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不調から立て直して強さ示すも3回戦敗退。東山は「より努力して、覚悟を持って」選手権で日本一に挑戦

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東山高は冬、日本一に再挑戦する

[7.26 インターハイ3回戦 矢板中央高 1-1(PK5-4)東山高 鳴門大塚]

 大会前の不調から立て直して3回戦進出。2年連続となる8強入りを懸けた一戦でも強さを示したが、東山高(京都)はPK戦で敗退となった。

 立ち上がりに矢板中央高(栃木)のロングスローで失点。空中戦の攻防を少なくすることをテーマにして試合に臨んだが、DF新谷陸斗主将(3年)は「流れを変えるためにボールを回すことを早い時間帯にできなかった」と振り返る。

 後半はボールを保持する時間を増加。正確なパスを繋ぎ続け、消化試合が1試合多い相手の足を止めた。そして、諦めずに攻め続けてMF清水楓之介(3年)の見事な左足コントロールショットで同点。選手たちは喜びを爆発させた。

 だが、この時点で後半34分。ここから引っくり返すには時間が短すぎた。PK戦では4人目まで成功したものの、5人目の大黒柱・新谷のシュートが枠を外れて惜敗。主将は取材エリアで気丈に振る舞っていたが、「後悔」という言葉を発して敗戦の責任を全て背負っていた。

 今年はC大阪内定のU-18日本代表候補MF阪田澪哉(3年)をはじめ、ともにU-17日本高校選抜の新谷とMF真田蓮司(3年)、20年U-16日本代表候補のDF仲里勇真(3年)ら攻守に実力者が多数。夏冬連続で8強入りした昨年の経験もあって、シーズン前から前評判が高かった。

 実際に公式戦で強さを示し、優勝したインターハイ予選を挟んでプリンスリーグ関西2部も5連勝。だが、インターハイ前の3試合を1分2敗と状態を崩していた。選手たちはインターハイ開幕までの2週間で変わることを宣言。今大会初戦は帝京長岡高(新潟)との注目対決だったが、清水と阪田のゴールで逆転し、FW豊嶋蓮央(3年)が2点を加えて4-1で快勝した。

 福重良一監督は「予選終わったあとプリンスリーグで好ましい結果が出なくて彼らは凄く苦しんでいたんですけれども、何とか10日くらいで立て直して大会に臨めたのは良かったと思います。当たり前というか、自分たちのできることを徹底して、何か凄いことをやろうというよりも自分たちができることをしっかりと徹底してやろう、という話をしましたし、そういうトレーニングをしました」と説明する。

 だが、強豪対決で勝ち続けることができなかった。福重監督は「そういうこと(良い状態)があると躓くと今(試合直後)もそういう話をさせてもらって、『本当に選手権できょうの悔しさを持って、より努力して、覚悟を持ってやろうか』という話をしました」。指揮官は「昨年から出ている軸となる選手が自覚を持ってチームを引き上げる」ことを求めていたが、経験者たち中心に覚悟を持って冬を目指す。

 新谷は「矢板中央さんがとても強くて、そこを謙虚に受け止めて、矢板中央さんを超すというか、日本一を目指す上で強豪校がどんどん来る中で、そこを倒していくためにもっと自分たちのサッカーができるように、これからもっとしていけたらなと思います」と語る。

 また、真田は「去年はもっとチャレンジャー精神を持ってやっていたんですけれども、今年は受けに立つ回数が多いというか、そういうところで相手にやられることが多いと思います。もっと全員が走って、全員が声を出してとか、当たり前のことをすることが東山のサッカーでもあるので、夏負けてしまったんですけれども冬に向けてやっていきたいです」。目標が全国制覇であることは変わらない。注目校はこの悔しさを忘れず、どこよりも努力して、当たり前のことを徹底して強くなる。 

(取材・文 吉田太郎)
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