「そもそも試合に出る機会が少なく、自分自身の課題すら見えてこない状況だった」。だが、昨年9月にラオスで行われたU20アジアカップ予選、11月の欧州遠征に参加。そして今年3月にはアジアの強国とU20アジアカップで戦った。4試合に出場し、「試合を中2日でできたので、その影響は大きかった」と大会を振り返った。

 持ち前の個人技はアジアでも通用した。準決勝のU-20イラク代表戦は惜しくもPK戦で敗れたが、永長は1ゴール1アシストを記録。「やっぱり自分の武器は通用する」と手応えを掴んだ。だが、結果を残すことの難しさも痛感した。「逆にアジアの球際の強さだったり、気持ちのメンタル面は強いなと思いました。アジアでもチャンスはめちゃくちゃあったにもかかわらず、得点は少なかった。その悔しさはもちろんあったので、結果を残していきたいとより思うことになった大会でもありました」。

 U20アジア杯でベスト4まで勝ち進み、5月のU-20ワールドカップ出場権を手にした。代表入りの可能性も高い永長だが、いまはクラブでの活動に目を向ける。「代表でも常連になりたいという気持ちもあります。だけど、一番はこのクラブで出て、このクラブで戦力になることが最大の目標。あまりそこは考えず、クラブのことしかいまは考えていないです」。川崎Fでの定位置確保の壁は高い。だがそれを乗り越えれば、おのずと代表への扉も開くはずだ。

(取材・文 石川祐介)
●ルヴァン杯2023特設ページ
●U-20ワールドカップ2023特集ページ

TOP