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[関東]転んでもただでは起きない…大学を代表するGKに成長、明治大3年生守護神・上林豪「自分の中でも先が見えてきた」

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[10.22 関東大学L1部第18節 明治大2-1法政大 AGFフィールド]

 開始2分のゴールで先手を奪った明治大だが、その後は法政大に押し込まれる場面が目立つなど、苦戦した。ただそこにGK上林豪(3年=C大阪U-18)が立ちはだかる。前半6分のFKを右に飛んで弾き出すと、同アディショナルタイムにはMF高橋馨希(4年=常葉大橘高/富山内定)に許した左足シュートも、左に飛んで止めた。

 試合終了間際にPKによる1失点は喫したが、自軍の倍の数のシュートを浴びた流れの中から得点を許すことはなかった。「難しい試合になることは分かっていたし、実際に難しい試合になったけど、自分を含めて後ろがギリギリのところで踏ん張って、何とか勝つことが出来たと思います」。上林を中心とした守備陣の奮闘もあり、チームは5連勝。首位の筑波大との勝ち点差6をキープしたまま、順位を2位に上げた。

 自分自身を見つめ直すいい機会になったという。昨年度は横浜FCに入団したGK遠藤雅己とハイレベルなレギュラー争いを繰り広げた上林は、今季はレギュラーGKとして一本立ち。3月、そして9月に日韓定期戦を戦った全日本大学選抜でも正GKを務めるなど、大学サッカー界No.1GKに成長した。

 しかし上林は10月7日の東京国際大戦で今季の大学リーグで初めてのベンチスタートを経験。さらに同14日の日本大戦も含めて2試合連続で出場機会なしに終わっていた。「謙虚さを失っていたかなと思う。そんなつもりは全くなかったですけど、ベンチからみたときに実直にできていなかったのかなと思いました」。

 スタメンを外されたときに感じたのは、自分には武器がないということだったという。「でもすべてのプレーを高水準でできることが自分の武器なのかなと改めて思いました。そういうところを伸ばしつつ、絶対的な武器を1個作っていけるようにしたい」。転んでもただでは起きない。

 もっとも今シーズンで残してきた成績には自信を持っている。栗田監督も「明治を背負って頑張ってくれている」と最も評価する点で、上林も「3月と9月の全日本選抜にも選出していただいて、自分の中でも先が見えてきた」と手ごたえを感じている。

 その先とはもちろんプロ入り。大学3年生も終盤。同級生の進路に関する声も聞こえるようになってきた。紫紺の守護神も「その点においては、一歩一歩着実に進んでいるのかなと感じている」と強調すると、「現実的に考えたときにプロでいきなり出られるレベルではないことも分かっている。そこをどれだけ大学の時間で詰めて、即戦力のレベルに持って行けるか。プラス明治で大事にしている人間性の部分。プロを考えるのではなく、明治での日々を着実に一歩一歩やっていけば掴めると思うので、明治での時間を大事にしていきたいと思います」と気を引き締めた。
 
(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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