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[国体少年男子]仲間からの励ましを力にGK菊田修斗がPKセーブ!茨城県が31年ぶりの準決勝進出!

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PK戦5人目、茨城県GK菊田修斗(鹿島ユース、1年)がビッグセーブ

[10.14 国体少年男子準々決勝 徳島県 0-0(PK4-5)茨城県 吹上浜海浜公園運動広場]

 茨城県が1992年大会以来、31年ぶりのベスト4進出だ。0-0で突入したPK戦の5人目、先攻・徳島県のキックを186cmGK菊田修斗(鹿島ユース、1年)が左へ跳んでビッグセーブ。まだ決着はついていなかったが、茨城県の選手数人が駆け寄って守護神を讃える光景が見られた。
 
 菊田は「まず大塚(義典)GKコーチに『1本でも止めれば良いから』と言われて、ちょっと気持ちが楽になって、みんなが決めてくれて、蹴った後もみんなが励ましてくれたのが本当にデカくて、で自分も力になったというか、欲を言えば(70分間で)勝って終わりたかったけれど、0-0で終わってみんなが助けてくれていたのがデカいと思います」とチームメートたちに感謝していた。

 そして、直後にFW徳田誉(鹿島ユース、2年)が右足シュートを決めて5-4で勝利。31年ぶりの快挙をチーム全員で喜んだ。殊勲の菊田は4本目まで自分を信じ切れず、ボールに触りながらも止められないシーンもあった。

 それでも、「周りの声がどんどん自分を高めてくれて、自分の中でここで負けちゃったら、これからの人生にも影響が出ると思ったので、みんなのためにも気持ちを切り替えられた」。自分のため、仲間のために1本を止めて白星を引き寄せた。

 茨城県は攻守両面でアグレッシブに前から行くスタイル。今大会3試合目で相手よりも1試合消化試合が多かった。疲労はあったはずだが、菊田が「みんな連戦で怪我とかもある中でやってくれていると思います」というように足を止めずにバトル。豊富な運動量でチームをサポートしたMF岩永佳樹(鹿島ユース、1年)とセカンドボール回収を連発していたMF木下永愛(鹿島学園高、1年)をはじめ、各選手が茨城県のサッカーを表現しようとしていた。

 前半、徳島県の巧さの前にボールを奪いきれないシーンが多く、プレッシングがややバラバラになっていたことも確か。赤須能尚監督(日立北高)は「前半終わった時に、(選手たちが)ちょっとカリカリしていたので、下げてじっくりゴール前だけ守ろう」とやや重心を下げることを提案する。

 相手にボールを保持される時間は増えたものの、「最後は中で弾けるやつがいるので」(赤須監督)。主将の左SB佐藤海宏(鹿島ユース、2年)やCB大川佑梧(鹿島ユース、1年)、CB近藤大祐(鹿島ユース、1年)を中心に、危ないシーンはほぼなく無得点に封じた。その一方、攻撃面ではクロスがチャンスに結びついていた前半に比べると、ゴール前のシーンは減少。それでも、「普段アントラーズで鍛えられている」(赤須監督)選手たちが中心になって苦しい戦いで走り切った。

 準決勝の対戦相手は同じ関東勢の東京都に決定。ジェファFC U-15出身で、中学時代まで東京都トレセンで活動していた菊田にとっては旧友たちとの対戦となる。鹿島ユースで曽ヶ端準GKコーチ、茨城県選抜で大塚GKコーチの下で成長したことを示す戦いだ。

「目標としては信頼されるようなGKになっていきたいです。こっち来てから学べていることが多い。吸収しきれていないことがまだあるので、もうちょい素直に吸収できたらいい」と語るが、東京都戦勝利への思いは他の選手たち以上に強い。9月の関東トレセンリーグU-16決勝では1-0で勝利。今回の再戦へ向けて、「明日はちょっと燃えていました。古巣というか、元々いたチームなので勝って決勝へ行きたいと思っています」と誓った。

 また、赤須監督は「“茨城らしさ”で本当にアグレッシブに前から前から行って奪いに行く」。前からの攻守と、コンパクトさを徹底。関東のライバル、東京都を上回り、1979年大会以来のファイナルへ進出する。



(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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