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退場者出した聖和学園が追い付き、立正大淞南にPK戦で勝利!! 主将・小野「聖和の見られ方変えたい」

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MF方城陸斗(2年=中央)の同点ゴールを喜ぶ聖和学園高(宮城)

[7.24 総体1回戦 聖和学園 2-2(PK3-2) 立正大淞南 鳴門・大塚スポーツパーク球技場]

 全国高校総体(インターハイ)サッカー競技男子は24日に徳島県で開幕を迎え、聖和学園高(宮城)は、PK戦の末に立正大淞南高(島根)を破って2回戦に進出した。加見成司監督は「諦めたら終わり。ボールを大事したら、チャンスはあるかなと思っていた。怖がっていたら勝負にならない。よく頑張ったと思います」と選手の健闘を称えた。

 しかし、苦しい展開だった。県大会から大きくメンバーを入れ替えた構成で臨んだ全国大会の初戦、立ち上がりは上々の出来だった。前半3分、FW角野玲也(3年)が相手の背後を取って先制点。相手の出鼻をくじく一撃を見舞った。しかし、その後は攻撃のビルドアップを相手のハイプレスに阻まれて、なかなか攻撃に移れなかった。

 前半7分、立正大淞南は、MFダ・シルバ・イゴル・ヤン(3年)がドリブル突破から低いクロスを送ると、オウンゴールを誘発して同点。さらに同25分、エースFW香西銀二郎(3年)が自身で得たPKを決めて逆転した。聖和学園もシャドーストライカーのMF近藤良雅(3年)やボランチのMF方城陸斗(2年)が相手のマークをはがそうとしたが、前半は低い位置で捕まることが多く、攻撃のギアが上がらなかった。

 追い上げたい後半も苦戦。後半13分、先制点を決めたFW角野が2度目の警告で退場となり、数的不利に陥った。試合の流れは、立正大淞南に傾くかと思われたが、むしろ「ドリブル軍団」聖和学園の本領発揮は、ここからだった。MF藤田晴(3年)を中心に、ボールホルダーの近くに味方が複数集結。狭いエリアで数的優位を作り出すと、ドリブルで相手をひきつけてショートパスの連係を仕掛け、局面を打開。シュートに持ち込むのが難しかったが、試合のペースを手繰り寄せて同点の機運を高めていった。

 とどめを刺したい立正大淞南は、後半27分に右サイドのスローインの場面からパスをつないで逆サイドに展開すると、香西がヘディングシュートを放ったが、クロスバーに嫌われて追加点を奪えなかった。すると直後の同30分、聖和学園は右サイドに集結して敵陣を突破。最後はMF藤田がしっかりと「溜め」を作っている間に、MF方城がゴールを確認。藤田がふわりと浮かしたクロスを方城がヘディングでたたき、GK塚田喜心(2年)の手を弾いてネットを揺らし、同点に追いついた。

 方城は「1人少ない状況だったので、ボランチのどちらかが上がらないといけないと思って、自分が上がった。一瞬、ゴールを見れて、良い感じでループのパスが来た」と感触を語った。試合終盤は、立正大淞南が猛攻を仕掛けたが得点は生まれず、2-2でPK戦に突入。聖和学園は、直前にGKを交代させようとしたが間に合わず、先発GK菅井一那(3年)がそのままゴールマウスを守ったが、相手の3本目以降を3本連続ストップ。仲間が1本失敗したが、後攻のため5人目は蹴る必要がなく、PK戦3-2で勝利を収めた。

 主将を務めるDF小野喬(3年)は「昨年から日本一を獲ろうと言ってやってきている。優勝することで、聖和の見られ方が変わると思う。ドリブルばかりしてボールを失って失点すると思われている部分が強いと感じるけど、ドリブルだけでなくショートパスもあるし、セットプレーも工夫している。ドリブルだけで遊ぶチームじゃない。ドリブルが(武器として)あって、勝てるチームだと見せていきたい」と今大会にかけている思いを明かした。「ドリブル軍団」のイメージが定着して久しい聖和学園だが、まだ全国大会で上位には進出できていない。一皮むける夏にできるか。翌25日の2回戦では、札幌光星(北海道2)と対戦する。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2022

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