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開幕戦5日前に“記念試合”、南米→欧州に大移動…異例の2030年W杯日程案にもFIFA主張「負担が増大することはない」

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 史上最大規模の3地域6か国で行われる方針が固まっている2030年のワールドカップだが、国際サッカー連盟(FIFA)は異例のスケジュール案を提示している。W杯100周年記念を祝して南米で行われるウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの初戦は、開会式や開幕戦に5日間ほど先立って開催されるようだ。

 FIFAは今月上旬に開いた評議会で、2030年のW杯開催国をスペイン、ポルトガル、モロッコの3か国共催で一本化することを決議。史上初のヨーロッパ、アフリカ共催に向け、あとは入札を残すのみとなった。

 その一方、当初は立候補を表明していた1930年の第1回開催地のウルグアイをはじめ、アルゼンチン、パラグアイの南米3か国もこれに参入。3か国のグループリーグ初戦を100周年記念試合として、それぞれの国で行うこともあわせて決議された。

 開催国の正式決定は来年末の24年第4四半期のFIFA総会になる見込みだが、現時点で他の候補は不在。このままヨーロッパ、アフリカ、南米の3地域にまたがる異例の6か国共催案が採用されることが決定的とみられている。

 そこで浮上するのがスケジュールの問題だ。ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイで初戦を行ったチームはその後、グループリーグ第2戦以降をスペイン、ポルトガル、モロッコで戦うことになるため、移動負担とそれに伴う連戦負荷が大幅に増大する。特にアウェーチームにとっては南米への移動も強いられるため、他の参加国にとっては避けたい組み合わせになりそうだ。

 もっともこれに対してFIFAは「100周年記念試合を戦うチームに移動、休養、適応、準備のために適切な日程を追加できるよう、特別な調整が行われる」と強調している。そうして繰り出されたのが以下のスケジュール案だ。

・2030年6月8日(土)、9日(日)
モンテビデオで100周年記念セレモニーとウルグアイの初戦、アルゼンチンのホームゲーム、パラグアイのホームゲーム

・2030年6月13日(木)、14日(金)
開会式と開幕戦

・2030年6月15日(土)、16日(日)
ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイを含むグループの他2チームのグループリーグ初戦

・2030年6月21日(土)、22日(日)
ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイを含むグループのグループリーグ第2戦

・2030年7月21日(日)
決勝戦

 このスケジュールであればたしかにウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイで初戦を行ったチームはグループリーグ第2戦までに11〜12日間の準備期間を組むことができるため、5〜6日しかない他のチームよりは日程面で余裕を持つことができる。その一方、南米3か国で試合を行うチームのみ、緊張感がある大会期間は大幅に拡大する。

 FIFAは「試合日程の調整は、現在のインターナショナルマッチカレンダーの枠内で実現可能」「選手の総派遣期間は26年W杯と比較して変化はない」と強調し、「現状を越えて追加の日程が必要とされることはなく、参加チーム、選手、所属クラブのいずれも負担が増大することはない」と結論づけている。

 だが、本来であれば準備期間としてテストマッチを行えるはずの時期に、大会日程が食い込んできているというだけのこと。クラブシーズンからのリカバリー、クラブチームから代表チームへの適応を考えると、やはり南米で試合を行うチームは難しい調整を強いられることになりそうだ。

 またFIFAはファンの移動が大幅に増えることにも言及。「当然ながらファンがいなければFIFAワールドカップには何の意味もない」としながらも、「W杯は世界的イベントであり、南米で行われる3試合は、その地域のサポーターたちに大会の試合を観戦する機会を提供するものにもなる。半分のチームはホームで試合を行うため、通常であれば欧州やアフリカまで観戦に赴くことはなかったサポーターも観戦することができる」と前向きに述べている。
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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