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[MOM401]明治大FW丹羽詩温(4年)_「自分でいくことしか」、強引な突破が優勝決める一撃生む

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決勝点を決めた明治大FW丹羽詩温

[10.15 第90回関東大学リーグ第18節 明治大2-1慶應義塾大 江戸陸]

 ストライカーらしさ増す4年生FWが優勝を手繰り寄せた。明治大は慶應義塾大に2-1で勝利し、関東大学リーグ1部優勝を果たした。総理大臣杯制覇に次いでの二冠達成。先制されて追いつく展開のなか、決勝点を決めたのはFW丹羽詩温(4年=大阪桐蔭高)だった。

 チームは前半15分にセットプレーから失点も、同28分に追いついた。そして前半終了間際45分のラストプレー。裏へ抜けたFW岩田拓也(4年=FC東京U-18)の折り返しをPA内右で受けた丹羽は、相手二枚を切り返しでかわし、強引に突破。右足シュートをゴールネットへ突き刺した。

「拓也(岩田)が背後にいい形で抜けて、丁寧にボールをくれました。あとは自分がシュートを打つタイミングで飛び込んでくる相手を切り返しでかわして、少しボールが足元に入りすぎたんですけど、最後は上手くタイミングを外せたのでよかったと思います」

 丹羽の得点が決勝点となり、明治大は2-1で慶應義塾大に勝利。今季4試合を残しての、史上最速優勝という偉業を成し遂げた。殊勲のストライカーは「もし今日自分が点を取れてなくて、チームの優勝が決まっていたらと考えると……どこか100%喜べなかったかなとも思いますし、自分が点を取って優勝するのが理想的だったので。今日は理想通りにいけたので良かったです」と微笑んだ。

 今季の関東大学リーグ1部で18戦10得点を挙げ、得点ランキングトップを走る丹羽だが、シーズンを通じて順調なわけではない。後期リーグ開幕後は3戦無得点。チームが3戦11得点と快勝しているなか、自身の得点はなかった。第15節の早稲田大戦(1-0)でようやく後期初ゴールを記録するも、その後の2試合は不発。なかなか波に乗れずにいた。

「後期の初めの方、チームはある程度の点差が開いて勝利していました。こんなことを言うと良くないのかもしれませんけど、チームが勝っている中でも自分が点を取れていないことで、素直に喜べてない部分がありました。前期に点を取って、後期に点を取れなくなったと言われるのも嫌だったので……」。そう素直に明かしたように、チームが10連勝するなか、自らの得点の少なさには物足りなさがあった。

 だからこそ、2戦連続不発で迎えた優勝のかかった一戦。「まずは前半に点を取りにいこうと思っていた」と積極的な姿勢を貫いた。前半終了間際の得点も、力強く相手の間を割ってのもの。「残り時間も少なかったですし、FWが点を取れば、さらにチームも勢いに乗ると思ったので。あそこは自分でいくことしか考えていなかった」と言う。

 明治大の栗田大輔監督は丹羽について、「得点こそないものの、運動量が多いのと、前線でためが出来たり、あそこでボールを失わないので回りの選手がそこにつながっていったり、裏に抜けることができるので。得点以上の活躍をしているかなと思います」とコメント。

「マークされている中でも早稲田の試合だったり、今日もああいう前半のラストプレーで強引ですけど、得点を奪えるような選手に成長したというのが彼の成長かなと思います」と評価を話した。

 下級生のときから栗田監督に「貪欲にゴールを狙っていけ」と繰り返し言われ続けてきたFW。「後期に入って点が取れなくなったことで、よりシュートへの意識とゴール前では自分でいくという気持ちは持つようになったかもしれない」と自らの“変化”を口にする。

 明治大の優勝は決まったが、まだリーグ戦は4試合が残っており、その先には三冠のかかる全日本大学選手権(インカレ)が控えている。先を見据えたFWは「ひとまずチームの優勝が決まったので、これから自分の得点王というところにこだわってもいいのかな」と謙虚さのなかにストライカーらしい気質をのぞかせた。

(取材・文 片岡涼)

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