beacon

プレミア勢・履正社の反撃封じ、逆にダメ押し。「成長」示した金光大阪が14年以来のインハイ切符獲得!

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半32分、金光大阪高FW上田大翔が勝負を決定づける3点目のゴール

[6.10 インターハイ大阪府予選準決勝 金光大阪高 3-1 履正社高 J-GREEN堺S1]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技大阪府予選準決勝が10日にJ-GREEN堺天然芝メインフィールド(S1)で行われ、第1試合は金光大阪高履正社高が激突。金光大阪が3-1で勝ち、14年以来8回目のインターハイ出場を決めた。

「履正社相手にこういう戦いが…。2-1で踏ん張って、最後に3点目を取れる、それはウチの成長」。金光大阪の岩松哲也監督は微笑んだ。プリンスリーグ関西2部に所属する金光大阪が、昨季大阪2冠、今年もプレミアリーグWESTで戦う履正社相手に堂々の勝利。リーグ戦無敗首位と好調で、指揮官も「(新チームは)あまり高校生に負けていない。失点も凄く少ないし、今年のチームはわりかし力のあるチーム」と認める世代が、前回王者を飲み込んだ。

「リーグが2つ上なのでチャレンジャー精神で、気持ちで負けないようにというのをみんなに言い聞かせてこの試合に臨みました」(CB長瀬怜旺主将、3年)という金光大阪は、立ち上がりからアグレッシブな戦い。クロスやセットプレーから決定機を作り出すなど、序盤の攻防で「やれる」手応えを得た。

 一方、今年の履正社はMF名願斗哉(現川崎F)や左SB西坂斗和(現徳島)のような突出した選手は不在だが、攻守のキーマン・MF安羅夕雅(3年)やC大阪U-18から加入の左利きMF宮原迅太(3年)、10番MF倉田竜雅(3年)の3人を中心に質の高い攻撃を展開。前半5分、この日、攻守両面での奮闘光ったFW河野朔也(3年)が、難しい体勢から左足ミドルを枠へ飛ばす。

 連動した守備も含めてボールを保持する時間を増やした履正社だが、ゴールへ向かうプレーの少なさを平野直樹監督から指摘されていた。23分には倉田がDFをずらして左足を振るも、金光大阪GK望月大雅(3年)が反応。金光大阪は最終ラインのファイター、CB長瀬とCB井上秀(2年)を中心に競り合いで強さを見せ、前線では1トップのFW上田琥太郎(3年)、トップ下のFW太田陸斗(3年)の注目コンビがボールを収めてチーム全体を引き上げていた。

 その金光大阪は前半28分、相手のミスを突いた太田が決定的な左足シュート。その2分後、左SB齋藤大靖(3年)からのパスを受けた太田が、ゴール左方向へ絶妙なスルーパスを通す。ボランチの位置から飛び出したMF北村涼太朗(3年)が、GKをかわして左足シュート。「太田がボールを持った瞬間に裏行こうと。練習でも2列目からの飛び出しを意識してやっていたので、その練習が出て良かった。あんまゴールは見ていなかったですけれども、しっかり蹴れて良かった」という一撃で先制点を挙げた。

 金光大阪は右SB村田凌介(3年)の身体を張った守備などでリードを守ると、さらに前半37分、敵陣での競り合いを制し、太田が右サイドでセカンドボールを回収。スルーパスで抜け出したMF岡田涼馬(3年)がクロスを上げると、「良いボールが来たので、速いボールが来たので、それに上手く合わせようと思ってできたので得点に繋がったと思います。ずっと点決めれずにチームに迷惑をかけてきて、きょうの試合でやっと決めれたので良かったです」という上田琥が豪快なヘッドを突き刺し、2-0とした。

 金光大阪は元々、前半0-0で俊足FW上田大翔(3年)を投入する後半勝負のゲームプラン。“想定を上回る”2点リードにチームは勢いづいたが、後半開始から2枚替えした履正社がゴールを奪い返す。6分、交代出場左SB濱田頼(2年)の左足クロスを安羅が頭で決めて1点差。一気に畳み掛けようとする。

 平野監督は「(1点目から)10分以内に追いついて、同点に持っていけばいけると思った」と振り返るが、金光大阪はここで粘りを見せる。球際のバトルで引かずに跳ね返し、23分に迎えたピンチも長瀬がスライディングタックルで阻止。履正社は選手交代を重ねて圧力をかけるものの、決めることに加え、走る、拾うという部分で課題の出るゲームとなった。

 逆に金光大阪は32分、敵陣でインターセプトした上田大が一人で持ち込んで左足シュート。これはGKに止められたが、こぼれ球を自ら左足で決めて大きな、大きな3点目を挙げた。日本代表MF守田英正(現スポルティング)の母校でもある金光大阪が、“格上”の履正社を倒して14年以来のインターハイ出場。勝利の瞬間、また試合後のロッカールームは“北海道切符”獲得の喜びで沸いていた。

 今大会は左SB箱田日翔(3年)、CB湊結伍(3年)という主軸が怪我で不在。彼らやスタンドで大応援を繰り広げた控え選手たちも全国への思いは強かった。「その人らのためにもというのがありました。(また)色々先生にお世話になったので。恩返しできる気持ちで嬉しかったです」と長瀬。岩松監督が「(全国でも)良い勝負できると思う。楽しみ」というチームは、11日の決勝で関西大一高と対戦する。大阪1位としてインターハイへ。そして、全国大会で「優勝です」(北村)という目標に挑戦する。


(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

TOP