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尚志FW染野はスルーパスで同点アシスト。“半端ない”FWはDFの警戒超えるための打開策実行へ

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ストライカーとしての進化を誓う尚志高FW染野唯月。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 総体3回戦 尚志高 1-1(PK4-2)神村学園高 吉の浦公園ごさまる陸上競技場]
 
 ゴールを量産してきた“半端ない”ストライカーは、次のステップを求めていく。尚志高のU-18日本代表FW染野唯月(3年、鹿島内定)は怪我を抱えていることもあって今大会、3試合連続でのベンチスタート。この日は0-1の後半開始からピッチに立ち、同点ゴールをアシストした。

 クーリングブレイク直後の後半24分、前線でゴールを背にしたままボールを受けた染野は、反転しながらスルーパス。絶妙なタイミングで抜け出したFW山内大空主将(3年)がGKの鼻先で左足シュートを決めた。

 染野は「冷静に考えた時に、あのスルーパスは良い選択だった」と振り返る。「(リードされていたために)高ぶっていて、『自分で行きたい』という気持ちだった。でも、冷静にプレーできたことがスルーパスに繋がった」。相手のマークが集中する中で最良の判断。高いパスセンスも備えるストライカーは自身を囮にする形でチームに歓喜をもたらした。

 大仕事をした染野にとってこの3回戦は、FWとしての進化の必要性も感じる試合となった。染野は1月の高校選手権準決勝でハットトリックの活躍。特に切り返し一発でDF3人とGKの逆を取った2点目は「本当に思い通りに行った」というゴールだった。優勝校相手の衝撃的な3発、そして同大会得点王を獲得したFWは、進路である鹿島出身の日本代表FW大迫勇也同様“半端ないストライカー”の代名詞がついた。

 染野は、新チームになった後もサニックスカップなどで切り返しからゴールを決めている。だが、知名度が上がるとともに、その切り返しは相手から警戒されることに。この日も切り返しからシュートを狙うシーンがあったが、相手DFがその動きについて来てブロックされた。

 染野も「自分の切り返しが読まれてきている」と分析する。その打開策として、「一個目で無理な体勢でも打たないといけないというのが増えてくるので、FWとして決めるところを一発で仕留める力をもっとつけていけないといけない。当たって入ったりするシーンもよく見られるので、予測して打てば、何か起こると考えて打てればいい」と明かした。

 この日は、最初のシュート体勢に入った時にブロックされると感じて切り返しを選択。だが、自身のシュート力を信じて強引に打ち切っても良い。また、コンマ数秒速く足を振り抜くことができれば、DFに当てずに決めることができるかもしれない。これまではDFの動きが見えているからこそ、切り返しで逆を取ろうとしていた。だが、判断速くシュートを打つ機会を増やせば、切り返しもまた効果を発揮する可能性が高い。

「きょうは全然打っていないので、1試合2桁くらい打てるように」と染野。警戒される中でもそれを乗り越えてゴールを破るという覚悟を固めた染野が、この後の戦いでどのような活躍を見せるか注目だ。

「自分が良いプレーを出せば、チームも良くなってくると言われている。自分が前向きのプレーを心がけていけば、最終的に自分たちの求めているものを手に入れられると思う」。自身の出場時間が限られている中、着実に進化を遂げているチームメートたちのプレーから刺激を受けている。自身はゴールを。注目FWが、このインターハイでゴールハンターとして覚醒する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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