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[総体]「今年はやらないといけない年」に魅せる快進撃!東海大高輪台が東京突破へ王手!!

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[6.11 総体東京都予選準々決勝 東海大高輪台高 2-0 駒場高 駒沢2]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)への出場権2枠を懸けた東京都予選の準々決勝が11日に行われ、東海大高輪台高駒場高に2-0で勝利。09年以来2度目となる全国総体出場へ王手を懸けた東海大高輪台は、準決勝で東京朝鮮高対成立学園高戦の勝者と戦う。

 今年1月、東海大高輪台の川島純一監督は今年のチームがポテンシャルの高いチームであることと、「全国のチャンスがある」ことを明言していた。その言葉通りの快進撃だ。昨年の総体予選は地区予選敗退、全国大会出場はまだ総体の1回だけという東海大高輪台が今大会では国士舘高、実践学園高という全国経験を持つ強敵と同ブロックとなった1次トーナメントを勝ち上がり、準々決勝でも前半からそのテクニカルなスタイルと堅守を発揮。1次トーナメントで選手権全国準優勝の國學院久我山高を破って勝ち上がってきた試合巧者・駒場を2-0で沈めた。

 激戦区となった1次トーナメントを突破し、ターゲットのひとつであった國學院久我山が敗退しても油断はなかった。川島監督が「(選手たちに)駒場は走ったり、粘ったりするベースは東京で一番じゃないかと言った」と説明した駒場との一戦。MF袖山翼主将(3年)が「自分たちは今まで通りにやってきたことを出すだけかなと思っていた」と語ったように、気を引き締めて試合に臨んだチームは立ち上がりから積極的なサッカーで先制点を狙っていく。そして29分、10番MF武井成豪(3年)が狭いスペースを通すパスで右サイドへ展開。MF小杉康太(3年)が深く切れ込んでクロスを入れると、MF武川剣進(3年)が「練習でもクロスのときにファーを絶対につくる形で練習していた。見たらファーが空いていた。小杉くんがそこにしっかりと上げてくれた」とファーサイドで合わせて先制ゴールを突き刺した。

 先制後も東海大高輪台は中盤、前線の選手たちがポジショニング良くスペースでボールを受けながらパス交換。そして前方にドリブルコースが生まれると、そこを突いた武川やMF高野颯翔(3年)が一気に前進していく。スペースを取るドリブルやパスが光る武川や長身テクニシャンの武井の存在感を示しつつ、グループとしての攻撃がとても機能していた東海大高輪台は袖山の右足ミドルなどで追加点を狙う。そして40分、PAへのパスをカットされながらも中央で相手の判断が遅れたところを見逃さずに奪い返すと、高い身体能力を持つ左SB木次悠(3年)が抜け出して左足シュートを流しこんだ。

 駒場の山下正人監督は「(國學院久我山に勝って選手たちの)気持ちは乗っていたけれど入れ込み過ぎ。高輪台が前半から来ることは分かっていた。前半は0-1でも。0-0なら御の字だった」と指摘。守備面では1トップや中盤の選手が相手の攻撃を限定させる狙いがあったが、気合が入りすぎたか、必要以上にボールを追ったり、ハードワークしてしまった選手がいたことで全体的に間延びし、できたスペースを活用されて攻めこまれてしまった。前半はFW三田健太郎(3年)が左サイドを巧みに抜け出して決定的なシュートを放つシーンもあったが、無得点。そして判断ミスもあって失った2点目が痛かった。

 駒場は後半も武川やFW小林慶伍(3年)に守りを崩されて決定的なシュートを放たれるシーンがあった。それでもCB柴田遼空(2年)やCB五十嵐心(3年)の好クリアやGK瀧川大輔(3年)の好セーブなど失点を重ねなかった駒場は終盤に反撃する。東海大高輪台の川島監督は「前半はグループでできていたけれど、後半は思考が止まって個人になっていましたね」。ボールの失い方が悪く攻め返された東海大高輪台は、駒場が後半に送り出した快足FW丸山永吉(3年)やMF木本拓夢(3年)にDFラインが圧力を受け、ロングスローでゴール前の混戦をつくられてしまった。それでもCB佐々木駿(3年)やCB木下勇樹(3年)を中心に跳ね返した東海大高輪台が2-0で勝利。今大会6試合無失点の堅守で全国出場へあと1勝とした。

 昨年は中盤から前が現在の3年生で固められていた。それだけに「今年はやらないといけない年」(川島監督)。チームはいずれもエース級のFW本藤悟(3年)やMF水野団(3年)という主軸がケガから戻ってきても簡単には先発できないほど、選手層が高まっている。また期待の世代は4月の関東大会予選初戦で修徳高に0-3で敗戦したことも糧となった。川島監督は「関東行くぞと言って失敗していい薬になった。甘くないと教えてもらった」。だからこそ、全国切符を懸けた準決勝もこの日同様、自分たちの力を発揮することに集中して準備する。武川は「今年は、チームがやるべきことを徹底して自分たちがやれるように頭を共有しながらやれれば、どんなチームにも回せると思うし、ゴール前の崩しなどが特長だと思う。今は負ける感じがあまりしない。乗っている感じがします。(準決勝は)厳しい試合になると思うけれど高輪台らしいサッカーをして勝ちたい」と語り、袖山は「本当はきょう学校だったんですけど休ませてもらって来ている。支えに感謝して、勝って恩返ししたい」。強豪たちがハイレベルな争いを繰り広げている首都・東京の戦いをテクニカルなタイガー軍団が駆け抜ける。

(取材・文 吉田太郎)
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