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[MOM784]野洲FW中村真輝(3年)_“野洲らしさ”を担う今年のエース

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.6 全国高校総体滋賀県予選準決勝 野洲9-2北大津 布引運動公園陸上競技場]

「技術的には落ちるけど、高さやドリブルに長けた選手がいる。昨年みたいな“パス、パス、パス”という組織に加えて、ドリブルなど個人の良さを上手く融合させていきたい」(山本佳司監督)という今年の野洲は180cmの平田佳太郎(3年)、179cmの尾崎正浩(3年)と高さのあるDFラインに加え、ショートカウンターを戦術に取り込むなど“野洲らしくない”部分が特徴の一つだ。

 一方で、指揮官が組織と個人の融合をテーマに掲げるだけあって、“野洲らしい”高いテクニックを持った選手の存在も重要。その“らしさ”を担うのが背番号10番を背負うFWの中村真輝(3年)だ。「野洲の10番背負うからには、アイツはもうちょっと成長してもらわないといけない。昨年の望月嶺臣(現・名古屋)、乾貴士(現・ボーフム)とかに比べると見劣りする」と山本監督は冗談を交えながら手厳しい言葉を送るが、この日、見せた働きは偉大なる先輩たちの輝きに勝るとも劣らぬものだった。

 3トップの中央に位置しながらも、頻繁に中盤に落ちてボールを引き出しては、相手の背後へとスルーパス。FW藤浦裕也(3年)、田畑翔伍(2年)の両ウイングの突破を引き出しつつ、機を見ては自らも相手の背後へ飛び出してゴールに襲い掛かり、1ゴール1アシストを記録した。

 攻撃の核であることを示す活躍だったが、本人の自己評価は「もうちょっとパスを繋いで、野洲らしく相手にバレないように崩して得点したかった。今日は野洲らしさが無かった。個人としてまだボールに触る回数が少なかったし、判断も遅かった」と低めだった。

 理想とするのは自分らしい10番像の形成だ。「歴代の選手は凄い選手が多いけど、そこは余り気にせず、自分らしい10番を作っていければいいと思っている。昨年の(望月)嶺臣君は判断が速かったり、パスが主に上手かった。でも、パスもできるけど、ドリブルも出来たり、裏に走って受けたり自分らしさを出していきたい」と意気込む。

「昨年のメンバーは上手すぎた。中学校の頃から歯が立たなかったし、勝てなかった。日本でも野洲くらいしか出来ないサッカーやっていたと思う。比べられるのは仕方がないし、僕らは歴代のチームの中でも足元は上手くない。フィジカルをもっと使っていって今年らしさを出しつつ、最終局面で細かいパスを出して、野洲らしさを出していきたい」。理想とするサッカーの中心に彼の存在は欠かせない。そして、理想とするサッカーが完成した際に“中村真輝”というまた新たな野洲の10番像が刻まれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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