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県準決勝で負傷交代し、決勝は欠場。尚志のゲームメーカーMF新谷一真「全国で見せつけてやりたい」

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尚志高の浮沈の鍵を握るボランチ、MF新谷一真

 県予選の悔しさを全国大会でぶつける。尚志高(福島)は現在、プリンスリーグ東北で10勝1敗と首位を快走中。長短のパスワークと、後方から“前を追い越す”スプリントを特長とするチームのゲームメークを司るのが、MF新谷一真(3年=横須賀シーガルズFC出身)だ。

 ともに昨年度から先発を務める新谷と10番MF松尾春希(3年)のボランチコンビは、今年の尚志の生命線。中でも、足元の技術高い新谷は狭い局面でも冷静に打開し、一本の縦パスや意外性のあるラストパスで決定機を生み出すことができる選手だ。

 だが、インターハイ福島県予選は思い描いていたような活躍ができなかった。準決勝の前半、CKに飛び込もうとした際に相手GKと激しく交錯し、途中交代。チームは延長戦の末に勝利したものの、新谷は翌日の決勝もピッチに立つことはできなかった。

 司令塔不在で不安視された尚志だったが、代わってボランチに入ったMF松本勇斗主将(3年)が安定感の高いプレー。また、松尾が先制点を決めるなど前半を2-0で折り返すと、後半にも3得点を加えて5-0で快勝した。

 新谷は「悔しかったです。出たかったですけれども、快勝してくれたから……」。小学生時代は同級生5人の小さなチームに所属し、中学時代も関東大会へ出場することができなかった新谷にとって、全国出場は大きな夢。その夢を繋いでくれた仲間たちに感謝するボランチは、「全国で(自分の力を)見せつけてやりたい」と意気込んでいる。

 インターハイ予選後はコンディションが上がらずに苦戦した。それでも栄養面を考え、魚や野菜ジュースを摂取することで改善。以前は後半になると足を攣らせることが多く、それを気にしながらのプレーになっていた。だが、不安はなくなり、「今は落ち着いて、どんどんボールに絡めるようになりました」。後半も積極的なプレーを続けて尚志の特長を引き出している。

 憧れはスペイン代表MFセルヒオ・ブスケツやU-24日本代表MF田中碧。彼らのように、特別目立たなくても1つ1つのプレーの質や献身性の高さでチームを好転させる新谷はインターハイへ向けて、「チームでの全国大会は初めてなので楽しみです。落ち着いたプレーとか、点に繋がるパスとか細かいところまで見て欲しい。あまり目立つプレーとかではないけれど、チームのために戦って、一戦一戦勝って、優勝したいです」と誓った。

 DFチェイス・アンリ(3年)ら主軸不在だった東北高校新人戦準決勝で青森山田高(青森)に0-5で敗戦しているだけに、「(青森山田と)決勝でやりたいです」。当時も中盤で奮闘し、決定的なラストパスを通していた新谷だが、細かなミスが増えていたことも確か。あの敗戦をきっかけに練習の強度も、質も上げてきたMFが、宿敵を倒し、尚志にとって初の全国制覇を果たす。

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(取材・文 吉田太郎)
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