beacon

延長終了間際にスーパーサブ半澤3戦連発弾!東海大山形が98年以来のインターハイへ:山形

このエントリーをはてなブックマークに追加

東海大山形高が、98年以来のインターハイへ

[6.6 インターハイ山形県予選決勝 東海大山形高 1-0(延長)山形中央高 山形県総合運動公園サッカー場]

 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の背と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)山形県予選決勝が6日、山形県総合運動公園サッカー場で行われ、東海大山形高山形中央高を1-0で下し、1998年以来3回目のインターハイ出場を決めた。

 立ち上がりは落ち着いた入りの両者だったが、次第に相手陣内に攻め入ったのは東海大山形だった。MF長岡壱宗(3年)とMF齋藤然(3年)の両サイドハーフが積極的に縦への突破を仕掛け、特に齋藤はカットインしてのシュートも見せ、相手守備陣に襲いかかった。山形中央もGK吉田勇生(3年)や、フィジカルの強いDF押野晃汰(3年)が冷静な対応を見せゴールを割らせない。

 0-0で折り返した後半も東海大山形が優位に試合を進め、18分にはMF小野武人(3年)がペナルティエリア近くで直接フリーキックを放つが、山形中央はGK吉田がパンチングでかき出すビッグセーブを見せ、ゴールを死守した。劣勢の流れを変えたい山形中央はDF菊地謙辰(2年)を投入。菊地は再三得意のロングスローから決定機を作ったが、東海大山形はゲームキャプテンDF浦山翔亜(3年)を中心に粘り強い守りを見せ、0-0のまま試合は延長戦に突入した。

 延長戦も互いになかなかゴールが生まれず、東海大山形は延長後半9分、GK太田智大(3年)からGK太田朋輝(3年)に交代し、PK戦への備えに入ったが、その直後の延長後半10分にコーナーキックのチャンスを得た。DF高松怜慈(2年)のコーナーキックからゴール前で混戦となり、こぼれ球を拾ったのは後半途中から出場のMF半澤大地(3年)。半澤が放ったシュートはゴール左隅へと吸い込まれ、ついに東海大山形が先制。そのまま試合終了し、1-0で東海大山形が勝利した。

 東海大山形の五十嵐直史監督が「半澤は準々決勝・日大山形高戦、準決勝・羽黒高戦に続いて3戦連発です。今回はケガ明けだったので交代で入れていました」と語ったアタッカー半澤の起用が当たった。

「拮抗したゲームの中で、自分が出て点を取るんだと思って試合に臨みました」という半澤が見事、指揮官の期待に応えた。両サイドの縦への速さが特長のチームだが、万全だったわけではない。チームキャプテンMF梅津太智(3年)、守備の要だった澤田颯聖(3年)が共に負傷離脱。ゲームキャプテンを務めた浦山は「本当のキャプテンがいませんでしたが、苦しい中で自分たちで声をかけながらプレーでき、100人部員がいる中、メンバー外の人の分も背負って責任持ってプレーしました」と時折涙をこらえながら語った。

「同じ地区出身の長岡正樹コーチは23年前優勝した時選手だった方ですが、そうしたコーチのお世話になり、東海を全国に連れて行くことができて嬉しいです」と感慨ひとしおだった。五十嵐監督は「全国で戦うには攻守とももう一段二段レベルを上げないといけません。組織的な守備を整備し、攻撃も縦一辺倒なので、パスで相手を動かしてゲームをつくって、相手の隙を突くこともやっていきたいです」とインターハイに向けて意気込みを語った。

 一方、敗れた山形中央・羽角哲弘監督は「真ん中で最後体を張る中央を薄くしない守備は頑張ってできていたと思いましたが、最後東海さんの粘り強さに我慢しきれませんでした。わずかな差で相手の執念が上回りました」とラストワンプレーでの失点を悔やんだ。

 ロングボールが多くなったことについては「コロナの影響で大会前2週間、活動が凍結となり、シンプルなスタイルのチームを作らざるをえませんでした。選手権ではパスワーク中心のチームを作りたいですし、今日みたいな試合はやりたくありません」と、コロナ禍の影響により丁寧なビルドアップを仕込む時間が取れなかったという。キャプテンのMF太田豪樹(3年)も「自分たちの特長はパスサッカーです。そこをもうちょっとやらないといけませんでした。選手権ではより質の高いチームにしたいです」と、もう一度ショートパスによるビルドアップに取り組み、選手権では違った姿を見せようとしていた。

(取材・文 小林健志) 
●【特設】高校総体2021

TOP