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[MOM3457]福知山成美FWオリオラ・サンデー(3年)_狙うはインハイでの活躍とプロ入り。デ・ブライネをイメージしたFWが2A!

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福知山成美高のナイジェリア人FWオリオラ・サンデーが2アシストの活躍

[5.16 インターハイ京都府予選4回戦 福知山成美高 5-2 洛南高]

 インターハイの京都府予選は16日に4回戦を実施し、福知山成美高が洛南高に5-2で快勝した。

 今川宣久監督が、「先週は先週のベストメンバーを出したし、今週は今週のベストメンバーを出した」と話す通り、福知山成美は3回戦からはスタメンを4人入れ替えて洛南との試合に挑んだ。激しい競争をチーム力へと繋げるのが狙いで、規格外のスケールを持ったFWオリオラ・サンデー(3年)とFWエマ・サミュエル(3年)のナイジェリアコンビも例外ではなく、状態は悪ければベンチスタートもあり、守備をサボることも許されない。

「確かに能力は高いけど、スター選手とは思っていない。国が違ったとしても同じように扱っている」という今川監督のスタンスは起用法やベンチからの指示からも感じ取れるが、二人の存在が相手チームにとって厄介であるのは間違いない。特に187cm、72kgのフィジカルを持ち、スピードとパワー、上手さを備えたサンデーの存在は、高校サッカーの枠組みに収まりきらない。複数のJクラブが注目するのも頷ける選手だ。

 これまでは前線でプレーする機会が多かったが、「1トップに入れてサンデーに攻撃を任せるサッカーだと勝てる確率が高くなるかもしれないけど、それはあの子のためにならない。能力をもっと伸ばしてあげたい」と考える今川監督の判断で、この日はトップ下でプレー。持ち味である力強い突破からのシュートではなく、攻撃の組み立てや守備で奮闘する場面が続いた。

 チームとしては全員で高い位置からプレスをかけて、ロングボールを狙う洛南の攻撃を遮断するのが洛南戦での狙い。前半6分には、高い位置で奪ったボールを受けたサンデーが素早く左に展開し、MF袋恵伍(2年)の先制点をアシストした。「恵伍は最初の5分を見て、調子が良いと思った。ボールを持った瞬間恵伍が見えなかったけど、絶対にフリーになると分かっていた」。4点リードで迎えた後半5分にも、中央からのパスで袋のゴールをアシストするなど、本来とは違う持ち場であってもサンデーの輝きは色あせなかった。

 アシストを記録した2つの場面だけでなく、前半23分には左サイドからのサイドチェンジで、MF西田宗馬(3年)のシュートを引き出した。この日はストライカーとしてではなく、チャンスメーカーとしての役割に重きを置いたのにはポジションだけでない理由がある。「ここに来るまでにケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)の試合を見た。インタビューを聞いて、今のポジションは点も大事だけど、アシストも大事だと思った」。

 中盤での作業がメインであっても、ここぞの場面では単独でシュートまで持っていけるのがサンデーの魅力だ。前半31分には、自陣左からのクリアボールを拾い、力強いドリブルでゴール前まで運んだがタイミングよく前に出たGKがストップ。直後の33分にも、MF八重謙太郎(3年)がDF裏に入れたボールを見事なコントールでおさめ、シュートを放ったが再びGKに阻まれた。ゴールを奪えなかったが悔しさはあるが、「2アシストできたから気持ちは大丈夫。次の試合ではもっと頑張って点が獲りたい。ゴールの練習をもっと集中してやりたい」。

「良いテンポで攻撃ができたと思うけど、最後は集中力が切れて2失点したのが課題」と振り返った通り、5点差がついてからDF陣が不用意なPKを与えて、2点を失ったのは次戦以降に修正すべき点。より気持ちを引き締め、次戦以降の準備を進めていく。

 周りに実力者が多かったサンデーの1年目はゴールを奪う作業に専念できたが、この2年はチャンスメークに回る作業も増えており、得点数は減っている。ただ、来日した頃と比べて格段と守備意識が高まっているのは大きな収穫で、サッカー選手としての成長は著しい。「プロに入るためには攻撃の勉強だけでなく、守備の勉強もとても大事。だから、得点が減っていても俺は大丈夫」。

 高知中央高から盛岡に進んだMFオタボー・ケネスやYS横浜のFWオニエ・オゴチュクウはナイジェリア時代から旧知の存在。「二人とは違って色んなポジションができるのが俺の特徴。できないのはサイドバックだけ」とライバル心を覗かせる通り、高卒でJリーガーとなるのが目標だ。

 獲得に興味を示すJクラブもあるが、より多くの人に知ってもらうためには今夏での活躍が欠かせない。「このインターハイは、とても大事。日本に来た最初の選手権はベスト8、昨年の選手権はベスト4で負けているので、次こそは決勝に行きたい。そこまで行けば皆が見てくれるし、スカウトもいっぱい来る。俺にとっては大事な試合だから、決勝に行きたい」と誓うサンデーの戦いは、ここからが正念場だ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2021

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