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[MOM4341]前橋育英FW佐藤耕太(2年)_インハイ予選は4戦6発!覚醒のストライカーが決勝でも2ゴールで勝利の主役に!

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2ゴールで勝利の主役を担った前橋育英高FW佐藤耕太(2年=浦和レッズジュニアユース出身、右)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.18 インターハイ群馬県予選決勝 前橋育英高 3-1 健大高崎高 正田醤油スタジアム群馬]

 プレミアの居並ぶセンターバックの猛者たちと肌を合わせてきた経験は、気が付かないうちに自分の意識を大きく引き上げてくれていた。この大会では4戦6発を叩き出してのチーム内得点王という確かな成果も、決して偶然ではないと、今なら間違いなく言い切れる。

「今はボールを収めるという点では、どんなセンターバックが相手でもやれているなとは感じています。あとはゴールが少し足りないなというのがありますけど、この大会で良い形を自分の中でイメージできたので、それはプレミアにも繋げられそうです」。

 前橋育英高のセンターフォワードを任されているストライカー。覚醒の予感を漂わせているFW佐藤耕太(2年=浦和レッズジュニアユース出身)が、全国出場権を巡るファイナルでも、そのゴールでチームのタイトル獲得に大きく貢献してみせた。

 健大高崎高と対峙したインターハイ予選決勝。6連覇を狙う前橋育英は、前半のうちにPKで先制を許す展開に。“アップセット”の雰囲気もちらつく中で、15番がその空気を打ち破る。

 失点から4分後。DF青木蓮人(2年)からフィードが送られた時には、もう頭の中にイメージはできていた。ディフェンスラインの裏へ抜け出しながら、前に出てきたGKを浮き球で華麗にかわすと、目の前にはもうボールと無人のゴールだけが広がる。



「タイミング良く抜け出したら、青木から良いボールが入ってきたので、相手の上を通して冷静に決められたと思います。あんなにうまく行くと思っていなかったので、自分でもビックリしました。前半で追い付けなかったら、後半もあのまま雰囲気に飲まれていたかなと思いますし、自分のゴールでチームを助けられたので良かったです」。自身も驚くパーフェクトな同点弾で、まずは1点目。

 後半に入り、MF斎藤陽太(3年)のゴールで1点をリードして迎えた10分。右サイドで中央を確認した青木が、グラウンダーのピンポイントクロスをファーサイドへ送り届けると、そこには15番がフリーで走り込んでいた。

「ディフェンスがちょっとニア気味にいて、ファーが空いていたので、そこに走り込んだら来るかなと思っていました。もう青木のクロスがすべてだったので、流し込むだけでした」。再び開通した2年生ホットラインで、きっちり2点目。佐藤の2ゴールで流れを引き寄せた前橋育英は、そのまま3-1で勝利。逞しくインターハイ予選を勝ち抜き、全国切符をその手中に収めることに成功した。

 もともと新チームが立ち上がった時は、ケガの影響もあって一番下のカテゴリーにいたという。「トップチームと紅白戦をやった時に、凄く上手くプレーができて、そこから急にトップチームに上がったんです」。

 そんな立ち位置からスタートしたシーズンだったが、ここまでのプレミアリーグでは全8試合にスタメン出場。「初戦でやったフロンターレの土屋櫂大には本当に何もできなくて、アレは凄かったですね。プレミアのセンターバックはもう強いし、速いし、デカいし、みたいな選手ばかりで、その中で経験を積めたので、こういうところで結果を出せたのかなと思います」と話したように、リーグ戦ではここまで1得点と苦しんできたが、強烈な環境で育んできた力は、ようやくここに来て実を結び始めている。

 181センチという恵まれた体格を生かした前線でのキープは1つの持ち味。普段はカリム・ベンゼマやハリー・ケインといった大柄な選手の映像を見て、身体の使い方や反転してからのシュートを参考にしているというが、昨年のチームにも目標とすべきストライカーがいたという。

山本颯太さん(神奈川大)のプレーは凄く参考になっています。あの人の動画をもらって見たりしていますし、やっぱりあそこまでのプレーができるのは凄いと思いますし、尊敬していますね」。昨シーズンのメインキャストだった山本も、夏前まではレギュラーですらないような立ち位置だった。そういう意味でも、この2人は重なる部分もあるかもしれない。

 やはりストライカーは、結果がすべて。ようやくこのインターハイ予選でゴールを挙げ続けたことで、間違いなくその目線も上がりつつある。全国大会への抱負を問われ、言い切った言葉も頼もしい。

「チームとしては注目されていると思うんですけど、その中でプレッシャーに負けずに、しっかり優勝できたらなと思います。個人としては得点王を狙っていきたいですし、毎試合1点はしっかり獲って、チームの勝利に貢献したいです」。

 上州のタイガー軍団の最前線にそびえる、武骨なストライカー。目覚めの時を迎えつつある佐藤のさらなる得点量産は、前橋育英が狙う全国連覇達成にとっても絶対に必要不可欠だ。



(取材・文 土屋雅史)
●【特設】高校総体2023

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