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[早スポ]伝統の一戦を制し初勝利

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[早稲田スポーツ ゲキサカ版]
JR東日本カップ2013 第87回関東大学リーグ戦 4月14日 東京・味の素フィールド西が丘

早稲田大2-1慶應大

 ダービーマッチ――。同じ町や地域間におけるライバル同士の2チームで行われる試合のことだ。サッカーの母国、イングランドやイタリアのみならず日本国内にもこの一戦は数多く存在する。「慶應には負けられないDNAがある」(FW榎本大希、4年=横浜FMユース)。大学サッカー界にも存在する最大のダービー、それこそが早慶戦なのである。開幕黒星スタート同士の一戦となった関東大学リーグ戦第2節・慶大戦。互いに初勝利が欲しい伝統の一戦はFW片山瑛一(4年=川越高)の先制弾で早大がリードすると、同点で迎えた59分に榎本が右サイドからの低いクロス流し込み勝ち越し。相手の終盤の猛攻を凌ぎ、2-1で今季初勝利を収めた。

「今季、慶應には全カテゴリーで全勝することが目標」(MF中田航平主将、4年=横浜FMユース)。そう決めた早大にとって最初の関門となった第2節。お互い開幕戦で躓いただけに勝利が欲しいこの一戦は開始早々試合が動く。5分、DF八角大智(2年=流通経済大柏高)が右サイド裏のスペースにボールを出すと、片山が競り勝ちそのままドリブルし右サイドを切り裂いてペナルティエリアに侵入。角度の無いところからシュートを放つとボールはキーパーの脇をすり抜けネットを揺らす。この先制点で勢いづきたい早大だが相手のロングボール主体の直線的なサッカーを前になかなか試合の主導権を握れない。すると18分、高いクロスにDFが競り負けるとこぼれ球を押しこまれ同点とされてしまう。その後も相手に高さを活かした攻撃でチャンスを作られるも、フィニッシュまでには持ち込ませず、前半を1-1で折り返す。

 勝ち点3を得るために2点目が欲しい後半も、前半同様に「堅守速攻」の早大と「高さ」で勝負する慶大の構図となる。ゴール前30メートル付近からMF小松聖音(4年=札幌光星高)がミドルシュートを放つなど攻撃のリズムを掴んだエンジのユニフォームは59分、MF近藤貴司(3年=三菱養和SCユース)がワンツーで右サイドを突破し低いグラウンダーのクロスを送る。そこに榎本が合わせ待望の勝ち越し点を決める。その後もピッチを幅広く使ったサイド攻撃で相手キーパーを脅かすなど試合を有利に進めると守備陣も奮闘。長身の選手を前線に揃えた慶大の攻撃陣に対し、体を張った守備で対抗し同点弾を許さない。試合終盤には次々とロングボールを放り込んでくるも、前節の終了間際の失点の反省を活かし得点を許さず。2-1で伝統の早慶戦1戦目を制した。

「リーグ戦初勝利ともなったので素直に嬉しい」(DF三竿雄斗副将、4年=東京Vユース)と語るように早慶戦に勝利しただけでなく、リーグ戦初勝利となったこの勝ち点3が意味するものは大きい。攻撃面ではワセダらしい堅守速攻からFWが得点し、守備目では前節で露呈した勝負どころでの脆さが改善されるなど明るい材料が多い。次節は鹿島アントラーズに加入が内定したFW赤崎秀平擁する筑波大との一戦。「今日の勝利が連勝のスタートになるようにしたい」(榎本)。悲願の関東リーグ制覇に向け、エンジの帆は常勝軍団へと舵を切った。

[写真]エース榎本は今季初得点でチームに勝利をもたらした

(取材・文 早稲田スポーツ 増山祐史、写真 松下優、佐藤裕樹)

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