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[全日本ユース(U-15)選手権]4発V!G大阪JYが史上初の3冠達成!!

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[12.29 全日本ユース(U-15)選手権決勝 大宮ジュニアユース2-4G大阪ジュニアユース J-GREEN堺]

 U-15年代の日本一を争う高円宮杯第24回全日本ユース(U-15)選手権大会は29日、J-GREEN堺で決勝を行い、ガンバ大阪ジュニアユース(関西1、大阪)が大宮アルディージャジュニアユース(関東1、埼玉)に4-2で勝利。5月のJFAプレミアカップ2012 supported by NIKEと8月のadidas CUP 2012 第27回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会でも優勝しているG大阪は、史上初となるU-15年代全国3冠を達成した。なお、大会得点王は大宮のFW立石爽志が獲得した。

 表彰式の終わったピッチを若き蒼黒の戦士たちがペットボトルを振り回しながら、満面の笑顔で駆け抜けた。史上初となる3冠達成を祝う歓喜のウォーターシャワー。ゲーム主将を務めたU-17日本代表MF市丸瑞希は「ビックリしています」と驚きながらも「ボクたち(ウォーミング)アップは楽しんで、笑いながらリラックスしてやるんですけど、試合では目つき変えて、ギアを入れてやりました。立ち上がりはいつも集中していこうと言っている。あれほど行けると思っていなかった」と立ち上がりからフルスロットルで相手にプレッシャーをかけて3点を奪い、後半追撃されながらも試合を押し切ったチームメートたちを讃えていた。
 
 プレミアカップ決勝で敗れたG大阪への雪辱に燃える大宮の伊藤彰監督が「相手は失うものなく、プレッシャーをかけてきた。ウチはやろうとしているのに逃げて逃げてのプレー。前半はゼロ点でした」と残念がった前半、G大阪が完全に大宮を飲み込んだ。ともに技術の高いチーム同士の一戦はミスせずに互いがボールをテンポよく動かすなど拮抗した序盤だったが、相手を上回るプレッシャーと戦う姿勢を見せたG大阪が中央から大宮ゴールをこじ開ける。

 前半15分、中央から仕掛けたG大阪は、MF堂安律とのワンツーでPAへ飛び込んだMF田中駿汰が左前方へラストパス。これをMF岩本和希が右足ダイレクトで「空いているのが見えた」ニアサイドへ先制ゴールを流し込んだ。先制された大宮は自陣でこそポゼッションすることができるものの、全体的に運動量が少なく、パスの選択肢が減ったチームは苦しい体勢のパスを奪われてしまう。

 一方、各選手が余裕を持ってプレーしていたG大阪は、豊富なアイディアと正確な技術を兼ね備えた市丸が好パスを連発。中盤で正確にパスをつなぐと、エースFW高木彰人のパワーやFW小田垣旋のアジリティの高さといった個の能力も活かしてPAまでボールを運んでいく。そして24分、G大阪は左スローインから高木が中央へラストパスを送ると、堂安が左中間から左足でゴールへ突き刺した。G大阪はさらに30分、岩本の蹴った左CKはGKにクリアされたが、右サイドでこぼれ球に反応した市丸が、右足ダイレクトで逆サイドのゴールネットへ突き刺す“ゴラッソ”。3-0と大量リードを奪って前半を折り返した。

 だが後半、新潟ジュニアユースとの準決勝で0-2から試合をひっくり返している大宮が猛追を見せる。後半開始から投入されたFW飯島大吾や立石が相手の背後を狙うとチャンスの回数が増えていった。そして13分、MF黒川淳史とMF鈴木大貴のパス交換から少ないタッチ数でボールを右サイドへ展開すると、MF松崎快がゴールマウス直撃の左足ミドル。直後の15分、縦パスから立石が放った左足シュートが再びクロスバーを叩いたが、跳ね返りをMF高柳拓弥が頭でゴールへ押し込んで1点を返した。

 大宮の時間帯はさらに続く。20分には松崎が右サイドからサイドチェンジ。左SB野崎玲央の左クロスをファーサイドの飯島が頭で折り返すと、最後は再び中盤からPAへ飛び込んでいた高柳が左足でゴールへと突き刺した。残り時間20分で1点差。完全に流れは大宮へと傾いていた。だが、G大阪は直後の22分、岩本の左FKを高木が頭で後方へそろすと、先発唯一の2年生、堂安が「GKが出てきていて、触ったら入ると思った。頑張って足を伸ばした」と目一杯伸ばした左足でコースを変えると、ボールはゆっくりとゴールラインを越えた。このゴールが大宮へ傾いていた流れを食い止め、G大阪を栄冠へ大きく近づけた。

 苦しい時間帯はあった。ただ、G大阪はそれを乗り越えて岩本が「(最初は)大きな目標だなと思っていた。プレミア取った時から自信があった」という3冠獲得。鴨川幸司監督は「(相手の反撃を)しっかりと踏ん張って失点を2で留めて、上手く追加点を取れたことも大きかったと思うんですけど、声を掛けあいながら粘り強くやれたことが凄くこの子らの成長やと思います。攻撃ばっかり目立つんですけど、サッカーのベースは泥臭い部分が大事だとずっと言ってきた。そういう面をこういう厳しい試合で出せたことは凄く良かった。結果も素晴らしいと思うんですけど、しっかりと自信持って選手たちもやっていた。最後はボクが指示を出すのではなくて、選手たちがコミュニケーションを取りながらできるようになっていたと思う。そういう意味で内容も伴った優勝やと思います。それが嬉しいですね」と賞賛していた。

 年代別代表に招集されている市丸や高木をはじめ、個々のタレントの能力、チームが見せる局面での崩しなど実力も頭ひとつ抜け出していたが、それ以上にオンとオフを自分たちの意思で上手く切り替え、そして自分たちで考えながらピッチで自分たちのサッカーを表現する点が光っていた。タレントたちが泥臭く勝ち切ることにもこだわったG大阪の圧巻の3冠達成。ただ、彼らは今年1年間掲げてきた目標を達成したが、夢はあくまでトップチームや次のステージでの活躍だ。市丸は「ユースでも日本一を取れるように練習から頑張ってやっていきたい」。歴史を塗り替えたG大阪の“黄金世代”がユース、その先でも自分たちの武器・姿勢を貫いてさらなる歴史を築いていく。

(取材・文 吉田太郎)

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