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「プラン通り」に試合進めた高知が初の8強入り!! 15人ずつが蹴ったPK戦の末に岡山学芸館を撃破

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高知高(高知)が選手権王者・岡山学芸館をPK戦の末に下した

[7.31 インハイ3回戦 岡山学芸館高 0-0(PK13-14) 高知高 東光スポーツ公園球技場B]

 31日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技3回戦が行われ、岡山学芸館高(岡山)と高知高(高知)が対戦。前後半で決着がつかず、PK戦までもつれた一戦は、0-0(PK14-13)で高知が勝利し、準々決勝へと進んだ。

 スコアだけ見れば接戦に見えるかもしれないが、試合後に見せた両指揮官のリアクションは好対照。「0-0なのはプラン通り。あと、これで点が獲れていれば完璧だった。PKを見据えて準備もしていた」。そう振り返った高知の大坪裕典監督に対し、岡山学芸館の高原良明監督は「全体的に負けゲームだった」と悔しさを滲ませたのが印象的だった。

 前半3分に前向きでインターセプトしたDF田辺陽翔(3年)がそのまま中央を仕掛けて打ったシュートでCKを奪うなど立ち上がりのペースは高知。「自分たちは球際や競り合いで戦うという部分が欠けていた。相手の方が技術ではなく、戦う姿勢で上回っていたと試合中も今終わってみても感じる」と主将のMF田口裕真(3年)が振り返った岡山学芸館を、ボール奪取の勢いのまま飲み込んでいく。守備でも前線を目掛けて長いボールを入れてきた岡山学芸館に対し、DF森紺(3年)がしっかり対応。MF市原礼斗(3年)とMF市原大羅(2年)の兄弟ボランチがセカンドボールを拾って、試合を自分たちの流れに持ち込んだ。

「相手の攻撃をうまく摘んで、自分たちのやりたいことができた。セカンドを拾ったミドルゾーンからの素早いカウンターは、選手がコンセプトを理解してできたので上手く行った」。大坪監督の言葉通り、良い形で前半を終えた高知だったが、後半に主導権を握ったのは岡山学芸館だった。システムを4-4-2から、4-2-3-1へと変更し、「CBとボランチのライン間にスペースが空くのはミーティングでも話していた」という田口を中心に積極的な仕掛けからゴールを狙った。

 後半11分には左クロスのこぼれを田口が左足でボレー。24分には左サイドから入ったロングスローを高知のゴール前で繋いで、田口が再びボレーシュートを放ったがGKの正面。以降度々、見せ場を作ったが「相手が蹴ってきたら、自分たちはボランチとCBで固める。セカンドを拾いながら、FWにタイミングよく付けて前を向かす。やることは(前半と)ほとんど変わらない」という高知の集中力を保った守備を崩しきれず、スコアレスのまま70分を終えた。

 緊迫した展開はPK戦に入ってからも続いた。先行の岡山学芸館の4番手がポストに当てると、高知5人目のシュートはGK平塚仁(3年)に阻まれ、サドンデス方式の延長戦へと突入。高知8人目を再び平塚が止めたが、キック直前に動いたと判定されてやり直した結果、成功となった。決着が付いたのは15人目。先攻・岡山学芸館のシュートが枠外へと逸れたのに対し、後攻の高知はきっちり決めて勝負あり。0-0(PK14-13)で高知が勝利した。

 高知がインターハイで残した最高成績は3度の3回戦進出。今回の勝利で鬼門を突破し、ベスト8入りを果たしたのは偶然でない。「(今年のチームは)うまく行かない時に選手がさっと集まってみんなで話をしている。だから、失点をしても落ちることがない。点が獲れれば乗っていく。雰囲気的に負ける気がしなくて凄く頼もしい」(大坪監督)。怪我で途中出場が続くMF松井貫太(3年)を筆頭に実力者が揃い、今年は県1部リーグに籍を置くチームとは思えない。この先、更に勝ち進むだけの力は持っている。

 次に高知が当たるのは青森山田高(青森)、静岡学園高(静岡)とプレミアリーグ東西の首位を破って勢いに乗る明秀日立高(茨城)。4年前の選手権は0-1で敗れ初戦敗退。高知西高が出場した2017年は0-3で敗れるなど、高知県勢との相性は良くない。「高知県にとっては因縁のある相手とここで当たれたので、僕としては嬉しいですね。3度目の正直を狙っている。選手らは表情も良いですし、良い流れには乗っているのかなと思います」。大坪監督が話す通り、狙うのは、リベンジ達成と今季の目標に掲げるベスト4入り。目標を果たすまで負けるわけにはいかない。

(取材・文 森田将義)

●【特設】高校総体2023

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