[9.6 総理大臣杯3回戦 中央大1-4関西学院大 いわぎんスタジアムA]

　後半の3得点で突き放して勝利した関西学院大(関西1)だが、MF倍井謙(4年=名古屋U-18/名古屋内定)は「少しの差だったと思う」と振り返った。「中央大学はボールを握ることができて非常に上手いチームだった。でもボールを持たせる意識というところでフラストレーションを溜めることがなかったので、試合運びとしてはよかったと思います」。

　こちらは名古屋グランパスU-18最強世代対決となっていた。倍井が在籍した4年前、名古屋U-18はクラブユース選手権(クラセン)とJユースカップで2冠を達成。プレミアチャンピオンシップは青森山田高に惜しくも敗れて“2.5冠”に終わったが、世代で圧倒的な成績を残し、倍井もクラセンで得点王を獲得するなど、主力アタッカーとして活躍した。

　そしてこの日の対戦相手となった中央大(関東5)には、当時の主将だったDF牛澤健(4年=名古屋U-18/水戸内定)と、10番をつけていたMF田邉光平(4年=名古屋U-18/山口内定)がいた。田邉とは今年春のデンソーカップチャレンジで選抜チーム同士で対戦していたが、所属大学同士での対戦は特別なものになっていた。

　牛澤がボランチで先発したことで、トップ下の倍井とは完全マッチアップ。田邉は一時同点とするゴールを決めて存在感を放ち、倍井はダメ押しとなる4点目をアシストすることでチームを勝利に導いた。

　対戦が決まった3日前にも会場でコミュニケーションを取ったという3人。倍井は「すごい楽しかった。やっぱりあの2人は上手かったですし、刺激的な存在なので、やっていて本当に楽しかった」と笑みをこぼすと、3日前に敗退した立正大のMF榊原杏太(4年=名古屋U-18/名古屋内定)とも話をしたことを明かし、「相当悔しそうな顔していた。しっかり優勝できるようにやりたい」と旧友たちの想いを背負って、準決勝、そして決勝を戦うことを約束した。

　来季の名古屋帰還を内定させる倍井は、今年5月24日に豊田スタジアムで行ったルヴァン杯の神戸戦に出場。一足早く、プロのピッチに立った。「ピッチに立たないと感じられないものが多いと感じたし、実際に課題の多く出た試合でした」と振り返るが、自らのプレーを見直すきっかけにもなったという。「まだまだですけど、関西選手権の決勝など一発勝負のところで点を取れるようになってきた。そこは成長を感じるところです」。

　思い描くのは、来季からJ1で活躍する姿だ。名古屋は今夏だけでも、MF森島司(←広島)やMF久保藤次郎(←藤枝)ら実績のあるアタッカーを獲得。来季に向けた補強も必ずあるはずだが、当然覚悟は持っている。倍井は「個人的にはそういう上の存在がいることでモチベーションが高くなるタイプ」と口元を引き締めると、「1年目から食ってやろうという思いしかないです」と力強く話していた。

(取材・文　児玉幸洋)

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