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仲間を信じて競り、守った市立船橋。注目右SB佐藤凛音は長所を伸ばし、「まだまだ上にいる」SB超えへ

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後半15分、市立船橋高右SB佐藤凛音(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)の右足シュートがゴールを襲う

[6.18 インターハイ千葉県予選決勝 流通経済大柏高 2-3 市立船橋高 柏の葉]

 相手の高さ、強度に苦戦しながらも3-2で千葉制覇。市立船橋高はDF陣の奮闘も勝因となった。

 この日、流通経済大柏高は190cmのFW柳裕晋(3年)へのロングボールを軸とした攻撃。特に前半、市立船橋DF陣は競り負けるシーンも少なくなかった。そらされてしまうことを警戒し、思い切って競りに行けない部分も。だが、徐々に改善し、後半には競り勝つ回数を増やしていった。

 昨年のインターハイ経験者でもある右SB佐藤凛音(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は、「全員が100でできる。仲間を信じて競り勝てたのが勝てた」と振り返る。

「スライドとカバーとプレスバックを徹底しているから、競るやつが負けないという気持ちでいかないとやれないと話していた」。仲間を信じ、競る選手が思い切り行くこと。柳と終盤前線に上がってきたU-17日本高校選抜CB塩川桜道(3年)にゴールを許す結果となったが、佐藤は、U-17日本代表候補左SB内川遼(3年)、CB五来凌空(3年)、CB宮川瑛光(3年)とともにチャレンジ&カバーを徹底し、我慢強くゴールを守り続けて勝ち切った。

 佐藤は、「2点ともセットプレーだったりクロスのところでやらせてしまったのは、今後全国で勝つためにもそういうところは改善しなければいけない」と指摘する。それでも、「勝ち切れたところは本当に大きい」と優勝と全国出場権獲得を喜んでいた。

 180cm近い長身と精度の高いキック、後半でも質の落ちない体力、献身性を備えた佐藤は、今年の高体連トップクラスの右SBだ。「(監督の)波多(秀吾)さんも局面での1対1が一番大事だと普段から言われていました」という佐藤は、チームメートであるFW郡司璃来(3年)やMF森駿人(3年)といった強力アタッカーとのトレーニングによって、課題だった守備面で成長。プレミアリーグEASTで尚志高のU-19日本代表MF安齋悠人(3年)相手に互角の戦いを見せるなど、自信もつけてきている。

 この日は巧みな立ち位置を取ってくる相手MF道白優斗(3年)に手こずるなど、個の力で守り切れず、打開されるシーンもあった。環境面、雰囲気など上手く行かない時もある中、もっとSHと話し合って対応しなければいけない」とコメント。注目DFはこの日課題となった部分を改善し、より個人、チームでレベルアップしてインターハイに臨む考えを口にした。

「(個人としては、)まだまだ課題もありますし、きょうに関しては前に駆け上がってオーバーラップしてクロスを上げたり、結果に繋がるプレーをあんまりできていなかった。そういうところは全国までまだ1か月以上ありますし、プレミア(リーグ)とかで色々な相手と戦えたり、チームとしても、個人としても、成長できる期間はまだまだあるのかなと思う」。この日は、守備に意識を傾けながら、奪ったボールを前線へ正確に配球。後半にはクロスのこぼれ球に右中間で反応し、右足シュートを枠へ飛ばした。だが、GKのファインセーブにあってノーゴール。自身のパフォーマンスについて、全く満足していなかった。

 逆サイドの左SB内川が、今年4月にU-17日本代表候補初選出。刺激を受けている。自身に求めるのはより特長を表現することだ。「まだまだ上にSBはいると思いますし、初めて見る人が佐藤凛音というプレーヤーがどういうプレーヤーなのか分かるようなプレーヤーになっていかないと、代表とか選抜系には選んでもらえないと思う。短所を埋めることはできてきているけれど、長所を伸ばす部分ではまだまだ足りない」。インターハイは全国制覇すること大会であると同時に、自身をアピールする大会でもある。

「今年はチームが一つになっていますし、一人ひとり個人の能力が高い。日本一を目指しています。単に日本一を目指しているだけじゃダメなので、3冠を目指しているうちの1冠を取りに行く。個人としても、ただチームが勝つじゃなくて、自分のプレーで勝てたとか、自分の活躍でチームを勝たせられたというようなプレーをしたい」と誓った。全国大会では、仲間を信頼しながら守り、自分の特長を出し切って勝つ。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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