beacon

[国体少年男子]兄弟対決はまたの機会に。佐賀県MF水巻時飛は後半止まらず、3得点に絡む活躍

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半22分、佐賀県MF水巻時飛(鳥栖U-18、1年)がGKをかわしてゴール

[10.13 国体少年男子2回戦 佐賀県 4-0 福島県 吹上浜海浜公園運動広場]

 チーム唯一のゴールを奪った1回戦の鳥取県戦に続き、2回戦の福島県戦では自身のゴールを含め4得点中3得点に絡む活躍を披露。薩摩の地で躍動を続けるのが佐賀県のMF水巻時飛(鳥栖U-18、1年)だ。

 快勝に貢献したが、前半の出来は満足の行くモノだったとは言い難い。「昨日は結構抜けていたので、その感覚が残っていたというか、今日も行けると思って、奪われていた。カットインは通用したけど、昨日と比べると縦突破は止められていた」。反省の言葉通り、前半は低い位置から無理にでもドリブルを選択する場面が目立ち、ボールを失うシーンが散見した。

 ただ、後半に入るとプレーを軌道修正。配球元をセンターバックからボランチに変えたことで、より高い位置で受けられるようになり、相手に脅威を与える場面が増えていく。良い形でボールを引き出せれば、簡単には止まらない。より素早くドリブルができるよう角度とターンの仕方に拘るのが水巻流。この日もボールを受けたら、素早くドリブルに移行し、相手を置き去りにしていった。

 最初の見せ場は後半5分。左サイドを突破した水巻がクロスを入れると、ファーサイドからゴール前に飛び込んだMF原口幸之助(鳥栖U-18、1年)が頭で合わせて、佐賀が均衡を崩す。お手本のような見事なクロスだが、これまでは苦手なプレーだったという。約1か月前に鳥栖U-18のスタッフから課題だと指摘され、練習してきた成果が全国の舞台で生きた格好だ。

 続く17分には、中央の狭いエリアを抜け出し、左に展開。走り込んだMF池田季礼(鳥栖U-18、1年)のクロスから、MF山村チーディ賢斗(鳥栖U-18、1年)がヘディング弾を決めた。勢いに乗った水巻は22分に三度、歓喜を呼び込む。中央を持ち運んだMF東口藍太郎(鳥栖U-18、1年)のスルーパスから、GKとの1対1に持ち込むと冷静に引き付けてゴールネットを揺らした。

 中学時代に所属したF.Cフェルボール愛知では点取り屋として鳴らし、10以上のチームから誘いを受けた。鳥栖U-18では突破力を買われて、サイドにコンバートされたが、「中学の頃は前で張ってあまり守備をしなかった」。前から積極的に守備を仕掛ける鳥栖U-18に順応すべく、現在はセカンドボールの回収に奮闘中。以前はこぼれ球が来ても足が止まっていたが、今は少しずつ反応できるようになってきた。そこから高い位置で奪い切れるようになるため、球際の強さも身に付けようとしている。

 インパクトのあるプレーを続ける水巻には国体での目標があった。双子の兄、水巻飛信は中学卒業後、青森山田高に進学。「国体で会おう」と話していたが、信飛が怪我でメンバーに入れなかった。準決勝で対戦する可能性もあっただけに後悔はある。兄はDFで、弟はFWとポジションが違えば性格も違う。「中学校の時は家でもバチバチしていてライバルだった」と振り返るが、今は怪我からの復帰を目指す兄に優しいエールを送り、対戦する日を心待ちにしているという。

 次に対戦する機会があるとすれば、自チームでの公式戦しかない。今はまだAチームでの出場機会は少ないが、この日のように活躍を続ければ鳥栖U-18でも欠かせない選手になり、いずれ兄弟対決が見られる日が来るだろう。


(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●特別国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」特集
森田将義
Text by 森田将義

TOP