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[総体]相手応援席から巻き起こった「野田裕喜」コール、大津の注目CBが期待とともに全国へ

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[6.2 全国高校総体熊本県予選決勝 大津高 3-1 熊本国府高 水前寺競技場]

 全国高校総体熊本県予選決勝の試合終了後、スタジアムには“意外な”声が響き渡っていた。敗れた熊本国府高の応援席から「のだ・ひろき」コールが巻き起こったのだ。勝者・大津高のU-18日本代表CB野田裕喜主将(3年)に対する期待、そして敬意。これは一度だけでなく、大津イレブンが熊本国府応援席に挨拶した際にも再び「のだ・ひろき」コールがスタジアムに轟いた。これを受けた野田は「(相手チームにコールされたことは)初めてですね」と微笑みながら、「(野田コールは)嬉しかったですし、対戦相手をリスペクトするというのはいいチームだと思うので、自分たちもそれを見習わないといけないなと思いました」とチームリーダーらしい受け答えをした。

「圧倒的に勝つというのが目標だった」この日、野田をはじめとした大津イレブンは熊本国府相手にチャンスらしいチャンスをつくらせない。相手の縦に速い攻撃にもしっかりと対応。野田は中盤を抜けてきたボールを危険なゾーンに入れず、相手エース・原口克俊とのマッチアップを制すシーンもあった。後半終了直前に相手のファインショットによって1点を失ったが、さすがの存在感を見せていた野田はほぼ危なげない守りで全国切符を勝ち取った。

 高校生ながら今季、特別指定されているロアッソ熊本でJ2公式戦4試合に出場。年代別日本代表の主軸候補でもある野田は今年の高校サッカー界を代表するタレントのひとりだ。本人にも他の高体連所属選手とは違うステージで戦っているという自負がある。「自分はロアッソで試合に出させてもらっていますし、ほかの高校生とは違う経験ができていると思っている。それでもプロに入ったらまだ上手い選手だったり、強い選手というのはいる訳で、自分は高校生相手に目を向けるのではなくて、プロ相手に目を向けて目標をもっともっと高くして、早く達成して、納得できるまでに成長したいと思っています」と力を込めた。
 
 CBとしてプロで勝負する。野田は身長181cm。特別な高さがある訳でも、特別な速さがある訳でもない。プロの世界でCBは身体能力の差も出てしまいがちなポジションだが、それでも自分には負けない部分があると強調する。「自分のベースは戦う姿勢だったり、相手に絶対に負けないという気持ちだと思うんで。そこはプロの相手でも通用するなと思っています」。実際にプロと対戦し、CBのポジションで戦えるという自信は増した。「J2でやってもそこまでやられる気とかしないですし、プロの選手とかも『かかってこい』という感じで、自分はそこ(CB)で勝負したいです」

 全国総体の目標はもちろん日本一だ。U-18代表で仲がいいという桐光学園高(神奈川、代表校は20日決定)のFW小川航基を対戦したい相手として挙げ、「何もさせないくらいやれればいいと思います」と微笑んだ。たとえ強敵が相手でも絶対に得点を許さず、白星を勝ち取っていくという決意。名門のチームリーダーは「プレーでも、プレー外でコミュニケーション取ったりすることも自分がしなければいけないと思っている。ほかのヤツらよりも練習だったら一番汚れて、一番自分が声出してということを自分がやれば、みんながついてきてくれるので、それは意識しています。(全国総体は)夏で熱いですし、相手も当然レベルが上がってくる。その中で自分たちの強みである全員攻撃・全員守備ができたら日本一になれるんじゃないかと思っています」。注目が集まる中で迎える全国舞台では周囲からの視線をいい意味で力に変えながら、何より主将としての仕事を全うする。

(取材・文 吉田太郎)
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