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[MOM4312]静岡学園FW神田奏真(3年)_2発!苦境で“まるで福田師王”“超高校級”のスーパー弾

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延長前半1分、決勝点を決めた静岡学園高FW神田奏真(3年=大阪東淀川FC出身)がガッツポーズ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.4 インターハイ静岡県予選決勝 静岡学園高 2-1(延長)清水桜が丘高 エコパ]

“超高校級”のゴールの一撃だった。1点を追う静岡学園高は後半40+3分、センターライン付近からロングボールをPAへ蹴り込む。これを清水桜が丘高CBがヘディングでクリアに行くが、FW神田奏真(3年=大阪東淀川FC出身)がその頭よりも高い位置で胸トラップ。そして、間髪入れずに右足を振り抜き、ゴール左隅へ劇的な同点ゴールを決めた。

「トラップした時にちょっと体勢が崩れそうになっていたので、すぐに打たないとシュートまで行けないと思ったので、すぐシュートを打ちました。決めた瞬間、今までで一番嬉しかったゴールかなと思っています」。

 数々の名手を育ててきた川口修監督が、「なかなか高校生はできないんじゃないかな」と認める一撃。「あの高いボールをトラップしてシュートまで仕留める。“福田師王2世”くらいの身体能力を発揮してきた」と、昨年の超高校級FW福田師王(神村学園高→ボルシアMG)のようなハイレベルな胸トラップからのゴールに驚きを隠さなかった。

 普通ならばヘディングするようなハイボールを胸で収めること、それを実現する体幹、身体のコーディネーション、技術力は大阪東淀川FC、静岡学園で磨いてきたものだ。福田と比較されたことについて本人は、「まだまだ比べ物にならないくらいあの方の方が上手いですし、追いつくためにもっと練習しなければいけないと思っています」。フィジカル能力も決定力も福田と比較すると不足していることは確か。それでも、チームを救ったゴールを決めたことを素直に喜んでいた。

 神田は「自分がやるしかないと思っていました。ラスト、アディショナルで自分自身も焦っていて、僕にボールを集めてくれていたので、一発やるしか無いと思っていたので、ああいう自分の得意な形で取れたので良かった」。

 その神田は延長前半1分にも得点能力を発揮した。ゴールを背にしてのボールコントロールから、右へのドリブルで対応したDF2人をかわして右足シュート。ファーサイドのゴールネットに沈めると、再び喜びを大爆発させた。

「あそこの場面も自分はキープが得意なので、最後仕掛けて自分でゴールまで行けたので良かったです」。この日は重圧もあり、強度の高い清水桜が丘DFに競り合いで苦戦。それでも「どんだけマークがついていても自分はやらないといけない」と覚悟を持って戦い、大仕事をしてのけた。

 プレミアリーグWESTでは開幕7試合で5得点。今回のインターハイ予選は準決勝までの2試合で5得点と量産してきた。この日も同点ゴールのシーンまで、6本のシュート。だが、周囲のお膳立てを受けながら枠を外すなど、チームに迷惑をかけてしまっていた。

 加えてポストプレーの精度も欠き、川口監督は「ハーフタイムに神田の事しか話していなかった」というほど。それでも、指揮官は「去年は1試合5得点の試合もあったけれど、それ以外はほとんど点を取っていないです。試合中、『今日は去年の神田だな』と。でも、違うところは、試合を決めたのは彼だった。彼がチームを救ったし、決勝ゴールも彼が仕留めた。チームを勝たせる力がついてきた」と成長を認める。ヒーローとなったエースはもっと進化すること、活躍することを誓っていた。

 神田は世代トップレベルの実力者だが、同世代のストライカーたちの中には、すでにプロで活躍している選手もいる。「とても刺激になっていて、(U-18日本代表候補合宿で一緒にプレーした)貴田遼河(名古屋)とかJでデビューして得点も取っているんで、『追いつかないと』というのがあります。まだまだ練習しないといけない。決めれるところで決めれるストライカーにならないといけない」。ヘディングの質も、シュート精度にももっともっとこだわる。

 インターハイの目標は2つのタイトルを獲得することだ。「チームとしては全国制覇、個人としては得点王を目指して頑張っていきたい」。対戦してみたい相手として名を挙げたのは、5日に青森県予選決勝を控えたプレミアリーグEAST首位・青森山田高。「(決める)自信あります」というストライカーが、全国でも“超高校級”のゴールを決める。 

後半40+3分、FW神田奏真は高い打点で胸トラップ

そこから右足シュートを決め、劇的な同点弾

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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