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インハイの主役候補が躍動。“エースの役割”果たした市立船橋FW郡司璃来、スーパーゴールで4戦連発

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市立船橋高のエースが躍動。FW郡司璃来(3年=JSC CHIBA出身)は4試合連続ゴールの活躍

[6.18 インターハイ千葉県予選決勝 流通経済大柏高 2-3 市立船橋高 柏の葉]

 千葉名門対決で最も会場を沸かせたのは、市立船橋高の10番だった。1-0の前半19分、FW郡司璃来(3年=JSC CHIBA出身)がMF佐々木裕涼(3年)の縦パスで右ハイサイドへ抜け出す。そして、対峙した流通経済大柏高の守りの要・CB高橋力也(3年)との1対1にチャレンジ。2度の切り返しで攻略する。

「もう一回切り返せば絶対に滑ると思ったので、そこで体勢崩してくれたので、GK見たら左空いていたので」。そのまま右足シュートをファーサイドのネットへ叩き込んだ。流経大柏の榎本雅大監督も「スーパーですよ」と繰り返した一撃。スタンドの観衆もどよめくスーパーゴールだった。

 名門・市船のエースを担う自覚、責任感がある。「市船のエースと言われているからにはああいうことをしなければいけないというのがあるので、それができてしっかりと点を決められて良かった。観客が入っているからといって変に格好つけたようなプレーとかせずに、泥臭くやって、ああいうプレーができたのは良かったです」と微笑んだ。

 流経大柏の強度の高い攻守に苦戦した市立船橋は得意とするポゼッション、サイド攻撃へなかなか持ち込むことができなかった。その中でエースは抜け目ない動きで先制点に繋がるクロスを上げ、貴重なゴール。その後も相手の脅威になっていた。

 後半には体ごと止めようとする相手DF3人を次々と剥がし、シュートまで持ち込んで見せた。抜群のスピードとテクニック、体幹の強さを披露。ダメ押しのゴールを決めることはできなかったが、跳躍力を活かした競り合いに距離の出るロングスロー、そして終盤には相手DF2人相手のコーナーキープするなど違いを見せた。

 今回のインターハイ予選は怪我明けにも関わらず、全4試合でゴール。目指す姿に近づくことができているようだ。「エースは絶対に点を決めなければいけない役割があるので、そういうところでは毎試合点を決められているので、そういうところに近づいて来れているかなと思います」。本人は少しの変化で、自分の力をより出せるようになると考えている。

「自分がイライラすると自分も崩れるし、チームも崩れるというのが分かっている。落ち着いてもっと冷静にプレーできたら自分のプレーを出せると思うので、そういうところは大人になっていかないといけないなと思います」

 1年時から名門校で活躍し、年代別日本代表も経験。成長を続け、世代トップクラスのストライカーになっている印象だ。ただし、波多秀吾監督も「もっと上を目指せる選手だと思っている。さらに上を目指さないといけない」と期待するように、まだまだ活躍できるだけのポテンシャルがある。

 インターハイは有力な主役候補。「(その決意が)あります。できます。やらないといけないですね。最後なんで出し切りたい。今年は絶対に点を決めて、絶対に最後優勝して喜べたらと思います」。前回大会は2回戦敗退。チャンスで決めきれず、途中交代する悔しさも味わっている。だからこそ、今年は主役に。名門を10度目のインターハイ優勝へ導き、目標の3冠へ前進する。 

(取材・文 吉田太郎)
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