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1点を守るのではなく、「全員で点獲りにいくぞ!」。後半より前に出た三田学園が5-0で全国王手:兵庫

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最後まで貪欲に前へ出続けた三田学園高。後半35分に1年生FW姫田琢斗が右足で決めて5点目

[6.3 インターハイ兵庫県予選準決勝 市立尼崎高 0-5 三田学園高 アスパ五色メインG]

 3日、令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技兵庫県予選準決勝が行われ、三田学園高市立尼崎高に5-0で快勝。三田学園は5日の決勝で神戸弘陵高と戦う。

 会心の5-0勝利。だが、三田学園の上野将嗣コーチは、「結果、こうなったという感触です。僕の中では。後半の最初に入ったからこういう展開になった。気を許したら逆に僕たちがやられる可能性もあったんじゃないか」と振り返る。

 1-0で終えた前半から後半にシフトアップ。「後半に良い声がけをしてくれた。守備に回ったら絶対に負けるから後半も攻撃的にやろうと。キャプテンが選手を押し上げてくれたから攻撃的な良いゲームになった」と上野コーチは分析する。三田学園は主将の187cmCB 新井生(3年)を中心にアグレッシブな戦いを続けたことで公立の強豪、市立尼崎との差を生み出した。

 2大会ぶり3回目のインターハイ出場を狙う三田学園は4-4-2システム。GK中西孝太(3年)、右SB小川蒼葉(3年)、CBが新井と注目ルーキーの黒瀬直弥(1年)、左SB中島大地(3年)、ダブルボランチが清井海尋(3年)と山根遊馬(3年)、右SH鬼武哲也(3年)、左SH上山悠仁(3年)、2トップに阪倉寛人(3年)とエースFW宮内泉太朗(3年)が構えた。

 一方の市立尼崎は17年以来のインターハイ出場へ挑戦。4-5-1のGKは西岡孝洋(2年)、右SB原田尚賢(3年)、CB中島颯士(3年)、CB潘龍児主将(3年)、左SB西川諒(3年)、ダブルボランチが河野一心(3年)と中田翔理(3年)、トップ下が川元優大(3年)、右SH大塚柊弥(3年)、左SH丸山敬之(3年)、1トップを澤畠遼(3年)が務めた。

 前半、互いにサイドからの攻撃を軸にゴールを目指す。三田学園は個で違いを作るような動きを見せていた宮内がカットインから右足シュートを打ち込み、清井の絶妙な配球から上山が左足を振り抜く。

 一方の市立尼崎も距離感良くボールを動かし、川元が一瞬のスピードとテクニックで相手の守りを攻略。原田の攻撃参加などからCKを獲得し、トリッキーなサインプレーで相手の守りを崩しかけるシーンもあった。

 市立尼崎が良く食い下がっていたものの、プリンスリーグ勢の三田学園が先制点を奪う。31分、小川の右ロングスローからこぼれ球に反応した宮内が強引に右足を振り切る。DFがブロックしたものの、高く舞い上がったボールがGKの頭上を越えてゴールへ。三田学園が1-0で前半を折り返した。

 ハーフタイム、三田学園の新井は「芦屋学園との試合の時に開始1分くらいに先制したんですけれども、最後どんどん引いてしまって延長戦になってというシンドい試合があった。その反省を活かして1、2、3点と獲って勝ち切れるように、1点で守りに行くんじゃなくて全員で点を獲りに行くぞと言っていました」と振り返る。

 その姿勢が後半立ち上がりの連続ゴールに結びついた。1分、宮内のスルーパスからFW阪倉寛人(3年)がシュートへ持ち込み、最後は上山が決めて2-0。市立尼崎の近藤照男監督は距離感が悪くなってしまっていたことと、後半開始直後の失点を残念がった。

 一方、SHを押し上げる形でプレッシングの掛け方を修正した三田学園は、得意のショートカウンターを連発。9分、河野の左クロスを右エンドライン付近で拾った宮内が細かなタッチのドリブルと切り返しから右足シュートをゴールへ叩き込む。さらに12分には、小川のロングスローのクリアを清井が右足ダイレクトのミドルシュートで決め、4点差とした。

 三田学園は後半20分までに鬼武、阪倉、宮内、そして「きょう本当によく頑張ってくれました」(上野コーチ)という黒瀬に代え、FW宮島幸大(3年)、FW宮脇颯良(3年)、FW姫田琢斗(1年)、CB八木捷斗(2年)を相次いで投入する。

 市立尼崎も丸山、澤畠、川元、大塚をMF南澤七誠(2年)、FW岩崎琉生(3年)、FW木村陽太(3年)、MF中浜旭輝(2年)へそれぞれ交代。攻める姿勢を失わずに1点を目指し続けたが、三田学園は宮脇をはじめ交代出場組も非常にエネルギッシュな動きを見せる。そして35分、宮島の右クロスから姫田が右足で決めて5-0。決勝へ向けて弾みをつけた。

 勝った三田学園の新井は、「全員で(献身的に)スライドして、交代出場の選手も活躍してくれたので良かった」。決勝で戦う神戸弘陵は今年、新人戦で0-3、プリンスリーグ関西で0-4と連敗。だが、いずれも新井を欠いており、1年生の台頭もある。宮内は「みんなで(全国切符を)勝ち取りたいと思います」。この日の後半のようにアグレッシブな戦いを貫き、今度こそ上回って全国切符を獲得する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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