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広島・足立修スカウト、選考委員を務めた「THE CHANCE」関西ラウンド終了後のコメント

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 ナイキジャパンは14日、大阪府堺市のJ-GREEN堺で、世界で戦える若きフットボールプレーヤーを探す世界規模のスカウトプロジェクト「THE CHANCE」のセミファイナル「関西ラウンド」を開催。サンフレッチェ広島のスカウトを務める足立修氏ら選考委員が見守る中、選手たちはセレクションを行い、GK亀岡秀平(桜宮高)、DF貫井優也(東大阪大柏原高)、MF和田夏紀(枚方FC)、FW山本知伯(県立西宮高)、FW早田晃盛(久御山高)、MF高畑智也(滝川二高)、FW木下稜介(滝川二高)の7名がジャパンファイナル(7月21日、22日)へ進出した。以下、スカウトを担当した足立氏コメント

―最終的にどのような点を判断材料に選考されたのでしょうか?
「将来性の部分もありました。今回、強豪で試合に出ている前の方の子が来ていたこともあり、オフェンスの選手に目立つ選手がいた。人数という制限があって頭を悩ませたことがありました。できればもっとピックアップした選手を連れていってあげたかったです。あと(選考する上で)何があったかというと、ストロングポイントは重視しました。オンのところで強烈なパワーを持っている選手がいました。次も、その次も一発セレクションというところがあるので、目立つところがある、オフのところよりもオンのところを重視してみました。オフのところももちろん大事なんですけど、それはチームを作っていく中では必要だと思いますが、(セレクションでは)寄せ集めのところでまずは自分のストロングポイントを出さないと目立っていけない。そこを考慮したところはあります」

―足立さんは日本中の高校世代の選手を見られていますが、きょうのレベルはどのくらいの位置にありましたか?
「正直、ボクが思っていたよりも高かったです。彼らは将来性もあると思います。選べなかった選手でもこれは将来的に面白いなという素材はいました。ボクも見えていなかった選手、情報を持っていなかった選手もいましたし。今後これをどう広げていくか。ボクもナイキに伝えましたけれど、この『THE CHANCE』という企画が、もうちょっとメジャーになってもいいんじゃないかと実際に思いました。すごくいい企画だと思います。(隠れた好素材が)『まだまだいるな』というところもありますし、それに対してもっと機会を与えてあげたい。その思いは以前から持っていて、(日本全体を見ると)日の目を浴びていないチームも実際にあります。そのチームに所属する子たちに対してもっと経験をとか、年齢がひとつ若いのであれば早めに経験をさせてあげた方がいいとか、選考の時にはそういった点にも悩まされました」

―心技体が大事だとおっしゃっていましたが、技と体の部分は見て分かると思うが心の部分はどう判断を?
「(合格した)彼らはどうやって選ばれたかというと、『選ばれたい』という欲。きょう一日見れば、ボールの追いかけ方であったり、競り合いに関しては気持ちが出てくるところだと思う。そういった面で気持ちから出てくる強さはあると思う。ボール一つ追いかけるところにも出るだろうし、何とかしてゴールに結び付けたいだとか、ボールを何とか取りたいというところが他の子たちよりも見えた。だからこそ、次へ向けて(合格した)彼らには言いたい。もっと気持ちを出さないと選ばれないよ、と。世界に出た時にはいろいろな国から一発食ってやろうというヤツらが出てくる。そういったヤツらに打ち勝とうと思ったら、メンタリティーは十分に必要だと思う。もっともっと必要だと思います」

―普段、足立さんが選手を獲得される際に一番重視されるのは?
「クオリティが一番だと思います。でも『オレは本当に上でやりたいんだ』『代表でやりたいんだ』『世界でやりたいんだ』という気持ちを常日ごろから態度に出してくれている選手というのは目につきます。これはどこのクラブのスカウトもそうだと思いますし、代表を選ぶ監督含めてスタッフもそこは見ている。それは絶対に必要だと思う。逆に言えば、それが今、若い選手に一番足りないところだと思います。これはユース年代のクラブ、高体連の垣根なく2種、3種で一番大切なところじゃないですかね」

―関東ラウンドに出場する選手も、ジャパンファイナルに進出する選手もそこは出してほしい
「出すべきだと思います。こんなチャンスはない。ジャパンを抜けたらバルサに行ける。こんな機会ない訳ですよ! ビッグクラブのスカウトの見ている場に2回のセレクションで行ける訳ですよ。これをどう捉えるか。『オレ、這いつくばってもいく』と。もしボクが若かったら石にかじりついてでも、どんな状況でも選ばれたい、どんなことをしても目立ちたい。それが今の子ども達には凄く少ないから、もっともっとアピールしてほしい。それだけで全然変わってくる。人生変わってくるし、何とかして次の関東ラウンドも、ジャパンファイナルもそういったヤツらが飢えた状況で行ってほしいし、飢えたヤツらに世界へ行ってほしいですね」

―きょうは意外と最初はみんな声がでなかった
「今の若い子というのは図々しさというのがない。でも(彼らは)関西人なので。しゃべった方じゃないかと思います」

―11対11でやる子はやるところを見せていた
「実際に(合格したいという)気持ちはあると思います。点を取りたいとか、目立ちたいとか。そこの部分はオンばかりになってはいけないけれども、まずはオンなんですよ。ボールがないところよりも、ボールがあるところでどう関わるかというところが目を引くところだと思う。次にボールに関わるために、どんな動作をしているか、というのはそこから出てくるんですよ。彼らはそういったトレーニングを(これからもっと)していかなければならない。逆に言ったら、世界に出たらボールが出てこないかもしれない。どうやって呼び込むかが課題になってくる。ボールが来たら、100パーセントのプレーでやるのか、1回のために100回動きなおしをするのかとか。(周りの)信頼を得るために、ヨーロッパへ行った日本人選手たちはやっている。長友もそうだし、香川もそうだし。それを17、18の子たちが経験できるというのはボクは凄くいいと思います。だから、どんどんその思いを持ってほしい。ボクは失敗してもいいと思う。じゃあ、もっと言葉をしゃべらないといけない、自分を出さないといけないという部分に気がつくはず。今、日本の子どもたちに足りないところが『THE CHANCE』には含まれていると思う。思い切って失敗してほしいと思います。まず、その舞台に行ける子に関して、次のジャパンファイナルに関してはどんなことをしても、ボロボロになってもいい。(今回合格した彼らには)選ばれた責任もある。選ばれた責任も持って、ジャパンファイナルへ臨んでほしい。いいところだけじゃなく、悪いところも全部さらけ出して、隠すんじゃなくて。それがセレクションだと思う。世界に行けた選手には、恥さらしでもいいから、世界との差というのも肌で感じることが、次の選手たちの成長につながると思います」

(取材・文 吉田太郎)

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