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“海外サッカーマニア”が本領発揮!東京V林陵平が選んだロシアW杯注目の11傑

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“海外サッカーマニア”として知られる林陵平

 4年に一度の祭典、FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会が6月14日に開幕する。ゲキサカではW杯を待ちわびる著名人をインタビュー。ロシアW杯で注目する11選手を挙げてもらった。

 第2弾は今シーズン、9年ぶりに東京ヴェルディに復帰したFW林陵平。バリエーション豊かなゴールパフォーマンスでも注目を集める林はJリーガーの中でも屈指の“海外サッカーマニア”。インタビューではロシアW杯で注目すべき11選手を『絶対に見るべき3選手』など5つのテーマに分けてわかりやすく紹介。さらに優勝国予想についても熱く語ってもらった。
(※取材日:2018年6月1日)

――今回は取材を受けていただき、ありがとうございます。今季は9年ぶりの古巣ですが、現在のコンディションはいかがですか?
「コンディションは良好です。自分が育ったクラブに戻って来られたことは素直にうれしいです。またこのクラブでやれる喜びはあります。チームのために頑張りたいなと思っています」

――林選手のゴールパフォーマンスが話題になっています。
「海外選手のゴールパフォーマンスは、柏レイソルのときからやっていました。注目されるようになったのは去年からですね。DAZNで取り上げてもらって。その効果はあったと思います。あと、去年は(自己最多の)14ゴールを挙げることができたので、いろいろなパフォーマンスをできたのも大きいと思います。注目されてうれしいですし、それを見て楽しんでほしい。自分も楽しいですし、それで海外サッカーに興味を持ってくれる人がいたら僕もうれしいです」

――毎回ゴールパフォーマンスが違うように感じます。
「絶対に被らないでやるのが僕のポリシー。僕がJリーガーの中で一番海外サッカーに詳しいと思っています。もちろん、Jリーグも好きですし、チームメイトに『Jリーガーで俺が知らないと思う選手を言ってみて』と言うけど、全員分かりますね。もちろん、J3の選手でも」

――昔から調べることは好きですか?
「そうですね。選手名鑑が発売されたらすぐに買います。海外サッカーは絶対に見ます。Jリーグも含めて選手名鑑を見るのが好きですね。あと、Jリーグや海外の試合を見ていて、気になる選手が知らない選手だったら、すぐに名鑑を開いて照らし合わせます。インターネットでも調べますし、『その情報、どこから仕入れたの?』と聞かれるくらい情報量を持っていると思います」

――よく見る海外リーグはありますか?
「よく聞かれますが、いろいろなリーグの試合を見ています。特に見るのはプレミアリーグ。見やすいというか、おもしろいので見ています」

――選手名鑑を見ること、試合を見ることは自分のプレーに生かすためですか?
「それよりはシンプルにサッカーが好き。戦術的にとか、サッカーを見て楽しむ部分の方が大きいですね。もちろん、良いプレーだなと思って、これをやってみようかなという部分もありますけど、それよりはシンプルにサッカーを楽しんだり、こういう選手がいるんだなとか、こういう戦術もあるんだなとか、そういうところを見ています」


――そういった意味ではロシアW杯は楽しみですね。
「楽しみですね。やっぱり、いい選手も多いですし。睡眠はしっかり取らないといけないので、録画してちゃんと見ていきたいと思っています」

――注目しているチームはありますか?
「優勝候補は、スペインとブラジルとドイツだと思います。その3か国が頭一つ抜けて、第2グループにフランス、ポルトガル、アルゼンチン、イングランド。ダークホースはベルギーだと思いますね」

――ダークホースがベルギーな理由は?
「ベルギーは面白いと思いますよ。クラブでみんな活躍している選手で、トップレベルの選手ばかりなので。どのポジションを見てもクラブチームで核の選手ばかり。だけど、ベルギーは“個”はすごいけど、チームとしてうまくいっていないと思います。それがうまくハマれば、面白いかなと思いますね」

――日本代表には、明治大で同期の長友佑都選手、東京Vの練習に参加した本田圭佑選手もメンバー入りしましたね。
「長友は普通に仲が良いので電話したりします。『ハリルホジッチの戦術はどうなの?』『ガラタサライはどうなの?』『ガラタサライのこの選手はどうなの?』みたいな。『なんでその選手知っているの?』ってなりますけどね(笑)。

 本田は同い年で、長友とか、水戸でチームメイトだった橋本晃司も明治大で星稜高校出身なのでそういうつながりはありました。2週間くらい練習参加したので、最後は馴染んでいましたね」

――本田選手が練習に参加すると聞いたときは驚きましたか?
「ビックリしましたね。突然でしたから。ちょうどそのとき(NHKの番組で)『プロフェッショナル』をやっていたし、それを見た次の日に本田圭佑が近くにいたので、すごく変な感じがしました。本田圭佑を『ケイスケ・ホンダ』っていじってやりましたけど、『恥ずかしいからやめろ』と言っていましたね(笑)」


――それでは、注目の11選手についてお願いします。
「ゲキサカはたくさんの方が見ていると思うので、マニアックな選手だけだと分かりにくいかなと思いました。マニアックでも僕はいけるんですけどね。マニアックすぎると初めてW杯でサッカーを見るような人には分かりにくいと思うので、『絶対に見るべき選手』『日本が注目する選手』『ブレイク候補』『チームの中心選手』『マニアックな選手』とテーマに分けて合計11人を考えてみました」

――なるほど。では、『絶対に見るべき選手』をお願いします。
「サッカーを初めて見る人、初めてW杯を見る人はこの3人に注目してほしいです」

クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル/レアル・マドリー)
「C・ロナウドは、この前のチャンピオンズリーグでも優勝しましたし、チャンピオンズリーグで6年連続得点王のゴールマシーンですね。彼は“努力の天才”で、サッカー以外の部分でも筋トレだったり、食事であったり、アスリートとして本当に努力しているというか、突き詰めてやっているなと感じます。サッカーにおいてゴールは大事ですし、そのゴールを取る術を知っている選手だなと感じますね」

リオネル・メッシ(アルゼンチン/バルセロナ)
「メッシは“生まれながらの天才”。自然に育って、自然に何でもできるみたいな。ドリブル、パス、シュート、全部うまい。メッシだったら4年後もW杯で見られるかもしれないけど、一番いい状態で臨めるのは今年だと思います。アルゼンチンのメッシは絶対に見てほしいです」

ネイマール(ブラジル/パリSG)
「ネイマールは“遊びの天才”ですね。ストリートサッカー育ちだし、やっぱり何をするのか分からない。ドリブルでも遊び心があるし、だれが見てもうまい。そういう技を見せてくれる選手です。ケガをしたけど、W杯には間に合うと思いますし、それでもやれるようなレベルの選手。試合勘に関係なくやれてしまうので、ケガさえなければ間違いなく活躍すると思います。

 僕は彼のユニフォームを持っています。交換したんですよ。レイソル時代に(2011年に日本で開催された)クラブW杯でサントスと対戦していて、そのときにネイマールがいました。そのときから海外サッカーが好きだったので、試合が終わってサントスの控え室まで行きました。最初は関係者に止められて、中に入れなかったけど、ずっと何か言っていたらサントスの監督が来てくれて中に入れてくれたんです。それでネイマールの前まで行って、『ユニフォームを交換してほしい』と言ったら、最高の笑顔で交換してくれました。それからすごくファンです。『ユニフォーム、プリーズ』みたいな片言でも通じました。当時から結構注目されていましたし、家宝ですね」

――やはり、その3人は外せませんね。次に『日本が注目する選手』をお願いします。
▽本田圭佑(日本/パチューカ)
「やっぱり、持っている男だと思うので選びました。日本が決勝トーナメントに行けるかどうか、試合で勝てるかどうかは本田にかかっていると思います。本田がゴール、アシストをすれば勝てるというか、チャンスが広がると思います。サイドに張るより、中のポジションでやった方がおもしろいと思います。3-4-2-1だと、この前(ガーナ戦)やったシャドーで自由に動き回る方がボールが集まると思います。体が強いのでボールが取られる可能性は日本代表の中でも一番低い。本田にボールを集めるべきだし、やっぱり命運を握っているのかなと思いますね。あとハートがだれよりも強い。それはサッカー選手にとって大事なこと。そこがズバ抜けているので、メンタル面からも本田なしには日本は勝てないと僕は思っています」

アンドレス・イニエスタ(スペイン/ヴィッセル神戸)
「もう一人はイニエスタですね。神戸に入って注目度がすごいじゃないですか。日本人はW杯で日本代表とイニエスタを応援するみたいなところがあると思います。スペインの試合を見たら、イニエスタに目がいきますよね。注目してほしいです。代表でも主力選手で、なんでもできますからね。テクニックもあるし、ゲームメークもできるし、まだ老け込む年齢じゃない。まだまだトップレベルでできるのに、日本に来るというのはすごいこと。これで(フェルナンド・)トーレスまで来てくれたらすごいですよね」


――“Jリーガーのイニエスタ”も注目ですね。『ブレイク候補』に選んだ選手を教えてください。
「もうブレイクしているかもしれないけど……」

ティモ・ベルナー(ドイツ/ライプツィヒ)
「ドイツのセンターフォワード。あの選手はドイツ代表のワントップを張るんじゃないかと思っています。以前はゼロトップをやっていて、(マリオ・)ゲッツェがやったり、ワントップは定まっていませんでした。そこに彼が台頭してきた。まだ22歳ですけど、ドイツは強いチームですし、その中でワントップを張って得点を挙げることができれば、一気にスターダムにのし上がると思います。特徴は爆発的なスピード。速いんですよ。ドイツはポゼッションもカウンターもできると思いますが、ポゼッションの部分でもボールさばきがうまいですし、カウンターでスピードを生かしてゴールに迫ることもできる。シュートも左右両足で打てるので、すごく良い選手です」

キリアン・ムバッペ(フランス/パリSG)
「去年、僕もゴールパフォーマンスをした選手で、そのときはまだモナコにいました。利き足は右足なので、左サイドからカットインしてシュートを打つのが得意でした。だけどパリSGに加入して、ネイマールが4-3-3の左に入ったことで、右サイドをやることになりました。それでも活躍して、右サイドでの引き出しも増えたので、どこのポジションでも使えると思います。選手としてまたレベルが上がりましたね。

 ですが、そんなムバッペもC・ロナウド、メッシ、ネイマールほどの知名度はまだありません。まだ19歳で初めてのW杯。その3人に匹敵するポテンシャルを持っていると思うので、このW杯でそれを見せつけることができれば、3人に仲間入りできるレベルにあると思います。スピード、パワー、テクニックすべて持ち合わせているので、期待値は高いですし、メンタル的にも恐れることを感じさせません。そういう部分も楽しみですね」

――『チームの中心選手』についてはいかがでしょう。
「僕の情報だと、W杯予選でゴールにつながるパス、キーパスの数で3位以内に入っている選手。チームにとって大事な2人です」

ケビン・デ・ブライネ(ベルギー/マンチェスター・シティ)
「彼は今年マンチェスター・シティで大活躍しましたし、シティを引っ張ったのはデ・ブルイネと言っても過言ではない。全部をハイレベルでできる。中盤ですけど、ゴールにつながるパスも多いですし、ボールも取られないですし、こういう中盤の選手がいたら楽なんだろうなと思いますね。DFだったら預ければいいし、FWだったら走ればボールが出てくる。ベルギーの中心ですね。

 ベルギーは3-4-2-1なのでシャドーでやってほしいですけど、そこには(エデン・)アザールとかがいるので、デ・ブルイネはボランチをやっているんです。だから守備をやらないといけいない。どちらかと言うとつなぎ役に徹しないといけないんです。そこがもったいないと思いますね。攻撃力が高いので、もう一つ前でプレーした方がおもしろいと思います」

クリスティアン・エリクセン(デンマーク/トッテナム)
「彼は今年もトッテナムで大活躍して、中盤なのに予選で11点を取りました。チームで2番目が4点なので、どれだけ点を取ってるんだよと。バルセロナとレアル・マドリーが興味を持っている選手で、このW杯でもっと活躍したら、他のクラブも取りに来ると思います。デンマークを勝たせるのはエリクセンにかかっています」


――あと2人は真骨頂の『マニアックな選手』ですね。
キーラン・トリッピアー(イングランド/トッテナム)
「イングランドはたぶんW杯で3バックで行くと思います。3-4-2-1でやると思うので、その右ワイドに入ると思います。(カイル・)ウォーカーが右ワイドと言われていますが、3バックの右にウォーカーを使って、ワイドにトリッピアーを使ってくると思います。彼は世界一、クロスがうまいと思います。クロスと言っても、アーリークロスだったり、ニアに上げるクロス、ファーに上げるクロスと、その種類も多いです。速いスピードで上げるときも、ふんわりファーサイドに上げるときも、そのキックの質がものすごく高い。ダイレクトで上げるのもうまいですし、そこを見てほしいですね。

 イングランドは、あまり世界大会で結果を出していない。ずっと4バックでやっていましたが、(ガレス・)サウスゲート監督が3バックにしてからいいゲームができていますし、面白いと思います。能力が高い選手も多いので、前線の(ハリー・)ケインが活躍すれば、上に行けるレベルにあると思います。そのケインのアシストをトリッピアーがやると思いますね」

ノルディン・アムラバト(モロッコ/レガネス)
「これは本当にマニアックだと思います。彼はめちゃくちゃサッカーがうまい。次に何をやるのか分からないですし、どういうプレーをするのか本当に分からない。たぶん4-3-3のウイングをやると思います。見ていて楽しい選手ですね。普通の人は『モロッコかよ』と感じるかもしれないけど、この記事を読んでアムラバトに注目してほしい。モロッコの試合でアムラバトを見てもらえれば楽しいと思います。テクニックはすごいし、僕も昔から好きなんですよ。そこまでゴールやアシストをするタイプではないですけど、ボールを持って出すパスがオシャレだったり、是非注目してほしい選手です。モロッコはグループリーグで敗退する可能性が高いと思うので、3試合しか見れないと思いますが、僕も楽しみにしている選手の一人です」

――ゴールパフォーマンスで見てほしい選手はいますか?
「最近はフランスの(アントワーヌ・)グリエーズマンかな。ダンスみたいなことをやっているんですけど、あれはいつかやりたいなと思っています(編集部注:6月10日のJ2第18節・新潟戦で披露)。分かりやすくて、楽しいと思います。まだまだストックはありますが、僕もW杯でまた見つけたいなと考えています。去年やった(バフェティンビ・)ゴミスとか、なかなか真似する人はいない。そういうのを狙っています」

――今回のファイナリストはどこだと思いますか?
「どこにしたかな? 自分でもうやったんですよ。取材じゃなくて、自分でトーナメント表を見てどこが1位、2位になるかなって。違う山ですし、スペインとブラジルじゃないですかね」

――ズバリ優勝国は?
「僕はスペインだと思います。ブラジルも気になるけど、ネイマールの故障明けは気になるし、安定感で言えばスペイン。他のチームより一つ抜けていると思います。一人ひとりの選手が圧倒的に質が高い。その中で戦術もしっかりしているし、勝ち方を知っている選手が多いと思います。それはすごく大事なこと。レアルがあそこまで強いのは、勝ちに慣れているというか、勝負所をわかっている選手がピッチの中に多いからだと思います。今、何をやらなければいけないかが分かっている。それを実行できるようなテクニック、メンタル面も兼ね備えているから勝てると思います。そういう選手がスペインに多いですね。

 問題があるとすれば、ワントップをだれがやるのかというところ。(アルバロ・)モラタが外れてしまって、ジエゴ・コスタかロドリゴ(・モレノ)、僕が好きなイアゴ・アスパスの3人なので、そこが気になりますね。だけど、もしその3人がダメだったらゼロトップにしちゃえばいい。スペインはそれができるレベルにあります。サブに(マルコ・)アセンシオがいたり、フレン・ロペテギ監督もいい監督ですから。

 ブラジルは4-3-3で、チッチ監督が現実的なサッカーをやっています。ショートカウンターも速いですし、組織されていて『チームのために戦わないとダメ』というのを浸透させている。個が強いブラジルが組織的に戦ったら、どこも勝てないような気がします。だけど、(ダニエウ・)アウベスがいない影響は大きいですね。だいぶ痛い。アウベスは世界のトップ3に入るサイドバック。今のサイドバックにはボールを動かして、中心になれるような選手が必要。サイドバックがボールを持てると、チームは落ち着きますからね。代わりはダニーロだと思いますが、たまにミスしちゃうし、謎な横パスもたまにあるので気になりますね。ちょっと怖いです」

(取材・文 清水祐一)
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