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[MOM4310]東邦DF朴勢己(3年)_攻守、ピッチ外でも圧倒的な存在感。元鳥栖の父と同じステージへ

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東邦高DF朴勢己(3年=FC.フェルボール愛知)は攻守で実力を発揮。全国大会でアピールを目指す

[6.3 インターハイ愛知県予選決勝 名経大高蔵高 1-2 東邦高 口論義運動公園]

「勢己は攻守に渡って中心選手。彼なしでは東邦高校のサッカー部は語れない」。東邦高の杉坂友浩監督のDF朴勢己(3年=FC.フェルボール愛知)に対する信頼度の高さは絶大だ。その理由は試合を見ればよくわかる。8大会ぶりのインターハイ出場をかけた名経大高蔵高との決勝でも、要所で能力の高さを見せつけた。

 印象的だったのは守備での落ち着きだ。名経大高蔵はドリブルとパスワークを多用するチームで対応は簡単ではない。4月に行われた県1部リーグでの対戦では、前半のうちに2点を奪いながら、後半に3失点し、逆転負けを喫している。

「PAに侵入してきた相手に対して足を出してしまうと、PKを与えてしまうかもしれない。リーグ戦ではそれで失点していたので、足を出さないよう意識しながら剥がされても2枚で挟んで奪おうと徹底していました」。そう振り返ったように過去の対戦を上手く反省材料にし、前半は相手にボールを持たれながらも要所をしっかり抑えて、無失点で試合を進めていく。

 もう1つの特徴は、185cmの高身長を活かしたヘディングの強さだ。入学時は高く飛べなかったため競り合いに自信がなかったが、日々の練習によって確かな手応えを掴み、今では大きな武器となっている。

 この日は「相手のロングボールを弾けたけど、弾きが甘い場面があったので修正していきたい」と反省を口にしたが、空中戦は負けなし。強みは攻撃でも活きており、後半21分にはDF名古屋佑乃介(2年)がショートコーナーから上げたクロスをファーサイドで合わせ、ゴールネットを揺らした。試合終盤には1失点したが、攻守における彼の貢献度は大きかった。

 現在はチーム事情でCBを務めるが、10番という背番号からも分かる通り、本職はアンカーやボランチ。ただ、入学時にはFWも務めていたように「真ん中のゾーンなら、どこでもやれる自信があります」。大型ながらも足元の技術は一定以上で、どのポジションでも正確な展開力によってスイッチを入れられる。サガン鳥栖でのプレー経験を持つ父・朴永浩さんと同じステージにたどり着けるだけのポテンシャルを秘めた選手だ。

 能力の高さはプレーだけに留まらない。杉坂監督が評価するのは優れたメンタリティーだ。「彼は大人とも話ができますし、子どもの立場に立っても話ができる。攻守においてだけでなく、ピッチ内外でバランスが良い。そうしたメンタリティーも含めて、彼の資質なのだと思っています」(杉坂監督)。そうした部分が買われ、昨年は2年生ながらもシーズン途中にキャプテンに就任。上級生を率先しなければいけない難しい立場だったが、チームを上手くまとめて選手権出場に導いた。この日は卒業した先輩たちが多く応援に訪れたのも、彼の人柄の良さもあってだ。

 ピッチ内外で存在感を発揮する朴が目指すのは近い将来のプロ入り。「全国大会ではJのスカウトや大学関係者など色んな人に自分の存在をアピールして、プロに行きたい」と意気込んだ通り、全国大会でもらしさを発揮して、より多くの人に朴勢己の名前を知ってもらうのが目標だ。

(取材・文 森田将義)
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