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インハイ期間中に進化、活力ある戦い見せる桐光学園が初の日本一へ前進

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前半26分、左SB金子開研のゴールを喜ぶ桐光学園高イレブン。(写真強力=高校サッカー年鑑)

[8.11 総体準々決勝 桐光学園高 5-0 富山一高 鈴鹿]

 インターハイ期間中も進化――。桐光学園高は大目標の選手権へ向けて積み上げてきたものが徐々に形になってきている。鈴木勝大監督は「まずは(佐々木ムライ)ヨセフ、阿部(龍聖)、西川(潤)と3のポイントが今、気持ちよく仕掛けていると思うんですよ。相手にとって相当驚異だと思いますし、後ろの4枚がディフェンスを熟知してきているので、チームの作りたてや前期と比較するとバランスが良くなってきたかなと思います」と説明する。

 インターハイ予選は怪我人もいてベストではなかった。大会直前の7月下旬に開催された福島復旧・復興祈念大会では同じくインターハイ出場校の尚志高(福島)に敗れるなど結果が出ず、大会直前も状態は決して良くはなかったという。それでも今回のインターハイでは一条高(奈良)との初戦や習志野高(千葉)との2回戦で競り勝つと、内容も徐々に向上。明秀日立高(茨城)との3回戦では一度追いつかれながらも突き放す強さを見せ、富山一高(富山)戦では注目エースFW西川潤(2年)の3得点など5-0と攻守が噛み合ってきている。

 指揮官も「ラウンドを重ねるごとに彼らの自信が変化から進化していったと思いますね」と頷く戦いぶり。今大会は目立った怪我人がおらず、得点差のついた準々決勝は5人を入れ替えて“温存”することもできた。累積警告による出場停止もゼロ。指揮官は「明日の準決勝(対昌平高戦)に凄くポジティブに入っていける」と口にしていた。

 鈴木監督は選手たちに自分を「表現」することを求めてきた。言葉よりも背中で引っ張るタイプのCB望月駿介主将(3年)も「(監督の)勝さんから繰り返し『表現してやれ』と言われているので、少しずつ変わってきていると思っています」と変化を実感していたが、実直なプレーを続けながら自分の思いをピッチで表現できるようになってきている。試合終盤に声を張り上げていたU-16日本代表FW西川も然り。これまでに比べて自分発信する選手が増えて、それが立ち上がりからエネルギッシュな試合をすることに繋がっている。

 まだまだ波もあるようだが、ノッた時に特に力を発揮する桐光学園の雰囲気は上々。望月は「みんなやる気が違っていて、戦う部分とか、走る部分も基礎的なところがインハイ前よりもできるようになったので、そこが(勝ち上がっている)一番の要因かなと思います」とそれぞれの気迫、チームの雰囲気の良さが勝因になっていることを説明していた。

 選手権制覇へ向けたストーリーの中、今大会中も成長すること、目の前の試合に全力を注入することを目指してきた。それも功を奏して同校史上最高タイのベスト4進出。桐光学園にとって初となる日本一も見えて来ている。望月は「桐光の歴史上、ベスト4が一番上なので、一戦必勝というのを忘れず、明日・明後日に繋げて行きたいと思います」。準決勝も全力で戦い、また一つ成長する試合にして歴史も変える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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