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開催国カタールがアジア連覇に王手!! イランとの大激闘に3-2勝利、前回得点王FWアリが決勝弾

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FWアルモエズ・アリが決勝ゴール

[2.6 アジア杯準決勝 イラン 2-3 カタール アルトゥママ]

 アジアカップは7日、準決勝を行い、カタールイランを3-2で下した。前回王者の開催国カタールはアジア連覇に王手。10日の決勝でヨルダンと対戦する。一方、準々決勝で日本代表を破ったイランは最後の最後まで追い上げたが、48年ぶりのアジア制覇には届かなかった。

 準々決勝でウズベキスタンとの死闘をPK戦で制した開催国カタールと、日本を終盤の劇的勝ち越しPKで破ったイランによる中東の強豪国対決。ドーハ市内のアルトゥママ・スタジアムには40342人の大観衆が詰めかけた。

 イランは日本戦から先発2人を入れ替え、DFミラド・モハマディとMFモハマド・モヘビに代わり、DFエフサン・ハジサフィと出場停止明けのFWメフディ・タレミを起用。対するカタールも2人を変更し、DFホマム・アフメドが今大会初先発を果たした。FWユスフ・アブドゥリサグも新たに入り、システムも3-5-2から4-4-2に変えた。

 試合は前半4分、さっそく動いた。イランはMFアリレザ・ジャハンバフシュのロングスローをニアサイドでMFサイード・エザトラヒが頭でそらし、カタールDFペドロ・ミゲルにギリギリでクリアされたが、そこに反応したのはFWサルダル・アズムン。最初のボールに右足を振り抜いたところで体勢を崩していたが、すぐに立て直すと、アクロバティックなバイシクルシュートをゴール右隅に突き刺した。

 準々決勝で日本を苦しめ続けたストライカーの今大会2点目は、大会の歴史に残るようなスーパーゴール。それも理想的な時間帯の一発に、反対側スタンドの上層階まで埋め尽くしたイランサポーターからは圧巻の大声援が送られた。

 なおも勢いを保つイランは前半11分、MFサマン・ゴッドスが右に浮き球パスを送り、ジャハンバフシュがクロスボールを供給。だが、飛び込んだタレミには惜しくも通らない。同13分にはタレミのボール奪取から速攻を仕掛けるも、ゴッドスのシュートはカタール守備陣にブロックされた。

 さらにイランは前半17分、ペナルティエリア外に飛び出したGKアリレザ・ベイランバンドのクリアボールがカタールの最終ライン裏に通り、タレミがこれに抜け出すが、カタールも後ろから対応したDFアルマフディ・アリがスライディングでスーパークリア。タレミはその場に倒れ込んだが、そのままカタールの攻撃が続けられた。

 すると直後、カタールはP・ミゲルがペナルティエリア内に浮き球パスを送り込むと、相手に当たって軌道が変わったボールをアフィフが収め、ペナルティエリア右でボールをキープ。中をよく見ながらマイナス方向に送ると、MFジャセム・ガベルのミドルシュートがイランのエザトラヒに当たって軌道を変え、そのままゴールマウスに吸い込まれた。

 カタールにとってはファーストチャンスでの同点ゴール。今大会4ゴール2アシストのアフィフがまたしても違いを見せ、ガベルはこれが今大会初ゴールとなった。

 するとその後はカタールの大声援が会場を包み込み、チームを勢いに乗せると、前半21分にはジャハンバフシュのCKをGKメシャール・バルシャムがパンチングで弾き、そこからカウンター攻撃をスタート。アブドゥリサグが抜け出してDFエフサン・ハジサフィのファウルを誘い、イエローカードを出させた。

 前半32分にもカタールにビッグチャンス。イランMFオミド・エブラヒミのバックパスをアフィフがかっさらい、上体の安定したドリブル突破からGKとの1対1に持ち込むと、駆け引きしながら右足シュート。しかし、これはGKベイランバンドに阻まれ、こぼれ球を拾ってのループシュートも枠を外れていった。

 それでも前半43分、カタールが再び試合を動かした。DFルーカス・メンデスのフィードを受けたH・アフメドが左サイドでなんとかボールを残し、アフィフの横パスは相手に奪われたが、MFアフメド・ファティがすぐさま再奪取。再びアフィフがボールを預かると、ペナルティエリア左から鋭いカットインを見せ、3人が立ちはだかる中で右足一閃。強烈なシュートをゴール右隅に突き刺した。

 アフィフはこれで今大会5ゴール目。得点ランキング首位のイラクFWアイメン・フセインの6ゴールまであと1点に詰め寄った。前半終盤は再びイランが攻勢に転じ、アディショナルタイム3分にはハジサフィのCKにDFホセイン・カナアニが反応。だが、L・メンデスが胸のあたりでブロックし、そのままハーフタイムを迎えた。

 ビハインドとなったイランは後半開始時、ハジサフィとエブラヒミを下げ、モハマディとモヘビを投入。日本戦と同じ左サイドユニットとし、タレミを左ウイングからトップ下気味のポジションに移した。一方のカタールも初先発のH・アフメドを下げてMFイスマイール・モハマドを左サイドに起用。アブドゥリサグを右サイドに回した。

 すると後半1分、イランが前半と同様にさっそく試合を動かした。ゴッドスのCKから波状攻撃を展開し、こぼれ球を拾ったエザトラヒがボレーシュートを狙うと、これがファティの腕に直撃。一度プレーが流されたが、VARの介入でオンフィールドレビューが行われ、PKを獲得した。キッカーは日本戦でも終盤に劇的なPKを決めていたジャハンバフシュ。日本戦では左のコースを狙ったが、今度は中央に堂々と蹴り込み、同点に追いついた。

 カタールは後半7分、アフィフが左CKに変化をつけ、アブドゥリサグとのワンツーからゴール前にクロスを送ると、相手に当たったボールがファーに流れてP・ミゲルがヘディングシュート。しかし、ゴールカバーに入ったDFショジャー・ハリルザデーにクリアされる。同18分にはアブドゥリサグ、P・ミゲルに代わってDFタレク・サルマン、FWハッサン・アルハイドスを起用し、さらに勢いを強めた。

 その後は両チームともにクロス攻撃が多くなり、カタールはFWアルモエズ・アリ、イランはアズムンがヘディングからゴールを襲う。そうした中、カタールが後半37分に試合を動かした。左サイドを突破したアフィフのクロスは相手に阻まれるも、こぼれ球を拾った途中出場MFアブドゥルアジズ・ハテムが左足でミドルシュート。これは当たり損ないとなったが、ボールがA・アリの足元に入り、素早くゴール左隅に突き刺した。

 前回大会9ゴールで得点王に輝いたA・アリは今大会2ゴール目。ここまで本領発揮に至っていなかったが、大一番で結果を出した。一方、イランはアブドゥルアジズのシュート時点でオフサイドを取れそうだったが、DFラミン・レザイアンがラインを上げておらず痛恨の失点。細かいミスで窮地に追い込まれた。

 試合はVARの介入が続いたこともあり、アディショナルタイムは13分の表示。それでも開催国カタールは逃げ切るどころか、ホームの大歓声が響く中で攻め気を失わない。アディショナルタイム1分にはアフィフが左サイドを抜け出し、ハリルザデーのファウルを誘って転倒。主審は一度イエローカードを提示したが、VARの介入でオンフィールドレビューが行われ、ハリルザデーは一発退場となった。

 だが、10人となったイランも意地を見せる。後半アディショナルタイム4分、ゴッドスとジャハンバフシュが立て続けにミドルシュートを放ち、勢いを保つと、同8分には左からのクロスにタレミが惜しいヘディングシュート。同14分にはジャハンバフシュが相手の股を抜く決定的なシュートを放った。だが、これが左ポストに弾かれ万事休す。イランは最後までゴールを奪えず、開催国カタールが連覇に王手をかけた。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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