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「誰にも止められない」「高校年代では違いを見せる」「日本一」「得点王」。アジアで輝いた神村学園の2人、MF吉永夢希とMF名和田我空がインターハイに挑む

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神村学園高(鹿児島)のMF吉永夢希(3年=ソレッソ熊本出身、右)とMF名和田我空(2年=神村学園中出身)がインターハイ優勝と得点王を誓った

 アジアで輝いた2人が、インターハイ優勝と得点王獲得を誓った。令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技が7月29日に開幕する。神村学園高(鹿児島)のMF吉永夢希(3年=ソレッソ熊本出身)とMF名和田我空(2年=神村学園中出身)は、6月から7月にかけて開催された「AFC U17アジアカップ タイ2023」にU-17日本代表の一員として出場し、優勝に貢献した。吉永は左SHと左SBを務め、初戦やU-17ワールドカップ出場を懸けた準々決勝などで計3アシストを記録。また、名和田も決勝でのFK弾など5得点を挙げて大会MVP、得点王の個人2冠と活躍し、チームに戻ってきている。

 2人は今秋に開催されるU-17ワールドカップのメンバー入り、世界一へ向けてまだまだ成長する意気込みだ。神村学園は北海道で開催されるインターハイ、その後の長期遠征へ向けて20日に地元・鹿児島県を出発した。21日は「第12回 堺ユースサッカーフェスティバル in JG」(大阪)に参加し、岡山学芸館高(岡山)に2-1で勝利。個人、チームとしての結果を求める2人が、U-17アジアカップの感想やインターハイの目標などについて語った。

―まずはアジアでの激闘について。
名和田「優勝狙って行っていたので、優勝できたのが一番です」

―体調を崩した選手もいた。
吉永「その中でもやらないといけなかったですし、一戦一戦、負けられないという戦いだったので、楽しかったというのもありますし、背負う重さが違ったのかなと思います」

―少し時間が経ったが、アジアでの自分のパフォーマンスを振り返って。
名和田「スタッフ陣含めても活動始まった時からあまりコンディションが良くなかったんですけれども、その中でコンディションをメディカル中心に100%へ持っていけるようなトレーニングを考えてくれたり、チームとして凄く収穫のあるアジアカップだったのかなと思います。個人のパフォーマンスとしては正直、決勝だけしか活躍していないので。まだまだ自分の違いをアジアとか、次はワールドカップがあるんですけれども、そういうところで見せていかないといけないというのは思っています」

―吉永君から見ても、決勝しか活躍していない?
吉永「いえ。そんなことはないですけれども(微笑)、決勝は一番凄かったなと思います」

―一つ一つのトラップも素晴らしかったし、もちろんFKでのゴールも。決勝はやりたいプレーができた?
名和田「韓国が10人になったのもあって凄くボールに触れたので、サッカー自体も凄く楽しかったです。決勝戦は楽しいし、勝てたので、自分としてもサッカーをやってきて一番くらいの楽しいサッカーができました。でも、相手がレベルの高いボランチの選手だったりすると、運動量も上がって、自分のパスコースを何個も消してくる。そのような相手がアジアにもいるので、そういう選手が相手にいても、どれだけボールを受けてゴールに迫れるかは求められていると思うので、まだまだ身につけていかないといけないと思います」

―『オレ、MVP、得点王だぞ』とちょっとくらい胸張ったりは…。
「全然、そんなことはないです(苦笑)」

―吉永君から見ても姿勢は変わらない。
「はい。チームにいて違いを見せてくれているので、本当にチームにいて助かりますし、自分はパスを出す側なので、決めてくれるのでやりやすいなという感じです」

―吉永君は自分のアジアでのパフォーマンスをどう感じていますか? SBだけでなく、SHでの起用も増えたけれど。
「試合を重ねるごとに自分としても、チームとしても成長したなと感じましたし、本当最初怪我していて、怪我がありながらでしたけれども、メディカルの人たちが本当に100まで持っていってくれたので、そのお陰でアジアカップで良いパフォーマンスで出せたのは良かったです」

―怪我は報道されていなかったと思うが。
「かかとを怪我していて。でも、初戦のウズベキスタン戦までに100でできる状態まで作ってくれたので、そこは本当に良かったかなと思います」

―その初戦からアシストを重ねた。
「でも、まだまだ全然足りないなと思います」

―決勝でもアシストしたし、活躍できた大会でもあったと思うが。
「(主に)サイドハーフということもあったので、得点できなかったことが今回のインターハイでやらなければいけないことだと思います」

―名和田君から見た印象は?
「決勝とか、縦突破とかも凄くできていたので、アジアレベルだったらできると思いますし、高校来たら夢希にはマークが付くと思いますし、その中でも違いを出していける選手だと思うので、チームにそういう選手が一人いたら本当に助かるというのが一番大きいです」

―2人がいない中で神村も勝てない試合があった。帰国後の初戦も敗れている。
名和田「帰ってきたからにはチームを勝たせないといけないという思いで帰ってきたんですけれども、プレミアのサンフレ(ッチェ広島ユース)戦(0-4)でやられてしまったので、そこはめっちゃ悔しかったので、インターハイでは全員揃ってきたので、そこで勝てるようにしていきたい」

―言い訳はしないと思うが、コンディション作りも大変だったのでは?
名和田「(サッカーをしていればどこかしら怪我を抱えたりしている選手は多いと思うし、それでも)やらないといけないので。そこで0-4という結果は悔しいし、不甲斐ないというのが一番大きくて、インターハイで今年は優勝を本気で狙っているので、自分たちがチームを勝たせるということを本気で考えて取り組んでいきたいなと考えています」

―アジアのチャンピオンになったことで得られたものは?
吉永「優勝というのは自分、あんましたことがなくて、アジアカップ優勝というのが自分はめちゃくちゃ嬉しかったですし、本当、ああいう舞台で試合できて、色々な経験ができたというのはこれからの人生へ向けて良い経験をさせてもらったなと思います」

名和田「自分は優勝もして、MVPも取って、得点王も取ってという形で大会を終えたんですけれども、ここから自分がどんどん下がってしまうと、『やっぱり消えたな』だったり色々な人から言われると思いますし、それが自分にとって一番悔しいこと。(アジアでのプレーは)本当に満足していないですし、逆にここから日本に帰って来て、高校の年代で違いを出せないようじゃダメだと思うので、インターハイはそういう意味でも、ワールドカップの選考もかかっていますし、高校でも優勝したい大きな大会ですし、個人としても大事な大会になると思います」

―インターハイは神村学園にとっても初の日本一が懸かっているが、どのような大会にしたい?
吉永「去年は出て2回戦で履正社に負けていますし、自分たち3年生にとって最後のインターハイですし、自分がチームを救って勝たせられるようにアシストや、点。今回はサイドハーフで出ることも多いと思うので、しっかり点を取って、得点王もしっかり狙っていきたいと思います。コイツ(名和田)に負けないように(微笑)」

―吉永君は今年、「ヤバい」「圧倒的」と言われるようなパフォーマンスが続いていると聞くけれど。実感がある?
吉永「確実に言えるのは、代表に行ってから自信は確実についていると思います」

―自分がやらないといけないという自覚。それを表現している。
吉永「チームで一番やらないといけないという思いでいつもやっていますし、自分がやらないとチームみんなもやらないと思うので、一番走ったり、一番戦って、やらないといけないと感じています」

―特にインターハイで見せたいところは?
吉永「1対1だったら絶対に勝てる自信を持っているので、そこはまず見て欲しいですし、そこからのクロスは絶対に見て欲しいです。シュートも意外と得意なので。(確かにエグいゴールも多いが自信がある?)はい」

―名和田君は?
名和田「自分はもちろん得点王も狙っていますし、それは自分はどの大会でも狙っていることなので、このインターハイでも狙っています。インターハイは去年1年生でスタメンで出て悔しかったですし、初めてのインターハイの全国大会で本当にあっけなく終わってしまったので、去年の借りというのも返したいですし、神村学園としても日本一を取っていないので。そこは日本一を本気で狙って、インターハイに臨みたいなと思います」

―予選の準決勝、決勝、そしてアジアとスーパーゴールが増えている。
名和田「シュートが得意なので、練習でもどんどん磨いていますし、やっぱり右足のキックとシュートは本当に自信があるんですけれども、まだまだ左足が足りないなと最近思ってきているので、両足蹴れて同じ質のシュートが打てるようになれば、本当に止めれない選手になってくると思うので、まだまだ自分としても成長していきたいなと思っています」

―アジアではガチャッと来られた時にブレたところもあった。
名和田「世界の選手を見ても、小さい選手でもやれている選手もいますし、足腰が凄く強いと思いますし、自分はアジアで足腰の弱さを本当に実感したので、筋トレだったりをさらに意識して下半身を強化していきたいと思っています」

―佐藤龍之介君(FC東京U-18)なんかは潰れずにやっていた。
名和田「あれはアジアカップではレベルが違いました」

―ゲキサカの読者へ向けて、伝えたいことがあれば。
名和田「日本の高校年代では違いを見せるというのが一番ですし、神村学園の14番を背負っているので一戦一戦勝利に貢献して、得点という形でチームを勝たせるように頑張るので、そういうところを見て欲しいです」

吉永「自分は本当に全試合でアシストや得点で絡んで『左サイドでは誰にも止められない』というくらい、このインターハイで見せつけていきたいですし、みんなに恩返しと言うか神村学園に返して、しっかり日本一を取ってみんなで喜びたいと思います」

―組み合わせは決まっていて勝ち上がることが大前提だけれど、インターハイで対戦したい相手はいる?
名和田「(青森)山田とか。自分はプレミアで静学(静岡学園)に負けて本当に自分は静学戦が一番悔しい思いをしているので、インハイで静学とやって倒したいとずっと思っているので、やりたいです」

吉永「自分も山田と静学、やりたいですね」

名和田「決勝行くしか無いです」

―ワールドカップへの競争も始まっている。
名和田「めちゃくちゃ楽しみですし、アジアカップでも感じましたが、雰囲気だったりは行かないと分からない。17の代であの雰囲気だったら、20の代やフル代表は計り知れないほどの重圧というものを背負っているんだなと感じました」

―アジアで優勝に貢献して、世界で自分がいないのは考えられないと思う。
吉永「アジアでそこそこできたのはありますけれども、世界で活躍できないと上には行けないと思うので、まずはワールドカップに選ばれることが一番大事ですし、そこで選ばれたら世界一と個人の結果にこだわっていきたいです」

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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