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「去年負けた経験を活かさないと何も意味がない」。1年前の敗戦から変わった丸岡が見事な逆転勝ち

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丸岡高を引っ張るCB山田健太主将(右)。先制されても崩れなかったチームは見事な逆転勝ち

[7.24 インターハイ1回戦 日大藤沢高 1-2 丸岡高 鳴門大塚]

「去年、(青森)山田戦に負けた時のメンバーがかなり出ているので、それが大きいと思う。去年負けた経験を活かさないと何も意味がないと思うので、それをチームとして上手く還元しないといけない」。CB山田健太主将(3年)が説明したように、丸岡高(福井)は1年前の敗戦で学んだことを勝利に結びつけた。

 この日は前半にPKで先制点を献上したものの、テーマにしていたセカンドボールの回収で日大藤沢高と渡り合う。また、相手の198cmFW森重陽介(3年)にボールを収められていたが、すぐにブロックを作り直して前進を阻んだ。

 攻撃面では、俊足エースFW小関晴人(3年)目掛けた縦への仕掛けだけでなく、俊足FW川下恭太郎(2年)、パワーのあるFW伊藤大貴(3年)の両翼も有効活用。「今までは縦縦だったけれど、チェンジサイド、ボールを一つ動かせるようになったので」(小阪康弘監督)という特長も活かし、MF渡辺祥気(2年)、MF奥村洋武(2年)から幅を使ってボールを動かして反撃した。

 そして、「(日大藤沢は)SBがガンガン上がってくるのであれを潰そうとしてやっていた」(小阪監督)と相手SBを押し下げることを意図した仕掛け。焦れずに続けていたことが、ゴールと白星を引き寄せた。後半31分に山田のライナー性のロングスローから右SB徳山港音(3年)が同点ゴールを決めると、相手が前がかりになった34分には、伊藤の斜めのパスでFW小関晴人(3年)が相手左SBの外側のスペースを突き、決勝点を叩き込んだ。

 セカンドボールの回収や意図的にボールを動かすなど狙い通りの戦いで逆転勝利。また、小阪監督は「去年の経験が活きたなと」と振り返る。昨年、丸岡は地元・福井開催のインターハイに福井県第1代表として出場。初戦を突破し、3回戦でその後3冠王者に輝く青森山田高と対戦した。前半17分まで0-0も前半18分の1失点目から畳み掛けられる形で前半5失点。後半も3点を奪われて0-8で敗れた。

 力の差を見せつけられての完敗。だが、山田が「経験を活かさないと何も意味がない」というように、チームは取り組む姿勢から変えて1年間を過ごしてきた。「青森山田戦で負けるまでは何となくやっているところもあったんですけれども、去年山田戦で負けてから、選手権へ向けてというところで去年の3年生のキャプテンだけがやるんじゃなくて、チーム全体としてやらないといけないと」(山田)と意識面から変化。トレーニングの強度も高まり、また速攻、サイド攻撃、セットプレーからの得点など色々な戦い方ができるチームになってきている。

 飲水後に畳み掛けられた昨年の経験もプラスにした。「去年やられていたので。強いチームはそこを絶対に狙ってくるぞと」(小阪監督)警戒。不要な失点をすることなく試合を進め、後半のクーリングブレイク後にギアを上げて試合をひっくり返した。

 2回戦の対戦相手は青森山田と同じプレミアリーグ勢の市立船橋高。山田は「プレミアには借りがあるので必ず勝って、上がってくるか分からないですけれども、3回戦で山田とやれるように明日も勝ちたい」と意気込む。この日見事な逆転勝ちを収めた名門が、2回戦も勝って昨年と同じ舞台へ進出する。

(取材・文 吉田太郎)
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