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出場1枠をかけた夏の決勝対決は初。市立船橋が流経大柏との激闘を3-2で制し、千葉連覇!

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市立船橋高がライバル対決を制し、2連覇達成

[6.18 インターハイ千葉県予選決勝 流通経済大柏高 2-3 市立船橋高 柏の葉]

 市船が千葉名門対決を制し、夏の全国へ――。18日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技千葉県予選決勝が柏市の柏の葉公園総合競技場で開催され、市立船橋高がFW久保原心優(2年)の2得点とエースFW郡司璃来(3年、22年U-17日本代表)のゴールによって、3-2で流通経済大柏高に勝利。2大会連続30回目のインターハイ出場を決めた。

 ともに“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEASTに所属する高校年代トップクラスの強豪校。インターハイの千葉県代表枠が2だった13年と16年には、ともに勝ち上がり、全国決勝での千葉県勢対決を実現している(08年もともに全国決勝進出。決勝中止のため、両校優勝)。その名門2校が、千葉県代表枠が1になった19年以降、初めてインターハイ予選決勝で激突した。

 流経大柏は試合開始からフルスロットル。開始20秒でCKを獲得すると、CB高橋力也(3年)のヘディングシュートがゴールを襲う。その後もスピードのある攻守で相手を押し込んだが、「ちょっと浮き足立っちゃったかもしれない。入りが良すぎた」(流経大柏・榎本雅大監督)。市立船橋が1チャンスをモノにする。

 前半8分、左サイドのロングボールを流経大柏DFがクリアしきれず、後方へ。これに素早く反応した郡司がクロスを上げ切る。ファーサイドのMF佐々木裕涼(3年)が狙い、こぼれ球を久保原が右足でゴールへねじ込んだ。

 先制された流経大柏は、190cmのFW柳裕晋(3年)へロングボールを入れ、そのセカンドボールを回収する形で再び市立船橋を押し込んだ。前半は左サイドでギャップを突いたSH道白優斗(3年)、左SB山口裕也(3年)が突破口に。だが、先に次の1点を奪ったのも市立船橋の方だった。

 前半19分、右SH佐々木と右SB佐藤凛音(3年)が2人がかりでボール奪取。そして、佐々木が前方のスペースへボールを蹴り込む。これに反応した郡司が2度の切り返しで相手CBを抜き去り、右足シュート。相手指揮官も「スーパーだった」と認める一撃で2-0と突き放した。

 市立船橋は今年のチームの強みであるポゼッションや、両SBの攻撃参加をなかなか出せないゲームだった。だが、“市船らしい”切り替えの速い攻撃から2つのチャンスをいずれも決め切って2-0。飲水タイム明けにも佐々木が決定的なドリブルシュートを打ち込む。一方の流経大柏のショートカウンターからMF柚木創(2年)がフィニッシュへ持ち込むなど反撃。35分には、CKの流れから右SB田中ショーン涼太(3年)の左クロスを柳が抜群の高さのヘッドで合わせて1点を返した。

 選手権予選では、21年度まで9年連続決勝で激突。数々の激闘を演じてきた両雄の戦いはこの日も1点を争う好勝負となった。流経大柏は1点差として迎えた後半、高さの優位性と、柚木やMF古川結翔(3年)の前に出る力を活かして同点機を作る。市立船橋も郡司が相手DF3人をねじ伏せるようなドリブルからフィニッシュ。また、クロスのこぼれから佐藤の放った右足シュートが枠を捉える。

 流経大柏はGK土佐昂清(3年)が好反応で佐藤のシュートを阻止。だが、チャレンジ&カバーを徹底するCB宮川瑛光(3年)、CB五来凌空(3年)、右SB佐藤、U-17日本代表候補左SB内川遼(3年)の市立船橋4バックに攻撃を跳ね返され、MF太田隼剛主将(3年)と交代出場の22年U-16日本代表MF峯野倖(2年)とのセカンドボールの攻防戦で奪い切れないところも出るなど相手に圧力をかけることができない。

 市立船橋の太田は「バチバチになって球際激しくなるのは分かっていたけれど、どうしても相手の勢い、強度に慣れなくて最初難しかったんですけれども、一つ粘り強くとか、自分たちも球際とか一個自信にしているところなので、そこで上回れる回数が多くなれば、多くなるほど自分たちのチャンスが多くなったと思う」。粘り強く戦った市立船橋が次の1点を奪う。後半27分、左スローインを起点とした攻撃から太田がPAへ持ち込む。混戦の中で太田が右前方へラストパス。これを久保原が左足でゴールネットへ沈めた。

 だが、名門対決はこのままでは終わらない。流経大柏は3失点目直後に4枚目のカードとして右SB北村温人(3年)を投入し、U-17日本高校選抜CB塩川桜道(3年)を前線へ上げる。37分には北村のドリブル突破からファーサイドの塩川が頭でゴール。再び1点差とした。

 市立船橋の波多秀吾監督は「怖ろしいですね、最初から最後までずっとやり続けてきたので、流石だなと思いましたね。(ファーストプレーから)想像を超える強度、スピード感だったので」。勢いに乗った流経大柏はその後も柚木のクロスがゴール前に入る。だが、わずかに合わせることができない。1点差となった後、再び引き締め直して戦った市立船橋が3-2で勝利した。

 決勝での名門対決勝利。市立船橋の波多監督は、「決勝で流経は最近なかったので、お互い力入りますし、全国の頂点を決めるようなゲームだと思ってやっているので。そのゲームをちゃんと勝ち切れたのは良かった」と北海道切符獲得を喜んだ。北海道は市立船橋が87年インターハイで初の日本一に輝いた縁のある場所。「時代を繰り返しても市船がトップに、ということは実現したい」と指揮官は思いを語った。

 チームの目標はインターハイ、選手権、プレミアリーグの3冠だ。インターハイはその第一関門となる。郡司は「一人ひとりがやるべきことをやんなきゃ、勝てないと思う。きょうのセットプレーとか一人ひとりがしっかり声を出して、何十秒でも集中してないとああなるので、そういうところが改善点かなと思います」。また、太田はより球際など個人、チームで「勝つ回数を増やさないといけない」と求めていた。一週間後にはプレミアリーグEASTで青森山田高との大一番。ライバル対決勝利に満足することなく、より強い市船を作り上げてインターハイ日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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