beacon

[国体少年男子]青森山田高の16人で挑んだ青森県は初戦敗退。「山田のベース」を身に着け、先輩たちに追いつく

このエントリーをはてなブックマークに追加

前回準優勝の青森県は無念の初戦敗退に終わった

[10.13 国体少年男子2回戦 京都府 2-0 青森県 吹上浜海浜公園運動広場]

 青森山田高の単独チームとして今大会に挑んだ青森県だが、スコア以上に力不足を感じる試合だったと言えるかもしれない。オフサイドになったものの開始早々にセットプレーからゴールネットを揺らすなど、試合の入り方は決して悪くなかった。ただ、以降が続かない。「パスを繋げなかったり、セカンドボールを相手に先に触られていた。1個1個の球際でも負けていたので、そこは青森山田の代表としても恥ずかしいプレーだった」。そう振り返るのはDF福井史弥(1年)だ。

 対戦相手の京都府はミニ国体の映像を取り寄せ、青森県のスタイルを入念に分析していた。前線で力強さを見せるFW藤井維咲(2年)を自由にさせないため、ボールが入った瞬間にDF陣が素早く挟み込んで対応。青森県はセカンドボールも先に回収されてしまう。

 主将であり、攻撃のキーマンであるMF小山田蓮(1年)が負傷したため、直前に登録から外れた影響も皆無ではない。従来の4-4-2から、4-1-4-1にシステム変更し、青森山田らしさである力強いサッカーを徹底しようとしたが、思い通りにはいかなかった。

 普段、青森山田のトップチームや1年生を担当し、今大会ベンチ前に出て指示を送っていた松本晃コーチはこう口にする。「全て分析されているなというのはあった。それを解決できるだけの手札が少なかった。そこは(9月の)ニューバランスカップでも分かっていたけど、自分たちを信じて行くぞとやってみたけど、なかなか上手くハマらなかった」。

 選手は必至で頑張っていたが、常勝軍団を築き上げた先輩たちの基準には届かなかった。「決め切れるところがなかったわけではないけど、山田の選手としてもうひと踏ん張り、ふた踏ん張りして欲しかった。昔の表現ではないですが、足を攣るぐらいやれるベースを求めたかったけど、なかなか難しい部分がありました」。そう口にする松本コーチは、続ける。「ここからが勝負。冬を超えて逞しくなって欲しい。ビビッていても(相手に)圧力をかけられる山田のベースを身に付けて欲しい」。

 入学した直後に練習試合で負けて以来、無敗を続けてきたが、9月半ばに行なわれた全国規模の1年生大会「ニューバランスカップ」では思い通りに白星を掴めず、全国レベルの難しさを思い知らされた。立て直しを誓った今大会は、前回大会で準優勝した先輩たちに続こうとしたが、そう上手くは行かない。

「Aチームに関わらせて貰っている自分がもっと伝えないとダメ。このチームを引っ張っていく意味では責任感が全く足りないと思う。このままだと自分たちが山田の伝統を崩しかねないので、自分が中心となってみんなが付いて行くような人間になりたい」。福井の言葉通り、選手たちは危機感を抱いている。

 浮上するには、日々の取り組みを変えていくしかない。2年後に自分たちの代を迎えてからではなく、今からがスタートだ。福井はこう口にする。「今、トップチームにはプレミアで首位を走っているとても良い先輩がいる。その先輩たちに追いつこうという気持ちで自分たち1年生はやっている。そこに食らいついていく、ポジションを奪いに行く部分でも、自分たちはもう少し強く先輩たちに向かっていかないといけない」。先輩たちが築き上げた強い青森山田のバトンを受け継ぐためには、悔しさを力に変えるしかない。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●特別国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」特集

森田将義
Text by 森田将義

TOP