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アカデミーや神村学園で意識してきた“世界基準”、相手を見て逆を取ること。速さも増したゲームメーカー・MF佐藤璃樹

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技術力と速さで違いを生み出す神村学園高MF佐藤璃樹

 神村学園高(鹿児島)はプリンスリーグ九州を6勝1敗で暫定首位ターン。特に総得点28は、2位の2倍にも及ぶ数字だ。5月以降は公式戦全勝。中でも有村圭一郎監督は、7月の取材時に「ダブルボランチが良いですよ」とMF佐藤璃樹(3年=FCアラーラ鹿児島U-15出身)、MF畠中健心(3年)の2人を推していた。

 中でも佐藤は、昨年からのレギュラーだ。中央、サイドでもプレー可能な佐藤は今年、ボランチに定着。「ボランチでボールをたくさん配って、(監督の)有村先生から『相手を見て逆を取ること』を言われているので、それを意識してできている」と語る。

「チーム内でライバルです。畠中とやっていて取られる気はあんまりしないし、お互い上がったり下がったりして、チャンスにも絡めてやりやすいです」という畠中とバランスを取りながら、攻守両面でチームをサポート。畠中が「ゲームメークのところだったりはアイツ、凄いなというのはある」と認める佐藤は、シンプルにボールをさばきながら、縦パス、サイドチェンジで攻撃のスイッチを入れるなど、タレント揃いのアタッカー陣を“目立たずに”コントロールしている。

 佐藤は小学生時代から鹿児島県トレセン入り。中学校は地元を離れ、JFAアカデミー熊本宇城へ進んだ。宇城市立小川中に通い、放課後はJFAアカデミーでトレーニング。週末は地元・鹿児島へ戻り、FCアラーラ鹿児島U-15でプレーするという3年間を過ごした。

 当時について佐藤は、「『世界基準』を意識して日々トレーニングして今、その成果が出ていると思う」と振り返る。地元を離れての日々だったが、楽しい3年間だったようだ。「最初慣れなかったんですけれども、少しずつ自分で洗濯したり自立できるようになった」。人間的にも成長した佐藤は、地元・鹿児島を代表する強豪校・神村学園へ進学。そこでまた自分を成長させている。

「中学までは感覚でプレーしていたところがあって、それで何とかできていたんですけれども、高校生になって相手のプレースピードも上がって、それじゃ通用しないと思ったので、ボールが来る前に見たり、相手の動きを見て逆を取るところを意識しています」

 加えて、有村監督やコーチ陣が驚いていたのが、佐藤のスピードが急激に速くなっていることだ。佐藤は週一回のオフの日にフィジカルトレーナーの下へ。臀部とふくらはぎを上手く活用することで瞬間的なパワーを出せるようなトレーニングなどを重ねたという。その結果、50m走のタイムは前年の6秒7から6秒3へ。特に初速のスピードはチームトップになり、「姿勢も良くなった」。

 スピードアップしたことでよりセカンドボールの回収ができるようになったほか、一瞬の加速で相手DFを剥がせるように。「相手にボールを奪われずにチャンスを作っていきたい」という理想のプレーをより体現できるようになっている。

 目標とする選手は日本代表MF遠藤航(シュツットガルト)だ。“デュエルキング”のように守備でも、攻撃でもチームを勝たせる選手へ。将来、プロサッカー選手、日本代表を目指す佐藤はまずチームメートたちと神村学園にとって初の日本一を狙う。

「今年はやっぱりプリンスリーグとかでも良い結果を残せていて、チームとしても良い状態なので、全国制覇狙えるかなと思っています」。目立たなくてもチームが勝つために頑張れる選手。佐藤が中学時代や神村学園の日常で身につけた力を全国でチームのために出し切る。

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(取材・文 吉田太郎)
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